5.0
47話までの感想
序盤は物語の世界観に慣れるための話のよう。
主人公メアリと従者アディのキャラとふたりの関係や、メアリが悪役令嬢らしく振る舞おうとして空回りする様子などが楽しく、乙女ゲームのシナリオイベントを悪役令嬢側でみる形でテンポよく進む。
メアリがゲームの情報をアディに説明する様子も、つまらない説明ゼリフにならず、読者は本来のゲームシナリオを理解した上で、メアリの行動の結果を楽しめる。
メアリの縦ロールがゲームシナリオの強制力の証拠としても、メアリの象徴としても楽しく描かれていて、活かし方がうまい。
シナリオには抗えないのか?けれど、ゲームヒロインからは好かれて、本来のゲームとは根本が違っているのでどうなるのか?というワクワク感。
没落を目指す理由が語られてからが真髄。
納得のいく理由が丁寧に語られることで、メアリの令嬢らしい気品、気高さ、聡明さがしっかり印象づけられ、アディとの信頼関係もみえる。
それにより読者の視点が変えられ、メアリが悪役を演じているのではなく、最善の没落を目指してゲームシナリオを進めているという物語のテーマがはっきりする。
最後のシナリオイベントである卒業式で、没落とはならずに大団円となり、完結かと思いきや大学へ。
そこから様相が変わってわかりづらくなる。
卒業でゲームとしてのエンディングを迎えたはずで、別シナリオだとしても、ゲームヒロインは留学しないでどう関わるのか疑問。留学もゲームシナリオなのかも、それまでのようにゲーム情報の事前説明として出てこないのでモヤモヤ。
アディが留学しないので説明相手がいなくなってしまったのだとしても、メアリの思考として伝えることもできるのだから、やり方を変えないでほしかった。
アディとのおもしろい掛け合いも作品の要だったのに、一緒に行かないなら、なくなってしまうのか?
テーマである没落を目指す必要がなくなったはずなので、何がテーマなのかよくわからない。後にまだ没落を目指す必要性が何か出てくるのだろうか?
大学に進んでから、なんだか別作品になってしまったみたいで残念。
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アルバート家の令嬢は没落をご所望です