5.0
タイトルに隠されたトリプルミーニング
神聖帝国の聖女の娘レティシャは敵対する公国の若き王ディトリアンと婚姻を結ぶ事になった。それは、レティシャが母である聖女に疎まれ虐待されて育ってきたから。だから聖女を憎む公国の元へと娘を送り出した。半年以内に夫ディトリアンを殺さなければ、自分が死ぬと言う呪いをかけて。……けれど、そんな自分優しく接してくれるディトリアンを彼女は愛してしまい、レティシャは夫の死ではなく自分の死を選んだ。そんな選択さえ踏みにじる様に、聖女は帝国に公国を侵略するよう命じ、結局ディトリアンは命を落とすことになった。
──これが、一度目の人生のお話。ディトリアンを失った後の失意の生涯を終えたはずのレティシャは、回帰した二度目の人生では彼を死なせない為に行動を開始する。そしてそんなレティシャの姿に、記憶がないディトリアンも聖女から彼女を救いたいと思うようになるのだった。レティシャ優しいディトリアンを守るために、ディトリアンは優しいレティシャを守るために、二回目の人生をやり直していく。けれど、最後まで読めば作品タイトルに込められた3番目の意味に気付くことになるんですよ。
物語の粗筋としては、真の聖女として覚醒したレティシャが、自身の守護者である翼を集めながら、偽の聖女である母に立ち向かうお話です。そこにディトリアンとの互いを思い会う姿が描かれていて、本当に尊い。覚醒し集まってくる翼たちも魅力的な人たち。かっては母である偽聖女の翼だった人、公国の騎士、果ては帝国の皇族まで。真の聖女には、9つの翼が集うと言われており、最後の最後にはレティシャの元へは9人目の翼が訪れます。
……この最後の展開がまた凄かった。そう来るのかと言う気持ちと、よく来てくれたと言う気持ちで胸が熱くなってしまいました。
そして、最後に気付くんです。タイトルに込められた3番目の意味に。『優しいあなたを守る方法』。この作品の登場人物でも1番強くて優しい、レティシャとディトリアンの二人にとっても大切な、ある人物を守る方法。この作品の物語のテーマの一つは、その人物を守れる未来にたどり着く事だったんだって。
2025年3月現在、90話で更新が止まっています。他サイトでは本編最後まではきちんと描かれて今は外伝に入りました。せめてめちゃコミさんでも本編の結末までは描かれて欲しい。なんとか更新を!の気持ちを込めてのレビューです。
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優しいあなたを守る方法