5.0
作者さんの愛を感じる
皇女の毒殺疑惑をかけられ幽閉れたジュベリアンは、父に愛されていなかった事と父に見捨てられた事に絶望し、皇太子から酷い扱いを受ける前に自ら死を選ぶ。──と云う、小説の悪役ジュベリアンに転生してしまった主人公。彼女は原作通りの死を回避するために行動を開始。まずは皇女との確執の原因になる婚約者のミハエルとの婚約を解消する。けれどそんな彼女の新しい婚約者候補の一人は、残忍と有名で原作ジュベリアンの死の理由になった皇太子。お父さん、私この結婚イヤです!………と言いたいけれど言えない彼女は、父レジスの弟子で野良猫のようなマクスに偽装の恋人役を依頼する。そのマクスこそが皇太子マクシミリアンであると気付かないままに。
と云う流れから始まる物語ですが、ネタバレから云うとジュベリアンが死んだのは小説の展開ではありません。ジュベリアンが死んだのは実際にあった出来事で、彼女を誰より愛していた人物が時間を巻き戻したんです。誰より長く深くジュベリアンを愛してきた人──お父さんことフロエン公レジスが。
このお話の表は、死を回避しようとするジュベリアンと不器用な皇太子マクスの可愛い恋のお話。けれど本当の中身は、レジスの背負ってきた悲しみや苦しみ、重すぎる柵から彼を解放して上げるお話なんです。亡き妻と娘ジュベリアンを愛するが故に傷付き失い続けてきたレジスを、ジュベリアンとマクスが救い出すお話なんです。外伝の最後のお話……レジスの過去とこれからの未来を読み終えた時には涙が止まりませんでした。
最近、パパが一番素敵で人気な作品って増えてますよね。この作品は間違いなくそれ。マクスもめちゃくちゃ可愛いしカッコいいし健気だし献身的だし俺様なのにジュベリアンの前では泣き虫の野良猫みたいだし最高に良いんですよ。でも!でも!お父さんのレジスが更に最高のヒーローでヒロインでキーパーソンで主人公過ぎてダメです!!鳩のセリーもあっさり主人のマクスから乗り換えるお父さんの魅力。人気投票したら多分100連続くらいで1位レジスになります。
後は、本編を読み進める程に病み付きになる次回予告が面白すぎました。作者さんが作品を大好きなのが伝わる暴走っぷりが最高に笑えますよ。
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お父さん、私この結婚イヤです!