トリスタンーー(泣)
トリスタンの優しさと忠誠。それが伝わって尚、応えられない自分に流したルウェリンの涙が切ない回。待たされた後のたっぷり大盛りトリスタンのターンでした。彼の愛への答はどうあれ現状で彼女が一番安心感を覚えるのが団長なんだろう。辛い現実である烙印の問題や5年前の真相を一人たけ知らないトリスタン。本編の真相から外されてる反面、それも逆にルウェリンには救いになってるのかもしれない。だからこそ彼の好意に甘えたい気持ちと、彼の好意を利用してはいけない気持ちでせめぎ合う。トリスタンは王女のそんな気持ちを察して身を引いている。互いを思いやる2人の気持ちが切ない。
アルマンの愛し方は自分が支え苦しみを背負う代わりにルウェリンに前を向かせる強い愛。
エルネルの愛し方はそれがどんな選択で神に背く物だとしてもルウェリンの全てを受け入れる深い愛。
なら、トリスタンの愛し方は今目の前にいるルウェリンに寄り添い心も体も守ろうとする優しい愛なんだなと感じた。
それはルウェリンが辛かった5年間をずっと近くで見続けていたからこその愛し方で、その資格が与えられず歯痒い思いをしていた頃からの一途な気持ちなんだろう。そばにいて欲しい。辛い時に抱き締めて欲しい。自分の味方になって欲しい。そんな王女の願いをトリスタンは誠実に叶え続けてきたから。それは彼が、どんなに遠ざけられても近くで仕える事を選んできたから出来た事だと思う。
こう見ると団長が一番人気なのも納得だけど、一方でこの作品の難しいのは、その願いの全てがルウェリンが本当はアルマンに願っていた事だった点。18話の王女襲撃のシーンが象徴的で、怯えるルウェリンは誰かがそばにいて守ってくれたらとアルマンの姿を思い出してしまう。けれど実際に彼女を抱き締めてくれたのはトリスタンだった。いっそアルマンが嫌な男なら団長がヒーローで分かりやすかったけれど、彼は彼でルウェリンの為に影で尽力しているから難しいんだよね。そばにいて支える愛と離れていても尽くす愛。そのどちらも真剣で、読者も両方に報われて欲しいと願ってしまうから。エルネルの気持ちも本物だし、複数ヒーロー物は本当に結末が難しい。ただ、トリスタンに関しては、今回のイベントで彼自身が自分に一線を引いてしまった気がした。王女からの愛を求めずただ彼女を愛そうと云う、一歩引いた決意が感じられて切ない。
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捨てられた王女の秘密の寝室【タテヨミ】
125話
騎士を救うのは王女の義務