4.0
愛されてほしい
父親から必要とされずついには虐待死させられてしまった17歳の女子が、生前に愛読していた小説のとある登場人物の女の子に転生するというお話。
しかもなんの因果か、転生時点では10歳のその子も、17歳で命を落とすことになっています。竜族の母と人間の父の間に生まれた子で、母親の死後には竜族の社会で不浄な子として虐げられながら生きています。
日々読んでいた本なのでストーリーをよく把握している主人公は、竜族の地を追われた後、どうせ抗えない運命ならせめて命を失うその日までささやかな贅沢でもして暮らそうと、人間の父の住まいを訪ねます。かつては英雄だった父はその頃にはなんと小説の悪役に、しかもラスボスになっていました。
設定が妙に面白い。主人公は自分の立ち位置をかつて愛読していた小説でよく承知しているので、10歳の身ながらいつも落ち着き払っていて反応もクール。感情をどこかに置いてきたラスボスの父親から心無い言葉を浴びせられても、意地悪な従兄からさんざん毒のあるいじりをされても、至って平常心。愛らしい少女の容姿とのギャップに笑えます。
無料分ではまだ父親の溺愛ぶりを見ることはできていませんが、そこがこの物語の最大の面白味であると想像します。
前世では父親に殺められてしまった主人公。今度は父親から存分に愛されてほしいです。そんな姿を見るのを楽しみに、この先を読み進めてみたいです。
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13
お父さん、私は何もしませんから!