チールーさんの投稿一覧

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21 - 30件目/全127件
  1. 評価:5.000 5.0

    読む側も気合が必要

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    それぞれが別の極道の家に生まれた男女のストーリーです。2人は高校生で、同じ学校に通っています。……と紹介すると、2人の学校生活を中心とした恋愛ストーリーのようにも聞こえますが、全く違います。
    特に主人公の女子。わりと普通の感覚を持った常識人なんだなと思いながら読み進めていると、突然に頭をぶん殴られるような衝撃的なエピソードがぶっ込まれてきます。やはり体に流れる血はヤクザのそれ。常人ではありえない肝の据わり方や、誰にも侵させない確固たるプライドがあり、その極端さたるや、うっかりのほほんと読み始めると思考が追いつかず困惑してしまうほどです。けれどその人物像を受け入れ、しっかり心構えをして読むと、彼女の魅力がどんどんと見えてきます。
    男子の方はわりとわかりやすくヤバい人ですが、色々と謎もあります。これから少しずつ秘密が暴かれていくのかと。

    ヤクザものの作品ということもあり、暴力描写が含まれます。苦手な方はご注意を。

    • 2
  2. 評価:5.000 5.0

    痛み

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    大好きな妹を病で失った姉と、妹の婚約者。二人が苦しみながらも惹かれ合い、互いを必要としていくストーリーです。
    妹の死後に二人が恋愛関係に……というだけの話ではなく、実は妹の生前からそれが芽生えていて、さらには妹がそれに気づいていたという、複雑な状況です。姉の気持ち、彼の想い、亡き妹の残した『呪い』。それらが丁寧に、胸にズンとくる重さをもって描写されています。

    この物語の主人公である姉は、いつも明るく元気で、それでいてどこか空回りしているような、痛々しいような印象を受けます。一見すると快活なのに、その姿になんだか心がざわつく。

    『痛み』の表現が秀逸です。本編はもちろんのこと、表紙絵や扉絵など、随所になんとも胸を締めつける痛みが描かれています。
    そうした痛みを抱いて、生きていくこと。二人が出した答えが心に沁み入る、物語のラストです。

    • 1
  3. 評価:5.000 5.0

    ゆっくり、ゆっくり

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    旅行会社に勤める男女二人が、海外赴任(独身者対象)を回避するため、『結婚する』と周囲に嘘をつくことから始まるストーリーです。
    ところがこの二人、実際には人とのコミュニケーションが苦手で、結婚どころか恋愛もままならず、それぞれが自分の趣味や好きなものを最優先にしたお一人様生活を送っている状態。各々の現状を守るための作戦だからと実行に移したものの、突然に結婚を偽装するなんて高難度にもほどがあるわけです。
    緊張しすぎて挙動不審ですらある二人の偽婚約者ぶりをよそに、嘘の結婚話はあっという間に周囲に広まり、職場の人たちや互いの親族までを巻き込んでいきます。そのうち二人は、お互いを意識し始めて……。

    拾った猫を大切に育てている大原君と、地図を見るのが大好きな本城寺さん。二人の不器用でこじらせ気味なやり取りは、かなりじれったいです。サクッとスパッと進行してほしい読者には向いていないと思います。臆病で遠回りな恋愛を温かい目で気長に見守る作業が好きな方におすすめです。

    • 1
  4. 評価:5.000 5.0

    美しい

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    絵がとても綺麗ですね。フルカラーがより一層、登場人物たちの魅力を引き立てています。

    仙女ではない主人公と、仙女である姉。けれどそれはあくまでも目に見える能力だけのことで、慈愛の心を持つ主人公の方がよほど仙女に相応しい。あのような汚い心の姉が、仙女であるはずがない。私はそう感じました。人を癒す力というものは、生まれつき備わった能力だけで測れるものではないと思います。

    軍神がカッコいい。そしてとても優しく温かい。惚れます。
    それぞれ辛い生い立ちの二人が出会って、互いを慈しむ姿がとても美しく尊いです。

    • 2
  5. 評価:5.000 5.0

    大自然と生命と、青春

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    都会で受験戦争に挫折し、農業高校エゾノーに入学した八軒君のお話です。
    中学の担任に勧められるまま訪れた農業の現場は、八軒君にとって驚きの連続でした。生徒たちはガチで農業を学びに来た農家の跡取りばかり。誰もがしっかりした将来のビジョンを持っています。夢も何も持たずにやって来た八軒君は、なんだか肩身の狭い気持ちになってしまいます。
    早朝から当番で鶏の世話、授業で豚の世話、馬術部で馬の世話、バイトで牛の世話……とにかく動物の世話、世話、世話。体力勝負の毎日が目まぐるしく過ぎていきます。

    そんな日々の生活の中で、八軒君は、畜産において避けることのできない現実と向き合うことになります。それは、『育てた動物は出荷して肉になる』という現実。名前までつけて大切に世話をした豚の出荷に直面した時、八軒君が悩みに悩み抜いて出した答えには、ぐっとくるものがありました。何が正解なのかは私にはわかりませんが、命について悩み抜くことこそに意味があるのだと感じました。
    ちなみに、凄惨さは抑えられていますが屠殺の描写などが多少ありますので、極端に苦手な方は注意が必要かも知れません。

    都会っ子の八軒君と農業ガチ勢の同級生たちとの関係は案外うまくいっていて、面倒な頼まれごとを断らず、苦手なことにも真摯に取り組む八軒君の人間性を、皆が認めて応援し、頼りにしてもいます。受験のトラウマに苦しんできた八軒君にとって、そんなエゾノーでの生活はかけがえのない青春の日々になっていきます。

    作者さんの実体験が反映された作品ということもあり、農業高校での実習や寮生活、行事、部活、農家でのアルバイトなどの様々な場面がとても詳しく活き活きと描かれています。ばんえい競馬の様子などもリアルに描写されていて、地元民には嬉しい限りです。

    ストーリーに笑いをふんだんに盛り込んでいるところがまた良い。お腹を抱えて笑ってしまう場面も多くあります。工業高校との意地の張り合いや、ブラジャー紛失事件などが私にはツボでした。

    • 0
  6. 評価:5.000 5.0

    愛ある笑い

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    女子校の日常をこんなにも平和に、こんなにも愛おしみのある笑いで溢れさせた作者さん、最高です。
    星先生と小林先生の両キャラクターはもちろんのこと、女子高生たちの言動や行動、たたずまいそのものにすら笑ってしまいます。この空気感が大好きです。
    エピソードひとつひとつがなんとも言えない味わい深さで、爆笑しながら気づけば癒されています。日々の忙しさを忘れさせてくれる、笑いで肩の力を抜いてくれる作品です。

    • 0
  7. 評価:5.000 5.0

    心が浄化されます

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    清き魂を持った青年が、慎ましやかなスローライフを送りながら無自覚に悪霊を祓っていくストーリーです。
    悪霊祓いというと邪悪で恐ろしい場面を想像しがちですが、この主人公は悪いものが見えていないので、本人が気づかないうちに祓い終えています。怖い絵面はありません。
    逆に、善いものは主人公の目に見えます。主人公が一人で暮らす家の庭には、方々から集まってきた善き神々が住んでいます。

    この作品の大きな魅力は、主人公が無欲で、とても清らかな心をもっていること。神様が富や幸運をもたらしてくれた時にも、こんなにたくさん受け取れないと恐縮してばかり。さすがはメモ書きの文字だけで悪霊を祓える魂の持ち主だと、感嘆してしまいます。

    主人公と神様たちのほのぼのした日常を見ていると、なんだかこちらの心も清められます。日々の生活に疲れた人におすすめの癒し漫画です。

    • 5
  8. 評価:5.000 5.0

    多幸感のある作品

    クエストがきっかけで読み始めました。
    普段、転生ものはあまり読まないのですが、こちらはとても読みやすく、気づけばすっかりファンになってしまいました。

    主人公をはじめ、グルドさん、ギルドマスター、王族の人たちなど、登場人物が皆優しくて善人。表情が明るくセリフもほのぼのしていて、読んでいて純粋に楽しいです。きっと作者さんがとても性格の良い方なんだろうなと感じました。

    もしかするとこの先のストーリーで不穏なことや悲しい出来事があるかも知れませんが、前向きな主人公を応援しています。

    • 0
  9. 評価:5.000 5.0

    すごい

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    書店で平積みしてあるのが気になって、こちらで読んでみました。まさかこういうジャンルとは思いもよらず、一気にズルズルズルッと呑み込まれてしまいました。

    何って、まず冒頭からがっつりネタバレをさせてくる構成がすごい。『なんだか光の様子がおかしくて、日々過ごしているうちに、少しずつ何かが……ひょっとして……』という進行ではなく、もう始まって数ページで『光がこうなりました』とモロに見せてくるという。私はそこで心を鷲掴みにされてしまい、もう目を離せなくなりました。

    よしきの葛藤、光とヒカルの慕情、村の不穏な空気、それぞれが絡み合い、そこに夏の暑さがまとわりついて、なんとも言えない手触りを醸し出しています。絵を見ているだけでも、なぜか肩で息をしてしまうような。

    • 1
  10. 評価:5.000 5.0

    心に残るお話

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    疎遠だった娘が急死し、娘の一人息子である孫のニタ君を引き取った主人公のじじちゃんが、慣れない子育てに奮闘しながら、ニタ君を通して娘への思いを再確認していくストーリーです。

    ニタ君は、心が豊かで優しい子です。じじちゃんの娘であるニタ君のママは生前、シングルマザーで忙しい日々を過ごしながらも、きっとニタ君に愛情たっぷりに、丁寧に接していたんだろうなと想像できます。
    ニタ君が初対面のじじちゃんとすぐに打ち解けることができたのは、ママがじじちゃんとの過去を決して悪く言わず、出産に反対されて疎遠になったことなどももちろん話さず、ニタ君にじじちゃんの良いイメージだけを抱かせていたからなんでしょうね。
    もちろんママ本人はこんなに早く息子とさようならをしなければならない日が来てしまうなんて考えもしなかったでしょうが、でもママがじじちゃんとのいい思い出をニタ君に話して聞かせたてきたことは、結果的に、ママ亡き後もニタ君が幸せに生きるための道しるべになっていたんだなあと感じました。母の愛は偉大です。

    日々奮闘するじじちゃんと健気に毎日を過ごすニタ君を、周囲の人たちがサポートしてくれる様子がまた素敵です。じじちゃんの友人のぶんすけや保育園の先生など、皆さんいいキャラで、読んでいて心が温まります。

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