5.0
秀逸
各話の魅力に強烈に惹きつけられる、個性的で上質な短編集です。
本能に抗う獣たちを描いているかと思えば、本能に従う姿も描く。当然にそれぞれの心情は、理性的であったり、衝動的であったり。生の美しさとシビアさが凝縮されていて、刹那の輝きに心奪われます。
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67位 ?
各話の魅力に強烈に惹きつけられる、個性的で上質な短編集です。
本能に抗う獣たちを描いているかと思えば、本能に従う姿も描く。当然にそれぞれの心情は、理性的であったり、衝動的であったり。生の美しさとシビアさが凝縮されていて、刹那の輝きに心奪われます。
テーマが深い。肉食動物の本能についてはもちろんのこと、捕食される側である草食動物に備わった抗えない本能のようなものの描写も興味深いです。
動物たちは服を着て、学校に通い、まるで人間のような生活をしており、この世界で肉食動物が草食動物を食べることは禁止されています。(が、しかし……)
多種多様の獣が登場する作品だけあって、本能、欲望、衝動が飛び交うストーリー展開です。
裏でほどよく本能を解放して表向きは大人しく社会生活を送る者、大切な存在のために本能に抗い続ける者、欲に任せて暴走していく者。肉食動物たちそれぞれの在り方は、人間の営みにも通ずるものがあるように感じました。
いつ食われるかわからない中で生きる弱小動物たちの死生観にも考えさせられます。
心にじんわり響く、温かいお話です。
仕事を終えて帰る前のホスト君と、これから出勤の社畜君が、毎朝、牛丼店で出会う。推しの漫画の話をしながら一緒に朝定食を食べて、「行ってらっしゃい」「おやすみなさい」とお店の前で別れる。
二人の関係は終始ほのぼのしていて、その優しさに読んでいて癒されます。
それぞれの仕事や学校(ホスト君は大学生)のエピソードなども盛り込まれ、二人の人間性がさらにわかっていくにつれ、よりいっそうハマります。
私は特に、社畜君の控えめな善人ぶりにグッときます。縁の下の力持ち、好きです。
二人を密かに観察する牛丼店の店員さん(腐女子)と共に、これからもこの二人をつぶさにウォッチングしていけたら幸いです。
子供を愛し育てている、育ててきた全ての親御さんに敬意を表しながら、レビューを書かせていただきます。
この作品は作者さんの実体験を元に描かれており、障害児を育てる親御さんの心情がとても正直に、率直に語られていると感じました。綺麗事ではない感情や、親として立派ではない姿も包み隠さず描かれていて、その勇気に拍手を送りたいです。
人はとかく親を『親としてどうなんだ』と批判しがちですが、親も成長途中の一人の人間であり、特に最初のお子さんの場合はある日突然に親という立場になったばかりなわけで、性急に『親として』を求められすぎても苦しいですよね。
初めての育児と向き合い、驚いたりパニックになったり疲弊したりしながら、それでも我が子は可愛くて、歯を食いしばって耐えたり納得して受け入れたりして、こだわりを捨てて、自分の器を少しずつ広げて、そうして親になっていく。この作品の主人公夫婦もまさにその最中なんだと思います。
私はここのレビューについて、皆さんがそれぞれご自身の体験を書かれていることでとても有意義な場になっていると感じました。
むーちゃんよりも重度の子を育てている親御さん、軽度の子を育てている親御さん、夫が非協力的だという話、周囲の不理解、どのレビューもじっくり読ませていただきました。願わくば、同じ境遇で子育てをしている方、将来子供を産み育てていこうという若い方、子育てとは無縁の方も、一人でも多くの方にこの作品とこちらのレビューを読んでみてほしいです。大人たちがみんなで子供を愛し育てていける社会になりますように。
読者はそこを愛溢れる孤児院だと信じて疑うことなく読み進めていき、作中の子供たちは順番に里親に引き取られていく。
そのうちの一人を見送った時に読者が知る、衝撃の事実。
子供たちは実は、里親に引き取られたのではなく……。
真実があまりにもむごたらしく、残酷なストーリーを受け入れて読み続けることに精神力を要します。
しかしながら、究極に絶望的な状況を打開しようと知恵を集結して立ち向かう子供たちの勇気に、読んでいるこちらも希望を抱かずにいられません。
時に目を覆いながら、時に涙しながら、読み進めています。
読み進める手が止まりません。心をがっちり掴まれます。
宇宙の分野においては、現代でもなお常識が覆される事例があるわけで(冥王星が惑星から外された時はなかなかの驚きでした)、この作品の時代に地動説が提唱された日には、それはもうとてつもない衝撃だったことでしょう。
地球が動いていることを証明しようとする天文学の研究をなんとしても排除したい宗教側と、命懸けで真理を突き止めようとする者たちとの戦いが凄まじい。地動説を支持する者は異端としてごう問され処刑されるというのに、彼らは決して怯まない。それほどに大きな、人生をかけて次に繋いでいくべき発見だから。
信念を貫いて死んでいく者たちのセリフが強烈に記憶に残りました。魂のこもった言葉たちに目頭が熱くなります。
現代ならば突飛な説を提唱しても指をさされて笑われる程度でしょうが、当時は目を潰されたり生きたまま火炙りにされる覚悟でやらなければならない。そんな状況下でも地動説の研究を諦めなかった人々の存在に思いを馳せながら、この先のストーリーを読み進めていきたいです。
グサグサくる内容です。無知で愚かな若かりし過去に、何かしらの心当たりがある読者の方も多いのでは。
私にもあります。若かりし頃の心当たりが。置いてけぼりで、場違いで、今思えば感じる必要などなかった焦燥をジリジリと感じて、自分で自分をどんどん貶めてしまった過去が。
若さゆえの経験不足で、無知を無知と言えない、言っちゃいけない場面なのだと信じ込んでしまう。そして手玉に取られて騙されたりする。まさにこの作品の主人公の状況です。
とてもリアルだなと感じました。一定の年齢になれば自然に身につく処世術がまだ習得できていない、けれどもう大人として世に出ていかなくてはならない、危うい年齢。愚かで、不器用で、自分の置かれている状況に苦しさを感じながらも、必死に辻褄を合わせて、いや自分はなかなか悪くないんだと言い聞かせる。そのひずみが、じわじわと自分をみじめにしていく。
彼に無条件の愛情を持って、守り導いてくれる大人がいてくれたなら。お金も思想も何も関係ない、無条件の。
美しき皇帝と勇ましい妃嬪の、謎解きミステリー。
たくさんの武具と共に後宮入りした、たくましい主人公。性格は明るく誰にも分け隔てなく、いつも前向きな姿勢に好感が持てます。
ところが実は、主人公は悲しい運命のもとに生まれていて……。
主人公のこの性格の良さは、強く大らかに育ててくれた老師と、いつも美味しい料理を作ってくれた侍女の明明の存在があったからこそ。また、引き離される運命にありながらも娘の無事を願った母親の愛にも護られたのかなと感じました。
陛下が見目麗しい。まつ毛がお美しいです。
高貴なお方ながら気さくな陛下は、溌剌とした主人公をお気に召したご様子。今はまだ男女の雰囲気ではありませんが、この先の恋愛要素にも注目していきたいです。
陛下は主人公の勇ましさを見込んで、とある事件の調査を依頼します。後宮で起きている不穏な出来事の真相は? 今後の謎解きに期待が膨らみます。
耽美で退廃的な小説を読んでいるかのよう。ホラーでもあり、ミステリーでもあり。
主人公は鹿ノ子だと思いますが、視点は様々な登場人物に移動します。それぞれの過去や心の内が少しずつ晒され、物語の全容が徐々に見えてきます。
どこかおかしい人、どう見ても異常な人、暫定的に正常だと思われる人、もうこの世にいない人、そして人ではないモノ……各々の関係が絡み合いながら進んでいくストーリーは謎だらけで、それが少しずつ明かされていくにつれ、人物たちの深い闇に引きずり込まれていく感覚です。ハマるとなかなか抜け出せない。
絵は個性的で、人物が突然に鳥肌が立つような不気味な表情を見せることがあり、夜中に一人で読むと想像以上に怖いです。
バレーボールに興味が無かった私がどハマりした漫画です。とにかくストーリーが面白い。個性豊かなメンツが集まってチームになっていく様は、まさに青春そのもの。緊迫した試合展開、濃密な練習時間、どれもがキラキラしていて目を奪われます。
舞台が高校のバレー部ゆえ、おのずと登場人物の人数は多くなりますが、主人公が所属する烏野高校バレー部はもちろんのこと、各校のどの選手も魅力満点です。作者さんお見事です。
推しを見つける楽しさもあって、友達や家族と盛り上がりながら読むのも良いと思います。
笑いの要素がふんだんで、選手たちの掛け合いがとにかく面白いです。
それでいて真面目な場面では本当に見入ってしまう。つい泣けてしまうことも。心に残る素晴らしい名言も数多く出てきます。
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BEAST COMPLEX