5.0
ストーリー展開が完璧
別の漫画サイトで偶然見つけ、ドはまりした漫画。
会社経営をしている両親から愛情を注いでもらえない藤乃。しかも父親からは自身の利益の為の駒としてしか扱われず、政略結婚に利用する為に幼い頃よりお嬢様教育を強いられ、完全に籠の中の鳥状態。
そんな味方のいない実家で、藤乃が辛い時いつも寄り添い優しく接していたのが使用人の廣臣。
廣臣もまた幼少期に両親を亡くし、藤乃の父親から下僕のように扱われており、自分を気にかけてくれる藤乃が唯一の救いだと思っている。
これ、お嬢様と使用人の禁断の恋と言う話なんだろうけど、この漫画のいい所はいい意味で先が読めないこと。
紆余曲折ありながらもこの二人結ばれるんでしょ?という展開にならないんじゃないかと思わせられる。
その理由が廣臣の藤乃への想い。
一言で言うと歪んでいるんだけど、とにかく藤乃の幸せを一番に願っている。藤乃を守る為なら自分を犠牲にしてまで汚い事をやる。
だけど藤乃を手に入れる為にやっているのではなくて、藤乃を本当に大切に想い守ってくれる人が現れ、藤乃もその人を心から愛しているなら自分は身を引く覚悟も出来ている。
大学で出会った神崎が藤乃を大切にし守れる存在かどうか冷静に見定めるシーンもある。
それに、廣臣自身も藤乃を守る為とは言え、裏で数々の汚い事に手を染めた自分は藤乃には相応しくないと思っているんじゃないかなぁって思う。
正直、廣臣と神崎、(もしかしたら別の誰か?)どっちと結ばれるのか読めない。
神崎も藤乃に対して誠実でいい男なの。
藤乃と廣臣、双方の置かれてる苦境から解放されるには、どういう結果が望ましいのか、ここまで考えると単純に二人が結ばれればハッピーエンドだよね、とはならないんだよね。
廣臣と一緒になれば結局主が父から廣臣に変わっただけで一生鳥籠の中だし(多分廣臣は超過保護)、廣臣だって今の苦境から解放されるには藤乃から離れた方がいい気がする。でもそうなると、脱け殻のような人生を送ってしまうのかなとか、いくら考えても二人にとっての最良が分からない。
だから面白い。
登場人物の心理描写が細かく、特に廣臣の藤乃に対するもどかしいくらいの想いは悶絶する。そしてストーリー展開も上手い。完結してたら間違いなく全部課金して読んでいた。
本当にオススメ。
- 85
従僕と鳥籠の花嫁