4.0
恋愛は人を狂わせる、けれど
モノクロ版で読んでいましたが途中で読むのを止めてしまっていたので、フルカラー版で完結までを見届けました。どう決着するのか気になっていたのですが、きちんとハッピーエンドだったのでよかったです。
ストーカー行為それ自体は決して許されるものではないですが、あくまでも漫画の中での設定として考えると、藤子を愛おしく思う気持ちが少し歪んだ形で行動に出てしまっただけなんですよね。仁科さんの行為は藤子を護りたいという思いが暴走してしまった結果であって、藤子を直接傷付けてはいないですし(もちろんバレた時に藤子は精神的にダメージを受けたと思いますが)仁科さんの藤子に対する愛情は、実際にはとても純粋でまっすぐなものなんだろうな、と思いました。
藤子のストーカー行為をしていた犯人が仁科さんだとわかってから藤子が自分の思いに正直になるまでの葛藤は、仁科さん=ストーカーをしていた相手、というところにばかりフォーカスしている感じで、藤子はどうして自分自身の気持ちとしっかり向き合わないんだろう、と思ってしまい、これがモノクロ版で読むのを途中で止めた理由でもありました。
自分の行為をしっかりと見つめ直して反省し、徹頭徹尾「藤子さんを護りたい、幸せでいてほしい」という気持ちを軸に、いろいろと考え行動し続けた仁科さんと比べて、自分の気持ちに素直になるまでの藤子はどこか他力本願というか、意思決定を他人に委ねているようなところがあって、そこだけは感情移入できず、仁科さんが不憫に思えてしまいました。
最終的には、お互いにお互いの気持ちに素直になって、お互いに正攻法で真正面から相手と向き合い、想いを通じ合わせることができていたので、仁科さん報われてよかったね、という気持ちで読み終えました。
終わり方が少し唐突でふたりの結婚生活も見てみたかったのと、途中の藤子の葛藤に共感できなかったので、星をひとつ減らしていますが、最後まで読んでよかったなと思えた作品でした。
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癒やしのお隣さんには秘密がある【フルカラー版】