5.0
成海との幸せな未来はありえない
成海のようなタイプの男との幸せな未来はありえないから、この結末しかないと思う。
何人かの主要な登場人物からの視点でストーリーが描かれているのに、ただ一人だけ成海からの視点が描かれていないので、成海の気持ちが最後まで謎のままだ。人の気持ちを考えず、自分の気持ちのまま行動する成海は発達系?水帆との最後の別れのシーンはひどすぎる。別れを惜しむでもなく、「じゃ、もう俺行くから。」と水帆を一人で置いていく場面からは水帆への愛は全く感じられない。
では、成海にとって水帆はどんな存在だったのか?
他の遊び相手の女とは少し違う。深い人間関係が苦手な成海だが、自分と似ている水帆に興味を持ち、わずかだが変化をもたらした。
人間の脳は簡単に自分を騙す。
最後に、水帆が子供の頃好きだったお兄さんに会って、自分の記憶の改ざんに気づくシーンが象徴的だった。
いずれ、成海の事もどんな奴なのか気づくときが来るのだろう。
しかし、図書館の館長さんが言っていたように、人を愛する事はそれだけで価値があると思う。なぜなら、それにより水帆自身が変わった。
- 0