3.0
狂気の世界を堪能する作品
とうに亡くなった実在しない男性の写真と日記だけで、すっかりその男性に心酔してしまった二人の女性が、それぞれの愛を昇華させるべく行動しますが、一言で言って二人とも狂っている。だけどその理解不能な狂気に怖さとどこか美しさも感じます。
オチは途中からなんとなく読めたので驚きはなかったです。やっぱりそういうつもりだったかー、という感想。死者に恋した二人の女性は結局『誰かの命を犠牲にしてでも理想の彼を顕現したい』というところで同じだった。
短編でサクッと読めるところは良かったけど、怖さと気持ち悪さが心にぬるっと残る作品でした。新興宗教に夢中になってる常識の通じない信者を見てる気分に近いかな。
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死者恋