rokaさんの投稿一覧

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評価1 5% 35
81 - 90件目/全151件
  1. 評価:3.000 3.0

    ギャップの発明

    昔は結構、真剣に読んでいた。

    前半の、のどかで平和な村での生活のラブコメ的な描写と、猟奇的で残酷なホラー展開のギャップというのは、今にして思えば、ひとつの発明だったのだろうと思う。
    それも、恐怖の対象である第三者の登場によってヒロインとの生活が脅かされる、というギャップではなく、ヒロインそのものが恐怖の対象に変わる、というギャップである。
    これが、新しかった。

    ふんだんに盛り込まれた「問題編」の謎は、なかなか吸引力があり、「解答編」が読みたくてしょうがなくなった。
    その形式、および、原作ゲームのエピソードをばら売りにして次々と作品を「増殖」させていったようなメディアミックスの展開も含め、なかなか商売上手な作品であった。

    しかし、期待しまくったわりには「解答編」がズバッと決まっておらず、一種のSF的な文脈も受け入れがたくて、若い私の熱がいっきに冷めたことは、今でもよく覚えている。

    • 3
  2. 評価:3.000 3.0

    緊迫感のなさ

    ちゃらんぽらんだが、人の感情を「読む」能力(超能力的なそれというよりは、表情を読み取る力があり得ないレベルで高い、みたいな感じ)を持つ刑事が主人公のサスペンス。

    それなりに楽しく読めたのだが、どうにも入り込めなかった。
    理由はもう、はっきりしていて、良くも悪くもこの作品の色であるところの緊迫感のなさが、私はどうしても駄目だった。
    「金田一少年」や「コナン君」よりも対象年齢は高い漫画のはずなのに、明らかに緊張感に欠ける。
    サスペンス漫画において、一定の緊張感というのは生命線であると私は思うから、この漫画は「合わなかった」という他にない。

    主人公のふざけたキャラクターやポップな絵柄に反して、事件は、目をくりぬかれるとか、バラバラだとか、小指を持ち去るとか、かなり猟奇的なものが多い。
    このあたりはバランスの問題で、あまりに陰惨に過ぎるトーンをコメディ色で緩和しよう、という狙いはあってもいいとは思う。
    だが、個人的には、その割合が大きすぎて、結果「もうちょっと真面目にやってくれ」という思いが拭えなかった。
    決して完成度の低い漫画ではないと思うが、残念。

    • 3
  3. 評価:3.000 3.0

    漫画と原作について

    私のレビューは結構いい加減で、評価の軸がぶれていたり、気分によってかなり左右されたり、という有様だから、後から読み返すと「これは甘すぎたな」と思うことはちょくちょくある。
    ただ、逆はほとんどない。
    つまり「これは酷く言い過ぎたな」ということは少ない。
    仮にも他人の作品の悪口を言うことについては、私はわりに慎重になっているのだろう。
    まあ、それはいい。
    それはいいとして、「原作の小説がある」という漫画に関しては、私はわりに明確な評価指針を持っている。

    星一つ…原作を冒涜している。または、そもそも原作自体が腐っている。
    星二つ…原作の魅力を損なっている。または、そもそも漫画化する意義を感じない。
    星三つ…漫画として破綻はないが、原作の魅力には大きく劣る。または、再現度は高いものの、大して魅力的な原作ではない。
    星四つ…原作には及ばずとも、原作の利を活かし、原作の魅力を十分に引き出している。
    星五つ…「原作を上手く漫画化した」以上の特別な何かがそこにあり、原作とは別の意味で、ひとつの作品として素晴らしい。

    多分、今まで原作の小説がある漫画で星を五つつけたのは、「鉄鼠の檻」と「パノラマ島奇譚」だけだと思う。
    星四つは、「光媒の花」や「ユリゴコロ」や「夜行観覧車」や「絡新婦の理」、他にもあったと思う。

    本作は、迷いなく、三である。
    話としてはそれなりに興味深かった。
    しかし、どう考えても叙述が鍵になるタイプの作品で、この魅力を漫画でもって再現しようとすること自体、ちょっと無理があったような気もする。

    • 3
  4. 評価:3.000 3.0

    ライト版「犬神家の一族」

    昔懐かしいホラー漫画だと思って何となく読み始めたら、完全に「犬神家の一族」の少女版で驚いた。
    外部から連れ戻された村の名家の子、それとは別の三人の娘を巡る跡継ぎ問題と連続殺_人、血縁の秘密と因習。
    完全に横溝正史である。

    これをパクりと呼ぶかはまあ、微妙なところだが、ギリギリオマージュの範囲として、それなりに楽しめた。
    ただ、ここまでやるなら、もっと徹底して忌まわしい、おどろおどろしい雰囲気にしてほしかった気もする。

    • 5
  5. 評価:3.000 3.0

    ただ忘れ去るだけ

    短編集。
    表題作と「パンドラの遺言」を読んだ。

    表題作は、完全に拍子抜け。
    ホラーではないし、何やら非常に中途半端な印象で、がっかりした。

    「パンドラの遺言」は、心霊ホラーと火サス的なミステリーの合わせ技みたいな話で、私はこういうタイプの話は嫌いではなく、それなりに興味深くは読んだが、さしたる驚きも魅力も感じられなかった。

    派手な破綻なく普通に読めた、という以外に特筆すべき点はなく、私にとっては、ただただ忘れ去ってゆくだけの作品のように思われる。

    • 3
  6. 評価:3.000 3.0

    いたって普通

    短編集。
    尺の都合なのだろうが、ちょっと展開が性急で、しっかりホラーの雰囲気を作れていないように感じる。

    タイトルで謳うほど後味が悪いわけでもなく、いたって普通のホラー漫画だった。
    こちらとしても別に「それ以上」を期待して読んだわけではないので、まあいいのだが。

    • 3
  7. 評価:3.000 3.0

    能力者の好感度

    人の写真を指で押すとよからぬ影響を与える、という特殊能力を持った、神社の息子の兄弟の漫画。

    「デスノート」の亜種みたいなものかと思って読み始めたが、全然違う。
    作品の手触りはサスペンスというより、むしろヒューマンである。
    そういう意味では、表紙が悪い。
    「気に入らない奴はどんどん消してやるぜ…この指でな!」みたいな表紙じゃないですか?

    主人公の能力者兄弟はいたって好青年で、「デスノート」の夜神のライちゃんみたいな野望もなく、ああいう道徳心の欠如したサイコ系でもなく、自らの能力を恐れ、葛藤しながら生きている。
    ストーリーは正直、もう一捻り欲しいし、無理があるところもあるけれど、人間らしい兄弟の好感度が助けとなって、なかなか気持ちよく読めた。

    ただまあ、登場人物たちの顔の描き分けは、ちょっと気になる。

    • 5
  8. 評価:3.000 3.0

    漫画の台詞について

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    「子どもの頃にネット上に書いたことが大人になってから現実化してきてヤバい」というストーリー。

    正直、その設定自体も大してインパクトはないし、設定何でもありの不条理なサバイバル系漫画の亜種みたいなものとしてダラダラ読んでいた。

    が、事件が超常現象的なそれではなく、あくまで人為的に起こされたもの、つまり「犯人」がいる、という展開になってからは、ちょっと面白かった。
    ストーリーは、冷静に考えると突っ込みどころは多すぎるが、そこはまあ、勢いで何とかごまかせている。

    ただ、どうにも気になるのは台詞回しで、「いや、現実世界ではそんなこと言わないだろ」という台詞が多すぎる。
    もちろん、漫画なので、漫画なりの台詞というのはあっていいのだが、程度問題であって、ギャグ漫画でない限り、あまりに現実と乖離した台詞のオンパレードは、私は苦手である。

    • 3
  9. 評価:3.000 3.0

    姫を追う道の上で

    「オタサーの姫」がなぜ死んだのか、そして、彼女がどんな人間だったのか、を追いかける形式のゆるいミステリー。

    サスペンス的な緊張感や盛り上がりはまるでないのだが、まずまず面白く読めたのは、彼女の秘密を追う過程で、男たちが自らの愚かさに気づいてゆく、という図式が、なかなか上手く決まっていたからだと思う。
    ここは、新しかった。

    事件の真相には賛否あるだろうが、私はまあ、アリではないかと思う。
    ただし、「真相の後」のくだりは、本当に要らないと思うし、作品に余計なケチがついたとしか思えない。

    • 3
  10. 評価:3.000 3.0

    腑に落ちないところも

    原作は、新書。
    少年院に収監される少年たちの中に軽度の知的障害を持つ者が多いことに着目して、認知能力を改善するためのプログラムの必要性を論じた本であるらしい。
    (申し訳ないが、未読。)

    作品の性質上、当然と言えば当然だが、少年院の少年(女性も含む)たちの記録が、淡々と綴られる。
    だが、退屈という印象はなく、不思議と読ませる。
    このあたりは、この漫画家の特質かもしれない。
    決して「上手い」絵ではないが、なかなか豊かな表現をする。

    また、この漫画の作者は、他の作品も含めて、エンターテイメントのための過剰な演出はしない、と心に決めているような印象を受ける。
    賛否あるだろうが、私は、その姿勢を支持している。
    「現場」をリアルに描こう、という志は、この人のどの作品でも徹底されており、大したものだと思う。

    気になった点は、二つ。
    ただし、どちらも原作段階の問題であり、漫画の問題ではないのだが。

    ひとつは、タイトル。
    個人的には、好きになれない。
    新書を売るためにインパクトのあるタイトルを、というのはわかるし、事実、それが成功して本は売れたわけだ。
    しかし、穿った見方かもしれないが、「ケーキを3等分することも出来ないんでっせ、ヤバくない?」というような、少年たちの知能の異常性を見世物的に扱ったような印象を受けて、ちょっと、首を捻った。
    作品の中身を見れば、全くそんなことはないのだけれど。

    もうひとつは、「軽度知的障害」という設定だって、所詮は誰かが決めた恣意的なボーダーなんじゃねえの、ということだ。
    少年犯罪と認知能力の間には相関性があり、認知能力の改善が非行の抑止になり得る、という原作の主張に基づいて、この漫画は描かれている。
    しかし、その根本のところを、私はイマイチ信用できなかった。
    それは事実であるかもしれないが、事実の一部でしかないと思うからだ。

    例えば、少年犯罪と、残酷な描写のあるホラー映画の影響が結びつけられる、というのとそう変わらないレベルの、眉唾物の話だと言ったら、さすがに失礼だろうか。
    こんな考えは希望がなさすぎるかもしれないが、ホラー映画を見て凶悪犯罪に走るような人間は、別にジブリを見たって同じだろ、と私は思う。
    ちなみに私は、残酷な描写のあるホラー映画、大好きですけどね。

    • 43

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