rokaさんの投稿一覧

投稿
755
いいね獲得
23,006
評価5 20% 150
評価4 28% 214
評価3 30% 230
評価2 17% 126
評価1 5% 35
61 - 70件目/全151件
  1. 評価:3.000 3.0

    ダイナミック

    ネタバレ レビューを表示する

    最初は、絵柄(特に登場人物の)がホラー漫画にあまり向いていないような気がしたのだが、恐怖表現の描写にはなかなか迫力があって、「おー」と思った。

    特に、最初の探偵のエピソードは、探偵が主人公なのか何なのか微妙な位置で始まるので、それがあっさり噛ませ犬として退場した展開には、よしよし、と思った。

    ただ、いかんせん、心霊現象がダイナミックに過ぎる。
    もちろん、私は「本物の」心霊現象がこういうものだ、ということを実感を持って知っているわけではないけれども、ここまでくるとさすがにファンタジーの域である。
    それがホラー漫画にあってはならないわけではないものの、作品にはやはり「枠組み」みたいなものがあって、本作のホラー描写は、いささかそれを逸脱しているように感じられ、あまり入り込めなかった。

    • 5
  2. 評価:3.000 3.0

    古きよき、だが

    古きよきホラー漫画時代を思い出す短編集。
    表題作は「怖い昔話」風の一編。

    これは今まで色んなホラー漫画のレビューに書いてきたのだが、幼い頃、従姉の家に行くと必ずホラー漫画雑誌が置いてあって、それを読むのが楽しみだった。
    もちろん、あの頃のドキドキみたいなものは永遠に戻らないのだが、私にとってはひとつの原体験みたいなものだったと言ってよいかと思う。

    そういうわけで、この種の漫画を読むときは、いつも一種の懐かしさと慕わしさを覚える。
    それだけで十分と言えばまあ、そうなのだが、大人になった今でも楽しめた、と言うには、本作はちょっとパワー不足のような気もした。

    • 4
  3. 評価:3.000 3.0

    比較の問題

    素人探偵である主人公の少女が、死んだ兄とコンビを組んで事件を解決してゆく話。

    同じ作者の「名探偵マーニー」という漫画があり、作品の枠組みや雰囲気はかなり類似している。
    大きな相違点としては、死んだ兄が主人公のバディ役である点で、これがもちろん、本作のアイデンティティーである。
    が、私は正直、この設定にイマイチ乗っかれなかった。
    乱暴に言えば、この設定は「要らない」と思った。
    本作がつまらないわけではないものの、比較をすれば、明らかに「名探偵マーニー」に軍配が上がるのではないか。

    作者は短編の名手であると思う。
    以前、「名探偵マーニー」のレビューの中で、「ここまで短編が上手いともう短歌とか俳句の芸の世界」という意味のことを私は書いたが、その本質は「削ぎ落とす」ということに他ならない。
    限られた尺の中で十分にドラマを描くためには、余計なものはことごとく削ぎ落とさなければならない。
    それこそ、肉を落とされた骸骨のように。

    しかし、「死んだ兄が相棒として存在している」というのは、結構重たい「肉づけ」なのだ。
    この存在がある以上、主人公にも、兄にも、見せ場を与えないといけない。
    また、本作は悪事に手を染める人間のバックグラウンドに、人の悪意を具現化したみたいな霊的な存在(イメージは「ホムンクルス」という漫画のそれに近い、本質的には全然違うけど)も描いているので、その描写も必要になる。
    結果、限られた尺の中では許容量オーバー気味になり、詰め込まれた要素は増えているのに、話としては薄くなっている、と感じた。
    また、「名探偵マーニー」で感じられたような「削ぎ落とされた短編の美学」みたいなものも、かなり目減りしてしまっている気がした。

    ただ、仮に「死んだ兄が相棒」の設定をなくすと、これはもう、「名探偵マーニーと同じじゃん」ということになり、何か変化をつけるしかなかったのはわかる。
    が、正直それならもう、「名探偵マーニー2」でよかったんじゃないか、という気がしないでもない。

    まあ、これら全て比較の問題であって、純粋に本作を見た場合、私の評価はちょっと厳しすぎるかもしれない。

    • 3
  4. 評価:3.000 3.0

    実在、はともかく

    アパレルの接客業で働く主人公が、次々と舞い込んでくる心霊関係の依頼を圧倒的な霊能力で解決していく話。

    あくまで漫画単独としての評価であり、主人公のモデルが実在した霊能者であるとか、そういう話はいったん置いておく。

    テンポよくサクサク読めるけれど、心霊漫画として特筆すべき点を私は見出だせなかった。
    いわゆる「実話に基づく」という枕がなければ、大して印象に残らなかったと思う。

    今まで様々なオカルト媒体から得てきた知識を凌駕するようなものも特になく、「やはり本物の霊能者が言うことは違うな」みたいな鮮烈なインパクトも説得力もなかった。

    結構な量のレビューを書いてきて、初めてこの話をするが、私は正直、幽霊の存在は、まあまあ信じている。
    一度だけ、多分、幽霊を見たこともある。
    ただ、「霊能者」の存在には、どうにも胡散臭さを感じてしまう。
    これは、世の中にエセ霊能者が溢れているせいなのだろうが、いずれにしても何かを信じられないというのは、残念という他にない。

    • 4
  5. 評価:3.000 3.0

    普通のホラー

    よくも悪くも、普通。
    普通の怪談話。
    それ以上の何かを求めて読んだのか、と問われれば答えはノーなのだが、それにしても、普通。
    そんな本作に捧げる星は、三つ。

    いわゆる「実話怪談」テイストで、こんなものと言えばこんなものなのかもしれないが、私はやはり、「普通ではない何か」を求めてホラーを読む、という夢を捨てられない。

    • 3
  6. 評価:3.000 3.0

    小さな振れ幅

    人生の土壇場で、遺品整理の仕事に拾われた主人公の話。

    基本線は「遺魂断ち」を生業とする特殊な人間たちの活躍を描くオカルト路線なのだが、私はあまり特筆すべき点を見出だせなかった。
    ホラーの側に振れたり、ハートウォーミングな側に振れたり、おそらくその両方をやりたかったのだと思うが、どっちつかずというか、その振れ幅が小さい。
    かといって、キャラクターに突出した魅力があるかというと、そうでもない。
    結果、大して冷えもしないし温まりもしない、という微妙なところに落ち着いてしまった気がしてならなかった。

    • 4
  7. 評価:3.000 3.0

    悲劇の顕示、みたいなもの

    同性愛の問題はいったん置くにしても、ある種の時代においては、誰かを失うということが、文字どおり、世界の終わりになり得る。
    それはしばしば、大人になってから振り返れば「何であんなことで傷ついていたんだろう」と首を傾げるような類の傷であったりするのだが、これはもう、完全に大人が間違っている。
    痛みや不幸なんて、その瞬間には絶対的なものだ。
    「何であんなことで」というその些細な傷こそが、その時代には、全てだったのだ。
    本作は、その部分をなかなかリアルに、またクリアに描いていて、そういう意味では、普遍的なものを表現し得ている作品だとは思った。

    ただ、ここは本当に難しいところなのだけれど、私は、ちょっと「悲劇の顕示」みたいなものを感じてしまって、それが鼻についたというか、イマイチ入り込めなかった。
    わかりやすく言えば、「ほら、こういうのって悲惨だよね、汚れた大人になってしまう前ならではの時代の悲劇だよね」というようなうるささを、どこかに感じてしまったのだ。
    この点は、正直どうにも作品に非があるようには感じられず、ただただ、申し訳なかった。
    作品と読者の相性というのは、とても微妙で、難しい。

    • 5
  8. 評価:3.000 3.0

    ゴゴゴゴゴ…

    ネタバレ レビューを表示する

    申し訳ないが、はっきり言って、面白くはなかった。
    登場人物たちの行動が不自然に過ぎて、「嗚呼、これは恋愛に疎い人が描いてるな」という性格の悪い感想が浮かんだ。
    だいたい、浮気の模様をSNSの裏アカウントに綴る既婚の男なんているか?
    まあ、そういう人間がこの世にいてはならないとは言わないが、私はこの時点でいっきに冷めた。

    星をひとつ足したのは、作者の意図とは全く別のところで、妙に笑えたからである。
    ところどころに、何か「ジョジョ」とか「HUNTER×HUNTER」とかの心理戦のシーンみたいな演出が入る。

    読んだ人は、ちょっと読み返してみてほしい。
    例えば、主人公が夫の浮気相手を突然に悟る場面。
    「私の女の勘が言っている」
    このシーンは、「HUNTER×HUNTER」でスクワラというキャラが散るシーンを彷彿とさせる。
    実際、この気づきは唐突極まりなく、主人公が念能力でも使っているとしか思えない。

    あるいは例えば、主人公が急に誘惑されるシーン。
    主人公の夫の浮気相手の夫が、
    「あなたを抱くというメリットがね」などと言っていきなり駆け引きを始めるわけだが、このあたり、背景に「ゴゴゴゴゴ…」という文字を入れたくならないだろうか。
    私はこれが面白くて、「この男ッ!妻の不倫相手の妻に関係を迫るタイプのスタンド使いッ!」とか妄想して遊んだ。
    それくらいしかすることがなかった。

    うーん、恋愛漫画のふりをした、バトル漫画のパロディ風ギャグ漫画にすればよかったんじゃあないか?

    • 15
  9. 評価:3.000 3.0

    決まらない豹変芸

    以前、この作者の「灰色の乙女」という漫画を読んだとき、登場人物の豹変によって恐怖を演出することに成功している、という印象を持った。
    本作でもその「豹変」は健在で、人間のいわゆる「裏の顔」みたいなものは、この作者が入れ込んでいるモチーフなのかもしれない。

    ただ、本作の場合、「灰色の乙女」で見られたほど、その「豹変芸」は上手く機能していないように思えた。
    それはおそらく、登場人物を支えるバックボーン的なものに、イマイチ説得力を感じなかったからではないかと思う。

    「灰色の乙女」の場合、それは端的に言えば「愛」だった。
    歪んだ愛かもしれないし、あれを愛とは呼ばない人が多くいることも受け入れるが、少なくとも主人公にとっては、愛だった。
    が、本作、それが何なのかイマイチ伝わらない。

    ナチュラルな豹変は狂気だが、作り物の豹変は途端に「演技」に成り下がる。
    私は「灰色の乙女」の狂気的な部分に惹かれただけに、本作の演技的な豹変には、いささか残念な気持ちになった。

    • 2
  10. 評価:3.000 3.0

    ホラーとスタイリッシュ

    実によく出来た漫画だと思った。
    漫画としての表現力の豊かさ、という意味では、確かな技量のある作者なのだろうとも思った。
    コマの使い方に自由さがあって、派手で、スタイリッシュである。
    しかし、私はこれを「ホラー漫画」であるという前提で読んだ。
    そうすると、この「スタイリッシュ」は、いささか問題なのだ。

    例えば映画で、「スタイリッシュなアクション」という宣伝をよく目にする。
    アクションでスタイリッシュならば、それは「売り文句」になるということだ。
    あるいは、「スタイリッシュなラブストーリー」というのも洒落た印象を与える。
    「スタイリッシュなサスペンス」なんていうのも、新進気鋭の感が出て悪くない。
    だが、「スタイリッシュなホラー」、これは、聞いたことがない。
    私が気づくまでもなく、それは「売り文句」にはならないのだと、ホラー業界の人間たちは知っているのだろう。
    要するに、「ホラー」と「スタイリッシュ」は、相性が悪いのだ。

    上手く説明できないから、私が今までレビューで高評価をつけてきたホラー漫画をいくつか挙げる。

    「裏バイト:逃亡禁止」
    「ミスミソウ」
    「不気田くん」
    「座敷女」
    「死人の声をきくがよい」
    「サユリ」
    「ユーレイ窓」
    「おろち」
    「不安の種」
    「マガマガヤマ」

    ほらね、「スタイリッシュ」なんて形容できそうな作品はひとつもない。
    ある意味では、スタイリッシュの対極にあることが、ホラーである、ということなのではなかろうか。

    ただ、言い方を変えれば、ホラー漫画として読まなければ、楽しい作品だ、ということになるのかもしれない。
    しかしまあ、この筋立てでホラーとして読むな、というのは、ちょっと無理がある。

    • 5

設定により、一部のジャンルや作品が非表示になっています