rokaさんの投稿一覧

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31 - 40件目/全152件
  1. 評価:3.000 3.0

    「ちょっとだけ」の集積

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    継母との関係が上手くいかない大金持ちの家の一人娘が、家出をして狂言誘_拐を企てる、という話。

    正直、真面目なサスペンスとして見ると、「そんなに上手くいくわけないやん」という話で、あまりに粗が多すぎる。
    ジャンルで言えば「サスペンスコメディー」みたいな位置づけだと思うのだが、それにしては笑えない、というのも痛い。

    ただまあ、ちょっとだけハラハラして、ちょっとだけ心温まって、ラストのどんでん返しでちょっとだけ「おー」となる、という意味で、それほど悪い作品でもないのかな、とは思った。
    全てが「ちょっとだけ」だが、その集積によって、ある程度の見どころを保っているような作品。

    • 3
  2. 評価:3.000 3.0

    突然雑になる

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    前半、というか序盤は、まずまず興味深く読んだ。
    美大に落ちた主人公が自らのアイデンティティーを喪失し、母親の価値観に従うだけの人間になり果ててゆく様や、そこから抜け出そうとする姿は、なかなか丁寧で、表現として力があった。

    しかし、何が起こったのか知らないが、そのような心理描写は突然、雑になる(としか私には思えなかった)。
    街中で不意なきっかけから絵を描き、そこから降って湧いたようなシンデレラストーリーみたいな展開、私は何かげんなりしてしまった。
    こんなの、トーストをくわえて曲がり角でイケメンとぶつかるのと同じレベルの話だと思うのだが、何がどうしてこうなったのだろう。

    • 7
  3. 評価:3.000 3.0

    得るものは金、失うものは何?

    父親の会社が倒産し、学費を稼ぐ必要に迫られた主人公は、飲み会に参加して報酬を得る、というバイトを始めるのだが…という話。

    こういう「転落系」の漫画は、「闇金ウシジマくん」を水で薄めたみたいな作品ばかりで、リアリティーも迫力も何もない、ということが多いのだが、「転落」の過程における心理に関しては、なかなかリアルに描かれていたのではないかと思う。

    「若さと美しさを効率よく金に換えて何が悪いの?」
    それが彼女の陥った「理屈」だが、実際問題、この理屈を看破することは難しい。
    ただ、私が思うのは、その「交換」は、物々交換のような単純な一対一の交換ではない、ということだ。
    自分では「交換」と思い込んでいるその過程で、目に見えにくい諸々を失っていることに、彼女は気づいていない。
    自尊心だとか、金銭感覚だとか、価値観だとか、何を幸福と感じ得るかという感受性だとか、そういったものを磨り減らし、損ない得るのだ、という覚悟や危機感がない。

    そういえば、ウシジマくんが言っていた。
    「簡単に得た金は、簡単に使う」ってね。

    • 22
  4. 評価:3.000 3.0

    いるわけねえ彼ら

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    殺_人者として育て上げられた主人公が、死後の世界で、自分を殺した殺_人の師匠みたいな人間と親子関係になり、新たな「人生」を歩み始めるのだが、という話。

    この死後の世界、という設定が独特で、簡単に言うと、生前に「こうありたい」と望んでいた人生が叶えられているパラレルワールド、みたいな感じで、かつ、生前の記憶を保持している人間もいる、というもの。
    この設定自体は、なかなか面白いと思った。

    ただ、どうにも引っかかるのは、「殺_人者として育てられた少年少女」も、「少年少女を殺_人者として育て上げる男」も、とにかく「普通すぎる」ということだ。
    そんな人間たちが「普通」のはずはないだろう。
    じゃあどんなふうに描けばいいのか、私にはわからない。
    なぜなら、そんな奴らいるわけねえからである。
    ただ、この「いるわけねえ」人間にリアリティーを感じさせるのが、フィクションの本分というものではなかろうか。

    • 4
  5. 評価:3.000 3.0

    寄生獣の影響

    母星を追われた異星人が、地球人に化けて「同化」を目論む、という話。

    良くも悪くも、思いっきり「寄生獣」の影響を受けている。
    ストーリー然り、絵柄も然り。

    ベースは完全に「寄生獣」なのだが、序盤から異星人が人間の子どもに愛着を感じるヒューマン系のアプローチと、ちょっとコメディー的な路線を含むのが、まあ一応、アイデンティティーではあるだろうか。
    実際、読んでいるときの感じとしては、「パクリ」という悪印象はそれほど受けなかった。

    ただし、どういったって「寄生獣」と比較するなというのは無理な話だし、そうすると、修行不足かな、という感は否めない。

    • 3
  6. 評価:3.000 3.0

    実話に基づくはずなのに

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    永山則夫の事件がモデルなのだろう、というか絶対にそうなのだが、なぜそれを明言しないのだろう。
    犯人の出自から家庭環境から事件に至る経緯からその後の執筆活動まで、明白に事実に基づいて描いているのに、なぜ永山則夫の名前を変えるのだろう。
    本質的なことではないのかもしれないが、どうにもそこは引っかかった。
    ここまで描くなら、実名でやるべきだと私は思った。

    多くの犯罪実録漫画に見られるような、安っぽい「見世物」的な方向性ではなく、犯行に至るまでの道筋を丁寧に追いかけようとしている点は好感が持てる。
    ただ、始めから着地点は「母親の愛情不足」というところに定められてしまっている感があり、確かにまあ、それが事実なのかもしれないけれど、特にラストは、描き方としてちょっと安直すぎる気はした。

    • 3
  7. 評価:3.000 3.0

    幻想としての家族

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    舞台は大正時代。
    家族を病で失った主人公の男が、疑似家族の一員になる、という奇妙な求人を受けるのだが…という話。

    着想は面白かった。
    それなりに不穏な雰囲気も楽しめた。
    が、設定とタイトルからほとんど誰しもが容易に予想し得る展開をひとつも裏切ることなく流れていってしまった、という印象が強い。

    「疑似家族」は当然、本当の家族ではない。
    しかし、ならば「本当の家族」とは何だろう。
    考えてみれば、家族という概念そのものが、本来、不確かで危ういものだ。
    それは、人類が歴史の中で獲得したひとつの幻想なのだと思う。
    疑似家族の描写を通じて、家族とは、ということにもっと斬り込んでくれれば面白かった気がするが、踏み込みが浅い感は否めない。

    • 2
  8. 評価:3.000 3.0

    支離滅裂の魅力

    オリジナリティーという部分では突出している。
    似た漫画がない。

    しかし、「どういう漫画なのか」と聞かれても説明できない。
    「読んでもらうしかない」という種類の漫画なのだが、かといって人に薦めるかというと、私は薦めない。
    面白かったかと言われると首肯しがたい。
    話としては支離滅裂に近い。
    だが、何となく読まされてしまう妙な魅力はあった。
    何の参考にもならないレビューで申し訳ないのだが、そういう作品である。

    ひとつ言えることは、本作に「ホラー」「ダーク」「怖い」などのタグがついているのは百歩譲るが、「ギャグ」のタグがついていないのは絶対に間違っている、ということだ。

    • 2
  9. 評価:3.000 3.0

    ホラーの論法

    怪談において、というか、本当は映画でも漫画でもホラーは全部そうなのだが、「わからない」という部分をどこにどう残すか、というのは、大事な焦点である。

    「訳がわからない」ということは、とても恐ろしいからだ。
    全ての伏線がきちんと回収され、話として綺麗にまとまる、という面白さもあるが、その魅力はミステリのそれであって、ホラーの本質とは別だ。

    本作の語り手は明らかに、その論法を意識して話を作り込んでいる。
    「おー、わかってんじゃん」とは思った。

    ただ、幽霊(的な何か)の描写に、恐怖感がない。
    このあたり、難しいけれど、結局「語り」でやった方が怖いと思う。

    「語られる」ことが前提の怪談の漫画化は、簡単にはいかない。
    これは、本シリーズ全てに共通して言えることだった。

    • 2
  10. 評価:3.000 3.0

    怪談と漫画と

    怪談の漫画化。
    オムニバスにするでもなく、単発の話で売られているのがよくわからないが、まあ、こういうのもあっていいかとは思う。

    正直、漫画として読む分には、特にどうということもない怪談話だった。
    ただ、これを然るべき語り手が怪談として「語った」ならば、その印象は大きく変わる可能性はあるだろうな、とも思った。

    当たり前と言えば当たり前なのかもしれないが、「語られる怪談」と、「その漫画化」は、全く別のことなのだな、と。
    こういうのを読むと、「原作」の漫画化の難しさを痛感する。

    • 3

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