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作品レビュー
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251 - 260件目/全498件

  1. 評価:4.000 4.0

    現代の寓話

    この作者は、今、自分が最も注目している漫画家の一人である。
    極めて現代的な観点から、しかも普遍的な角度で、老いや死を描くことの出来る、稀有な作家だと感じる。

    昔話の中では、桃が流れてきて元気な子が生まれるとか、おむすびが穴に落ちて財宝が手に入るとか、老人に唐突なラッキーが訪れて、何だかんだで誠実な老人はハッピーになり、意地悪な人間にはバチが当たる。
    が、現代は(多分、本当は昔もだろうけど)誠実な老人にとっても過酷である。
    夫には先立たれ、子どもには見捨てられ、近隣からは孤立し、家はゴミ屋敷となる。
    そんな老婆に訪れた「不意なラッキー」を描いた作品であり、私は、現代社会におけるひとつの寓話として読んだ。

    また、この作者の漫画には、罪と、罪に対する許し、というテーマが繰り返し出てくる。
    寓話的でありながら、単に「善人は結局めでたしめでたし」というだけの話ではなく、そこには罪という影があり、それが作品に奥行きを与えている。
    清廉潔白ではなく、自らの罪を自覚しているがゆえに、他人の罪に対しても寛容であれる、という本作の主人公の姿は、ひとつの本質かもしれない。

    星をひとつ引いたのは、「よろこびのうた」があまりに圧倒的すぎて、つい比較してしまったせいである。
    そういう意味では、私の評価は、あまりフェアではない。

    • 5
  2. 評価:5.000 5.0

    彼が好きな彼女は、彼女が嫌いな彼女

    私は「ありのままでいい」というメッセージが基本的に嫌いである。
    そんな単純に事が済んでたまるか、と思いながら生きている。
    Mr.Childrenの歌にそんなのがあったけど、コンプレックスだってモチベーションだ。
    けれど、この漫画は、刺さった。

    今のところ(現在12話)、自分のありのままを受け入れられない女の子と、彼女にありのままでいてほしい男の子の、すれ違いの物語として私は読んだ。
    これは、難しい。
    私は、主人公の整形も、故郷からの「脱出」も、理解できるし、支持したい。
    たとえ形式上は逃避に見えたとしても、それは、コンプレックスに押し潰されることなく、人生を切り開くための必死の冒険だったと思うからだ。
    しかし一方で、男の子の気持ちも、痛いくらいにわかってしまった。
    けれど、彼が好きな彼女は、彼女自身が消し去りたい彼女なのだ。
    そんな残酷なことってあるか。
    私にはもう、どうしたらいいのか、さっぱりわからない。
    いったいどうしたら、二人が幸せになれるのか。
    あるいは、そんな道は存在しないのかもしれない。
    いずれにしても、この二人の行く末を、見届けたい。

    また、漫画としては、主人公が夢中になっているプレイボーイの先輩も、どう考えても病んでいる先輩の元恋人も、二人の間に挟まっている印象の悪い醜男も、意外とステレオタイプではなく、みんな何かしらの地獄を抱えていそうというか、なかなか奥行きがありそうで、脇役たちからも目が離せない。

    • 4
  3. 評価:4.000 4.0

    生き残り

    一話完結型のオムニバスホラー。
    基本的にはローティーンを対象にした漫画だと思うのだが、意外にきちんとホラーだった。
    もちろん、猟奇的な描写などはないのだが、毎回、甘い結末はほとんどなく、やるなあ、と。

    題材は、いじめや恋の問題という古典的・普遍的なものから、ネットが絡むような現代的な怪談まで様々。
    少女漫画としてのホラーが一大ブームを巻き起こしたのは過去の話で、今やホラー漫画雑誌なんてひとつもない。
    けれど、その歴史の一部は、こんなふうに現代に生き残っているんだな、と思うと、ちょっと感慨深い。

    • 5
  4. 評価:4.000 4.0

    本気で怖がれた、あの頃

    嗚呼、もう、懐かしさで心が震える。

    今では、ホラー漫画を読んでも、本気の本気で怖がることなんて出来ない。
    それが出来たのは、子どもだけだ。
    だからこの懐かしさは、過去に触れた作品に対する単純な感慨ではなく、永遠に取り戻せない私自身の恐怖に対する感傷でもある。

    様々な作者によるオムニバスであるがゆえに、なおさら、ホラー漫画雑誌を夢中で怖がれたあの頃が蘇る。

    大人になって、ホラー漫画よりも遥かに恐いものをたくさん知った。
    でも、マジでホラー漫画がトップクラスに恐かった時代も、あったのだ。
    別にそれをいいとも思わない。
    ただ、そんな時代も、あったんだな、と。
    その思いは少しだけ、郷愁に似ている。

    • 5
  5. 評価:5.000 5.0

    不謹慎すら引き受けて

    いじめというデリケートな問題を「ホラーの題材」になんて不謹慎だ、という批判も理解はできるし、そのあたりは、難しい。
    ただ、そういう不謹慎すら引き受けて、マジなホラーをやろうとしたのではないか、と。
    私としては、丁寧に作り込まれた作品に尋常ではない気合いを感じ、批判する気にはなれなかった。

    もう、序盤からやられた。
    一度希望という餌を与えてから絶望を叩きつけるとか、そんなハイレベルな小学生のいじめ、ありかいな。
    でも、現実に、ありなんだろうな。

    読み進めるうちに、気づく、というか、思い知る。
    ああ、これが続くんだ、と。
    希望の影がちらつく度に、絶望への予感に包まれる。
    その読者サイドの絶望は、作中の登場人物たちの絶望とシンクロする。
    もう終わってほしい。
    これ以上読みたくない。
    それでも読ませる吸引力の恐ろしさ。
    これが一級のホラーでなくて、何だろう。

    • 4
  6. 評価:3.000 3.0

    一種の「ヒーロー」漫画

    少年漫画のヒーローの、現実には出来ないような大冒険や武勇伝を読んで、少年たちは、胸がスカッとする。
    それとこの漫画は、本質的には同じ構図ではないかと思った。
    ただ、対象が女性で、大人だ、ということであって。

    駄目男をバッサリ成敗するのは、現実ではなかなか難しい。
    殺傷力の高い言葉が上手く出てこなかったり、決まったと思ったらカウンターを食らったり、切る決心をしたはずなのにズルズル続いてしまったり。
    そんな、駄目男に対するイライラと同時に、駄目男を見事にやっつけられない自分自身へのモヤモヤも、晴らしてくれるような漫画なのではないかと感じた。

    ただ、私は愚かな男性の側なので、そこまで感情移入は出来なかった。
    性差についてあまり語りたくはないが、私が女性であったなら、評価は違っていただろうと思う。

    • 6
  7. 評価:5.000 5.0

    牛のジェットコースター

    死の予言から逃れようとする若者たちのサスペンス。
    「件」とは一体何なのか?
    運命を変える術はあるのか?
    というのがストーリーの基本線だが、死に直面した登場人物たちの生き様や、交錯する思惑も見もので、「みんなで協力して運命に立ち向かう」という単純な構図とは一線を画している。
    時系列を錯綜させる構成や、一種の群像劇的な見せ方も、技術の高さが半端ではない。
    「モンタージュ」にしてもそうだが、この作者は作中で時系列を操作するのが上手い。
    そしてまあ、信じられないくらいに物語は動きに動く。
    本当に、動きすぎて困った。
    この過剰な「動き」を受け入れられるかどうかが、評価の分かれ目になると思う。
    個人的には、大満足。
    どちらかと言えば、ジリジリ迫りくる死の恐怖を、牛のように単調な動きのスローなストーリーで見せるのが似合いそうな題材なのに、繰り広げられるのはジェットコースターもびっくりの怒涛の展開。
    あまりにもスピーディーで、あまりにもサスペンスフルな傑作。

    • 4
  8. 評価:2.000 2.0

    後味について

    自分は、後味の悪い作品が好きでもないし、嫌いでもない。
    そこは、どちらにしても評価のポイントではない。
    後味を悪くしてまで描く価値のある何かが、そこにあると感じられたか。
    それだけ。
    その答えが「イエス」だったから、「ミスミソウ」は星を五つつけた。
    本作は、残念ながら、「ノー」だった。
    上手く言えないが、「後味の悪さ」は「結果」であって、それが「目的」になってはいけない気がする。

    • 7
  9. 評価:4.000 4.0

    古きよき王道

    日常への奇妙な侵入者、明らかに邪悪な存在なのに、主人公以外は誰もそのことに気づかず、主人公は周りに信じてもらえず、孤立してゆき…というある種のサスペンスの王道的な展開。

    真新しい話ではないが、漫画としてひとつひとつの恐怖演出が的を射ており、安心して(?)楽しめる怖さである。

    非常に安定感のある、古きよきホラー漫画。

    • 8
  10. 評価:5.000 5.0

    神は細部に宿る

    今回は「ゴッドファーザー」を下敷きにしたマフィアもの。
    「いつものジョジョ」の楽しさももちろんあるが、舞台であるイタリアに対する荒木飛呂彦の徹底したリサーチぶりが素晴らしい。
    その姿勢、やはり、荒木飛呂彦は岸辺露伴だよな、と思った。

    • 11
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