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作品レビュー
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201 - 210件目/全498件

  1. 評価:2.000 2.0

    自分を捨てるほどには

    半端なレベルの整形ではなく、顔に「さようなら」レベルの変化というのは、文字どおり「自分を捨てる」ことに他ならないと思う。
    それを別に肯定も否定もしない。
    ただ、そういう人生の選択もあってよい、とは思う。

    しかしもちろん、そんなこと、生半可な意志や覚悟で出来るものではない。
    ましてやその目的が復讐となれば、魂のかなりの部分を悪魔に売り渡さない限り、無理である。

    そういう暗く激しい力みたいなものは、この漫画の主人公からは全く感じられず、私はさっぱり入り込めなかった。

    • 9
  2. 評価:3.000 3.0

    ライフ・アフター・夫の浮気

    夫に浮気された妻たちの体験談を漫画化したオムニバス。

    テンポよく、サクサク読める。
    漫画的な演出は少なく、特別にドラマチックではないのだけれど、よくも悪くも現実とは「そんなもの」なのかもしれず、そういう意味では、一定のリアリティーはあった。

    人生だから、嫌なこともある。
    パートナーに浮気されるなんて経験は、誰だってしたくはない。
    けれど、人生の全ての嫌な経験について大切なことは、そこから何を学ぶか、ということなのだろう(もちろん、それは簡単ではないのだけれど)。

    この漫画の登場人物たちは皆、夫の浮気から、何かを学んでゆく。
    それは例えば、新しい夫婦の関係性であったり、自分がどういう人間であるか(あるいはどういう人間になれるか)という発見であったり、相手がそもそも自分にとって本当に価値のある人間ではなかったのだという認識であったり。

    それを「学んだ」ことが、はたして幸せだったのかは、わからない。
    しかし、夫に浮気されようがされまいが、人生は続くのだ。
    その点、本作は、浮気をただスキャンダラスに描いた漫画ではなく、浮気された「後」の人生をどう生き抜くか、というテーマを一貫して綴っている。
    そういう意味で、「処方せん」というタイトルは、結構、的を射ているのかもしれない。

    • 8
  3. 評価:5.000 5.0

    受け継がれる精神

    個人的には、ジョジョは4部が一番好きで、3、5、6部が同点で2位、という感じである。
    正直、この(実質)7部は、単行本を買い続けている間は「どうなんだろう」と思っていた。
    しかし、完結してからあらためて一気読みして、印象が変わった。

    「たとえ命は途絶えても、受け継がれる精神がある」というのは、ジョジョ全編を通じての大きなテーマのひとつだと思う。
    実のところ、それが最も色濃く打ち出されているのは、この7部ではないか、と感じたのだった。
    その意味で、やはり本作も、どこまでもジョジョである。

    もちろん、熱いスタンドバトル、豊富すぎるくらいの魅力的なキャラクターたち(敵味方を問わず)も健在で、このあたりはもう、流石と言う他にない。

    • 6
  4. 評価:4.000 4.0

    悲しい欲望

    ネタバレ レビューを表示する

    世の中にはそれはもう、ありとあらゆる種類の性的嗜好がある。
    私自身は性的には多分ノーマルで、面白くも何ともない人間だが、達成するのが極めて困難な性的嗜好を持って生まれなくて、本当によかったと思いながら生きている。
    だって、例えばだが、相手が未成年じゃないと興奮しないとか、相手を殺さないと満足できないとか、そんな運命のもとに生まれてしまったら、いくら何でも人生がハードモードすぎる。
    あーよかった。

    さて、この漫画の主人公は、自分が殺_されることに対して性的興奮を覚える「オートアサシノフィリア」という嗜好を持っている。
    これはもう、性的嗜好としては最大級に悲劇的なそれであり、ある意味、究極でもある。
    何しろ、その欲求が真に満たされるチャンスは、ただの一度しかないからだ。
    我々は、死んだら終わりですから。

    主人公は、それを達成すべく、私のような一般ピーポーの理解を遥かに超えて、あり得ないレベルの労力を費やし、努力を重ねる。
    それは、単純なものさしではかってしまえば、「異常」の一言で切って捨てられる種類の執着だ。
    だが私は、主人公を軽蔑することも、嫌悪することも、上手く出来なかった。

    誇張抜きで、私は性的嗜好を「運命」だと思っている。
    それは、生活や性格を変えることよりもずっと難しい、というか、ほとんど修正不可能なものだと思う。
    現代の社会生活と相容れない種類の性的欲求は、逃れることも抗うこともかなわない、残酷な足枷だ。
    私は「たまたま」そのような足枷を持たずに生まれ育ったに過ぎない。

    私が主人公に対して感じたのは、違和感や不快感ではなく、自らの欲望に殉じようという潔さと、そんなふうにしか生きられない悲しみだった。

    それだけに、終盤の展開はちょっと残念だった。
    はたから見たらどんなに異様でも不毛でも、主人公を死なせてやりたかった。
    また、女子高生の多重人格という設定は、ちょっとぶっ飛びすぎていて、いささか冷めてしまった。

    • 7
  5. 評価:4.000 4.0

    その罪が愛ならば

    表題作「月光」と「LOVER SOUL」の二本立て。

    「よろこびのうた」を読んだ後、本作を読んだ。
    「よろこびのうた」では、認知症、老老介護、児童虐待、といった現代の問題が題材だったが、本作では監_禁、殺_人、そして即身仏である。
    やはり、ポップな絵柄からは想像しにくい、ヘビーなモチーフを描いている。

    共通するテーマは「罪」ではないかと思った。

    「よろこびのうた」も「月光」も「LOVER SOUL」も、登場人物たちは皆、罪に手を染める。
    それは、現代の日本の法律の中では確かに「罪」なのだけれど、読む人がその罪を簡単に否定できないような世界を、この作者は漫画の中に構築する。
    その罪が、優しさであるとき。
    その罪が、慈しみであるとき。
    その罪が、使命であるとき。
    そして、その罪が、愛であるとき。
    私たちはそれを、どう感じ、どう受け止めるのか。
    そんなことを、ずしりと重く、それでいてポップに、読者に提示するこの作者が私は好きだし、今後どんな作品を届けてくれるのか、とても楽しみである。

    • 7
  6. 評価:5.000 5.0

    気づいた

    「口裂け女」というあまりにベタで古典的な題材を使いながら、決して埋もれることのない、ハサミのように切れ味鋭いホラーに仕上げている。
    流石と言う他にない。
    この漫画の口裂け女の「正体」そのものが、ある意味で、怪談話や都市伝説の核心を射抜いていると思う。

    小さい頃、従姉妹の家に行くと、今はなきホラー漫画の雑誌が大量に置かれていた。
    そのどれもこれも、表紙を飾っていたのは犬木加奈子の絵だった気がする。
    当時の私にとって、犬木加奈子の絵は、たまらなく魅力的な怪しい世界への入り口に立つ道標のような、象徴的な存在だったのだと思う。
    間違いなくひとつの時代を築いた作者であり、私のような子どもは、きっと日本中にたくさんいたことだろう。

    二十年ぶりくらいに彼女の漫画を読み直して、やっと気づいた。
    私は、犬木加奈子という人の絵が、好きなのだ、と。
    というか、ずっと好きだったのだ、と。
    それこそ漫画で、「君のことがずっと好きだったんだって、やっと気づいたよ」とかほざく阿呆な男がいるでしょう。
    私はそのレベルである。
    しかし、おかげで、これからこの人のホラーを読む度に、温かい気持ちになれることだろう。
    そんな漫画は、私にはあまりない。
    そして、そんなホラー漫画は、ひとつもない。

    • 6
  7. 評価:5.000 5.0

    それは愛か

    「永遠の恋人」を探す不気田くん。
    しかし、彼の不遇な運命により、彼の見初めた女性たちは次々に命を落とす。
    主に不気田くんのせいで。
    ところが、その度に新たな永遠の恋人がソッコーで見つかる。
    この変わり身のはやさ。
    そんで、その女性もやはり死ぬ。
    不気田くんのせいで。
    もう笑うしかない。
    わたしはそんな不気田くんが大好きである。

    愛は、難しい。
    不気田くんのやっていることは最悪のストーカー行為だが、もし彼の想いが実ったならば、それは、美しい愛になり得てしまうわけであって。
    いや、実ろうが実るまいが、愛は、愛なんじゃないの、と。
    容姿が不気味だったりアプローチがちょっと変わっている(ちょっとどころじゃないけどね、実際)と、愛じゃなくなっちゃうのか、と。
    どうなんでしょうか、と。
    そういう意味で、この作品は、非常にインパクトのあるホラーであり、一方では完全にギャグであり、そして、愛とは何なのかを問いかける、異色のラブストーリーでもある。

    ラストの「ある愛の詩」には、うっかり感動してしまった。
    不気田くんは、自分の愛の敗北を認めたのだと思う。
    しかし私は、不気田くんの愛もやはり、愛だったのだと認めてあげたい。
    懸命な愛し方では、なかったかもしれない。
    それでも、愛は、愛だったのではないかと。
    だからこそ、敗北を認めた不気田君が、醜い彼が見せた全ての姿の中で、唯一、美しかったのではないかと。

    • 6
  8. 評価:4.000 4.0

    ダークサイドも爽やかに

    「うしおととら」の作者による短編集。

    躍動感のある描写は流石で、深みのある台詞も健在。
    ただ、正直、短編集の中で当たり外れはあると思う。
    個人的な趣向を含めて。
    私は「夜に散歩しないかね」を推す。
    どの話から読むか迷った方は、是非。

    この人の作品は、化け物とか復讐とか殺_人とか、ダークなモチーフを描きながらも、不思議といつも少年漫画らしい爽やかさがあって、とてもバランスがいいと思う。

    • 7
  9. 評価:4.000 4.0

    世界の終わり

    世界の終わり、というと大袈裟だけれど、子どもの頃の私たちの世界は、小規模なレベルで言えば、しょっちゅう「終わって」いたのではなかろうか。
    大好きな友達と喧嘩をしたとき、親に強く否定されたとき、大切なゲームのセーブデータが消えたとき、それこそ世界が終わるほど傷ついたものだ。
    そういう「あの頃」の感覚を、時代特有の終末感と重ね合わせて、上手に表現した漫画だと思った。

    この漫画にあるように、私たちの「あの頃」には、小さな世界を傷つけようとする怪獣も(人によっては、たぶん恐怖の大王も)いた。
    私たちはそれに対抗する術を持たず、かといって、タイミングよく現れるヒーローもいなかった。
    そのやるせなさと、無力感。
    それもまた、この作品ではとても明瞭に描かれていた。
    胸が痛くなるくらいに。

    私たちの小さな世界は何度も壊れ、壊され、それでも私たちは、粉々になった世界の欠片を何とか拾い集めて縫い合わせて、大人になってゆく。
    それは目を背けたくなるくらい切なくて、あり得ないくらい尊いことだと私は思う。

    それだけに、ラストは残念だ。
    色んな解釈はあるのだろうが、私は、何か投げ出したような印象を受けてしまった。

    • 7
  10. 評価:4.000 4.0

    なんてったってホラー

    あまり期待せずに読んだが、とてもまっとうなホラーで、楽しかった。

    他の方のレビューにもあるが、確かに結末はすっきりしないし、伏線も綺麗に回収されない…というか、伏線らしい伏線もない。
    しかし、この「何だかよくわからない感じ」が、まさにホラーだと思う。

    明確な原因があって、結果がある、そうではなくて、理由も経緯もわからないままに、何か恐ろしいことに巻き込まれる。
    それは不意に始まり、また、不意に終わる。
    ホラーっていうのは、そういうことなのではないかと。

    • 7
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