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作品レビュー
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161 - 170件目/全498件

  1. 評価:1.000 1.0

    少年よ、緊迫しろ

    ある日、唐突に「50年前」の村に迷い込んだ少年が、兄と連絡を取りながら脱出しようとするのだが、という話。

    方向性としては「サイレン」というホラーゲームみたいな感じを狙ったのかもしれないが、信じられないほど面白くない。

    何しろ緊迫感のなさが異常である。
    タイムスリップ、どうやら村は間もなくダムの底に沈む、村では訳のわからないかくれんぼをやっている、袋をかぶった変な男が歩いている、などなど、ヤバイことだらけなのに、何ひとつ、ヤバい雰囲気がない。
    「お前らもっと緊張感を持ってやれ!」と私は、上司が部下に感じるような苛立ちしか覚えなかった。

    漫画を読んでいると、ときどき、商品として流通していることが信じられないような作品に出くわすが、本作もそのひとつであった。

    • 12
  2. 評価:2.000 2.0

    ノーサプライズ

    まず、絵がおかしい。
    素人目で見ても、不意に人体のパーツがあり得ないバランスになっているコマがある。
    ギャグ漫画でキャラが不意に二頭身になるような表現方法があるが、それに近い。
    だが本作は当然、ギャグ漫画ではない。
    じゃあ何なの?

    いわゆる「どんでん返し」系が売りの漫画だと思うのだが、残念ながら、タイトルから壮絶なネタバレである。
    最初のエピソード、オチを予測できなかった読者、いるのだろうか?
    そんなバレバレの展開を、「どうだ!」みたいに、しかもバランスの狂った人体でやられても、正直、反応に困る。

    • 11
  3. 評価:5.000 5.0

    最後に愛が勝つために

    私は、この作者の「親愛なるA嬢へのミステリー」が大好きで、正直、本作はそれには及ばないかと思った。
    それにしても、素晴らしかった。

    幼い頃に別れた兄への強烈な思慕を抱きながら生きる主人公。
    いつしかバイト先の同僚と惹かれ合うが、彼は兄を殺した男で…というストーリー。

    まず、物語の展開力と吸引力が素晴らしく、そのリズム、テンポ、緩急、起伏、濃淡、もう完璧という他にない。
    一気に読む以外に選択肢がないくらい、圧倒的な筆力に魅せられる。

    そして、描かれる愛の形、が素晴らしい。

    「親愛なるA嬢へのミステリー」でも同じことを感じたが、この作者が綴る愛の形は、一筋縄ではいかない。
    よく漫画の中にあるような、クリーンで、キュートで、煌めくだけの愛は、この作品にはない。
    「愛に生きるのはそんなに甘くないぜ」と語るような作品だと思った。

    愛は、とても強くて美しくて、でも、怖いものだ。
    その強さと美しさゆえに、ときには排他的にも狂暴にもなれるからだ。

    ちょっと差別的な言い方をするけれど、人生は少女漫画ではないから、ある日突然キラキラで永遠の愛が空から降ってくるわけじゃない。
    「必ず最後に愛は勝つ」ほどイージーモードでもない。
    それは約束された結末ではなくて、最後に愛が勝つためには、何かを捨てたり損なったりしながら、ときには醜悪にも残酷にもなれなくちゃいけない。
    それをきちんと引き受ける作品の勇気と気高さに、私は泣いた。

    この漫画の二人は、嘘も、秘密も、欺瞞も、障害となる者たちを容赦なく切り捨てる冷酷さも、過去を、下手したら現在すらも改竄してしまう罪深さも、そういう全てを背負いながら、全てを受け止めながら、そして何より、そういう全てを必死で許し合いながら、互いのことだけは失うまいと、懸命に生きようとしていた。
    それがつまり、愛し合う、ということなんじゃないか。

    私はそう思うから、この漫画の二人を、永遠に祝福する。

    • 8
  4. 評価:5.000 5.0

    叙情のミステリ、物語の物語

    文学少女、というか文学オタクの少女と、ある事件をきっかけに筆を折った小説家の探偵を主人公にしたミステリ。

    コナン君や金田一少年のような「謎解き」に主眼を置いた漫画ではなく、そういう意味では「本格」ミステリでは決してない。
    むしろ、事件がなぜ起きたのか、その背景には人々のどのような情念や執着があったのか、という部分が焦点であり、ミステリと呼ぶには、随分と叙情的な作品である。
    これは決して非難ではなく、こういうミステリ漫画もあり、というか、こういうミステリ漫画がもっとあってほしい、と感じた。
    ミステリのトリック的な部分にはあまり感心しなかったが、事件に秘められた人々の想いには、何度もハッとさせられた。

    もうひとつ、本作は、「本(というか、フィクション)を読むとはどういうことなのか」を紐解いてゆく物語でもある。
    フィクションというのはもちろん、「嘘」の話だ。
    人は、嘘を嘘と知りながら、なぜフィクションなんてものを必要とするのか。
    私の好きな小説の中に、こんな文句がある。
    「ある種の真実は、嘘によってしか語れないのだ」。
    この漫画は、そんなふうに答えを明示しているわけではないけれど、「物語とは」というテーマは、文学少女と小説家を主人公とする本作のストーリーと密接にリンクしており、なかなか興味深かった。

    この漫画の登場人物たちは皆、ある意味で、物語によって傷つけられ、損なわれ、そしてまた、物語によって救われてゆく。
    それは、自らの物語を生きる私たちの姿そのもののようで、感動的であった。

    この漫画が何の物語なのかと問われれば、やはりそれは「物語の物語」ということになると思うし、漫画として「物語を生きること」というテーマに果敢に挑んだその勇気は、称賛に値すると私は思う。

    • 8
  5. 評価:5.000 5.0

    少年漫画としてのホラー

    嗚呼、もう、懐かしさで心が震える。
    ジャンプの「ホラー枠」といえば、これだった。

    基本的には「世にも奇妙な物語」系のオムニバス・ホラーで、今となっては珍しくも何ともないけれど、当時の少年誌の読者にとっては、漫画としてとても新鮮に感じられた。
    ホラー好きな少年漫画読者としては、もう、たまらなかった。

    当時、より大きな漫画のマーケットで見れば、ホラー漫画自体が流行っていたけれど、いわゆるホラー漫画雑誌に載っていたホラー漫画とは、明確に違った。
    それは、本作が、あくまで「少年漫画」の文脈を守っていたことだ。

    ホラーは、怖がらせたり不安にさせたりするのが本分だから、当然、善人が決まってみんなハッピーになってはいけない。
    何の罪もないキャラクターが、不条理に酷い目に遭うのがホラーなのだ。
    だが、「アウターゾーン」は違う。
    善良な生き方をしていれば、必ず報われる。
    そういう漫画だった。
    それは本来、ホラーとしては失格なのだ。
    しかし、本作は、ホラー漫画である以前に、少年漫画であることを選んだのだと思う。

    本作のアプローチは、ホラー漫画としては甘すぎても、少年漫画としては正しいと思うし、そういう甘ったるいホラーの温かさが、私は好きであった。

    • 8
  6. 評価:3.000 3.0

    狂気の説得力、性急な展開

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    養護施設から裕福な家庭に引き取られた二人の少女をめぐるストーリー。

    ホラー映画のパターン的には、こういう話はだいたい「家にやって来る側」が恐怖の存在であることが多い。
    この漫画で言えば、少女が狂っているとか呪われているとかで、引き取った家の人々を恐怖に陥れる、と。
    しかし、この漫画は逆で、少女たちを引き取った夫婦の側がいかれている。
    その点は新鮮に感じられたが、どうにも気になることが、二つ。

    まず、夫婦の狂気にリアリティーを感じない。
    この夫婦の狂気は、簡単に言うと、養護施設から子どもを引き取り、幸福を味わわせた後で、「商売に失敗してやっぱり育てられない」と突っ放すときの、相手の絶望感がたまらないぜ、というものだ。
    私は、これに冷めてしまった。
    そんな狂気、あるかいな、と思ってしまったからだ。
    もちろん、狂気だから、私のような一般ピーポーの理解を超えているのは当然なのだが、作品の中で狂気を描く場合、「理解できないし、意味不明だし、あり得ないけど、あるかも」と思わせるような、一種のバランス感覚が大切であるように思う。
    本作の狂気は、その「あるかも」からあまりに逸脱しているように感じた。

    もうひとつは、展開がはやすぎること。
    二人の少女が裕福で親切そうな夫婦に引き取られ、二人が互いに仲良くなり、閉ざしていた心を開き、家族としてもいい感じになるが、夫婦が「仕事が破綻したから二人のうちどちらかは施設に戻さないと」と話しているのを聞いてしまい(これは二人の仲を裂くための夫婦の芝居で、実際には二人とも施設に送り返す気でいる)、二人は自分の方が残りたいという思いから仲違いするものの、今度は夫婦の真の目的を知り、再び団結して、何と夫婦を殺そうと決意する。
    ここまで、わずか「6話」である。

    はやくない?

    やたら引っ張れとは言わないが、もう少しじっくり丁寧にやってくれよ、という思いは拭えなかった。

    • 10
  7. 評価:5.000 5.0

    ゲゲゲの鬼太郎と私

    「あのとき、あの漫画に出会わなければ、別の人生になっていたはずだ」というような漫画が、人によっては、あると思う。
    私にとってはそれが「ゲゲゲの鬼太郎」である。
    だから、この漫画については、もう好きだとかファンだとか、そういうレベルではない。

    生まれて初めて本気で好きになったものが「妖怪」だった。
    私は幼少期を「妖怪のいる世界」に生き、大学では民俗学を学び、大人になった今でも、どこかに妖怪の影を探しながら暮らしている。
    そういった全てが、「ゲゲゲの鬼太郎」に端を発している。

    世界を作ったから神が崇められるのであれば、私が崇めるべきは水木しげるである。
    彼が、私の世界のかなりの部分を作ったのだ。
    いくら感謝しても足りない。
    しかし、私からは一度も感謝の言葉を伝えられないまま、水木しげるは逝ってしまった。
    それは少しだけ残念だ。
    しかし、水木しげるのことである。
    きっとあの世で妖怪やら霊魂やらと、楽しくやっているに違いない。
    「ゲゲゲの鬼太郎」を読めば、それを信じることが出来るだろう。

    • 8
  8. 評価:4.000 4.0

    流氷の話

    「あの事件」をモチーフにした第一話を読んだときは、印象は悪かった。
    少年の実像に迫るようなリアリティーを感じなかったし、異常な事件を扱ってセンセーショナルな作品にするぜ、というあざとさすら覚えて、気に入らなかった。

    しかし、第四話の「流氷」の話まで読んで、感想が変わった。
    「子どもたちの犯罪」をテーマにしたこの漫画に流れている一貫した悲しみみたいなものに触れた気がした。
    それは、本当は別の未来があり得たかもしれないのに、様々な不運や愚かさから、自らその未来を手放してしまった子どもたちを思っての、悲しみではないかと感じた。

    作品は、そんな子どもたちを擁護するでも非難するでもなく、ただ、見つめている。
    そのスタンスは、嫌いではなかった。

    • 9
  9. 評価:4.000 4.0

    不適合読者

    今さらながら読了。

    期待しすぎたのかもしれない。
    いい作品だとは思ったが、そこまで入り込めなかった。

    その一番の理由は、結構な割合でファンタジーの要素が入っていること。
    ファンタジー自体を否定する気は全くないのだが、この漫画には、どうにもそれが相応しくないような気がしてならなかった。
    私は妙な居心地の悪さみたいなものを感じながら読んだし、その違和感は、最後まで消えなかった。

    あくまで「現実枠」の中に収まる漫画であったなら、評価は変わっていたと思う。
    しかし、それではまるで別の作品になってしまうし、作品の完成度を無視できない以上、相応しくないのは、作品ではなく、読者としての私であるのかもしれない。

    • 9
  10. 評価:5.000 5.0

    飽き飽きしているあなたに

    正直、「ゲームもの」の漫画には、飽き飽きしていないだろうか。
    「またそういう系ね」と思いつつ惰性で読んでしまう自分に、うんざりしていないだろうか。
    そんなあなたに、「今際の国のアリス」。

    とにかくひとつひとつのゲームがよく練られていて、完成度が高い。
    緊張感も半端じゃない。
    子どもの頃のかくれんぼに感じたような、無邪気なドキドキを思い出した。
    アイデアの数々と確かなクオリティーでもって、最近の「ゲームもの」への失望感を完全に蹴散らしてくれた。
    感謝したいくらいである。

    結末は賛否両論あると思うが、私はこれ以上のオチも浮かばないし、特に文句はない。
    ただまあ、途中のスピンオフはちょっと多すぎる気もする。

    そして、いかんともしがたい、「今際の国」への憧れ。
    学校や職場や家庭がそれなりに充実していたりして、「まあ、幸せだよな」と感じていたりなんかして、決定的な不満や致命的な欠陥が日常にあるわけでもなくて。
    それでも。
    心の片隅に、魂の奥底に、もしかしたら、潜んでいないだろうか。
    現実の日常の秩序が全て崩壊した世界に対する、ないものねだりの妄想や、渇望が。
    私にも、もしかしたら、あなたにも。
    そんなあなたに、「今際の国のアリス」。

    • 8
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