5.0
泣けるし、共感してしまう
お兄ちゃんだから、お姉ちゃんだから…と言われてきた人には共感してしまう作品かもしれません。
兄、自分、弟妹という4兄弟の真ん中であるカリナは放置されがち。放置されがちなら、まだマシなレベルでひどい。
自分の子なのに、姉だからと全て弟妹関係を押し付ける。病気になれば全てカリナが原因。
跡継ぎの兄の補佐も当たり前。何か反発すれば押さえ込まれて、カリナのことは後回し。
唯一、癒しなのは絵を描くことで、命を吹き込むことができるが、命を削る芸術病にかかっていた。
余命が少ないとわかると、政略結婚とはいえ、婚約者の元へ家出するカリナ。
それでもプライドの為か、両親はすぐ捜索さえしません。お嬢様が外に出たら、襲われたり、怪我するかもしれないのに心配じゃないのか?本当にカリナを放置しているんだと描写されています。
多分、他の兄弟なら速攻で捜索する。
主治医は病弱だと言われる1番下の妹にばかり、気にかけ、死にそうなカリナには気づかない。
それも酷くて。
例えるなら、余命わずかのガンの娘がいて弱っているのに家族が誰も気づかず、病弱だと言われる妹の方を気にかけ、お前は健康だ、看病しろ、家族のことを考えろ、面倒を見てやっただろと追い詰めていくような感じ。
ちなみに婚約式に父は来てません。兄はカリナが考えていたことと正反対のことを感じ取る有様。
結納に父が来ないようなもので、ありえない。
カリナの生家は南部、婚約者の家は北部で、九州から北海道に嫁にいくようなものだけど、結納にも行かずに心配しないってことだから、本当にヤバイ父だ。
余命がわずかでそこへ一人で行くって絶望感が半端ない。
ただ、婚約者が政略結婚とはいえ、良い人でだんだん二人の距離が縮まっていく。
芸術の才能も広まっていきます。
絵が綺麗なことはもちろんですが、家族としての父と娘の確執。親からの兄弟が多い場合の接し方、兄弟姉妹、親とはなんなのか?医者としての視点はどこなのか?ということを詰め込まれた感じがしました。
おすすめです。
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余命わずかの脇役令嬢