5.0
稀にみるミステリアスファンタジー
先を読み易いか、そうではないかで仕分けをするならば、この作品は、明らかに後者。展開を予想し易くても、予想し難くても、読者の評価は低くなりがちだから、その匙加減が難しい。
タグには、「ファンタジー」とあるが、本当にそれに分類してもよいものか。明るく見える背景に潜む、妙に張り詰めた空気感…何か、不気味なモノが進行しているのに、敢えてそれに気付かぬようにさせられているというか…オカルト的ともいえるミステリアスな雰囲気が、全編に漂っている感がある。
カリナン島、カイルム教、ウィンド、ベンガルバラのバラ茶…物語の鍵となりそうなワードは、いくつかあるものの、中でも重要な意味をもつ言葉は「レマディ」ヒロインアンジーが、ヒーローカイレックの「レマディ」となるか否かで、物語の向かう先も変わりそうだが、そもそも「レマディ」が何を意味するのかさえ、明らかになっていない。
冒頭のモノローグにあった「唯一無二の謎」…これは、カリナン島のことか、あるいはブラックウェル公爵家そのものか、父公爵がその天寿を祈った「カイル」とは、カイレックなのか、それとも…。そして、タイトルにある「あなたの破滅」の「あなた」は、結局誰を指すのか…とにかく謎だらけのミステリアスファンタジー、アンジーの真摯さとカイレックの誠実さに、大化けを期待して、星5の評価を。
-
1
あなたの破滅に神の祝福を