4.0
みんな面倒くさくて、みんな愛おしい
4人の主な登場人物が、まあ、こりゃ、面倒くさい!平凡につつがなく育ってきた子は、一人もおらず、全員家族絡みの屈折した何かを抱えたまま、大人になっている。
一番「普通」っぽいのは、月村さんかな?それでも親に背いて、自分の進みたい道に進んだところまではよかったものの、恋人の水晶の裏切りにあって職を失い、自分を持て余している状態。俊文さんは、親の呪縛から逃れようと四苦八苦していたところに、これまた水晶の裏切りが重なったし…。主人公勅使原貴乃は、父親を自死で失い、母親も頼りにできなかったので、自然と強くならざるを得なかったはず。そして、最もヒールで最も愛おしいのは、直志水晶(何というネーミングだ!)この女、生活に困窮する境遇から何とか這い上がろうとして、都合よく人を利用しながら、幸せを掴み取ろうとします。主人公の貴乃より可愛い顔をしているから、余計話がややこしい…。同性に敵をつくるタイプだわ、あれは。
この面倒くさい人たちを、面倒くさい関係で縛るから、後半は伏線回収におおわらわ!元恋人同士?上司と部下?婚約者候補?同居人?あ“〜っ、面倒くさい!でも、面倒くさいからこそ、一人一人の内面が浮き彫りになって、ついつい読み続けてしまう良作となっているかもです!
- 7