機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム:制作の裏側 世界に向けたこれまでにないガンダム “怖いガンダム”を表現

配信日:2024/10/20 7:01

「機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム」の一場面(c)創通・サンライズ
「機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム」の一場面(c)創通・サンライズ

 人気アニメ「ガンダム」シリーズの「機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム」が、Netflixで10月17日から世界独占配信されている。シリーズ第1作『機動戦士ガンダム』の一年戦争のヨーロッパ戦線に焦点を当てた3Dのオリジナルアニメで、“世界に向けたガンダム”として制作された。監督を務めるのは、アニメ「バイオハザード:インフィニット ダークネス」などの制作に携わったドイツのエラスマス・ブロスダウさん。同シリーズでは、初めての外国人監督となった。バンダイナムコフィルムワークスとSAFEHOUSEが手掛け、3D制作ツール「Unreal Engine 5(アンリアル・エンジン5)」で制作された。ブロスダウ監督、SAFEHOUSEの由良浩明アニメーションプロデューサー/音響監督、バンダイナムコフィルムワークスの彌富健一プロデューサーに制作の裏側を聞いた。

 ◇誰もやっていない新しいガンダム

 ーーブロスダウ監督はこれまでガンダムシリーズを見てきた?

 ブロスダウ監督 私が子供の頃、ドイツではアニメがあまり輸入されていなかったのですが、ネットでアニメを見られるようになってから、「機動戦士ガンダム」を最初に見ました。特に好きな作品は「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」です。たまたまではあるのですが、今回の作品にも同様のテーマが入っています。

 ーーSAFEHOUSEが参加し、主にゲーム制作で使われているアンリアル・エンジンで制作するなどこれまでにない試みです。

 彌富さん Netflixとミーティングする中で「アンリアル・エンジンでガンダムを作れないか?」という話になりました。アンリアル・エンジンでフル尺のアニメを作るなんて、おそらく誰もやっていませんし、これでミリタリー色の強い一年戦争の作品を作ったら新しい「ガンダム」を作ることができると考えました。そこから企画が生まれ、エラスマス監督を紹介されました。

 由良さん 実は彌富さんとは10年以上前から面識がありまして。

 彌富さん 当時、米国でアニメの仕事をしていたのですが、由良さんが「涼宮ハルヒの消失」の演奏などに参加していたんです。今回また一緒にやることになったのは、たまたまなんですけど。

 ーー海外展開を前提とした作品ということで大切にしたことは?

 ブロスダウ監督 ガンダムシリーズでは初めて英語がメイン言語の作品になります。これまで見てこなかった人にも「ガンダム」を知ってもらわないといけません。キャラクターのしゃべり方、仕草、考え方などを含めて英語圏を含めた海外の人が分かりやすくなるようにしようとしました。

 彌富さん “ガンダムらしさ”を守ることを前提にしつつ、これまで「ガンダム」を見たことのない人に向けて、この作品を単体で見ても楽しめる作品にするという二軸を目指しました。

 由良さん リアリティーを大切にしようとしました。例えば、日本と海外では戦争に対する考え方が違います。ヨーロッパや米国は、日本よりも戦争が近くにあります。そのリアリティーを表現していこうとしました。

 ◇ガンダムは死神 オオカミのようなザク

 ーー3DCGだから表現できたことは?

 ブロスダウ監督 まずはモビルスーツ(MS)の大きさなどスケール感です。2Dでは難しいディテールも表現できました。

 彌富さん 背景とMS、キャラクターとのバランスをうまく見せることができました。実写のような背景でMSが動き、キャラクターも存在しているという画作りが新しくできました。

 由良さん アンリアル・エンジンは、リアルタイムレンダリングができるので、最終的な画をすぐに見ることができます。利点はあるのですが、このスケールのアニメで使うのは初めてなので、苦労も多かったのですが。

 ーー独特のMSのデザインも話題です。

 彌富さん テーマとしてあったのは“怖いガンダム”です。ジオン目線で描く作品なので、“白い悪魔”ガンダムに恐怖を感じるようなデザインにしようとしました。CGで動かすので、ディテールも見せることができます。手描きでは難しいディテールも表現しようとしました。

 ブロスダウ監督 ガンダムは死神、骸骨のようなデザインで、目を赤くすることで、明らかにヴィランと分かるようにしています。主人公・ソラリが乗るザクのデザインもこれまでにないユニークなデザインを目指しました。ソラリはレッド・ウルフ隊に所属しています。オオカミのようなデザインを目指して、耳のようなアンテナを付けました。

 ーー「ガンダム」シリーズの魅力をどのように表現しようとした?

 ブロスダウ監督 「ガンダム」シリーズはMSのアクションとヒューマンドラマという二つの大きな魅力があります。MSのアクションに関しては、重さやスケール感を感じるようなリアルな映像を目指しました。ヒューマンドラマは、視聴者がその場にいて、キャラクターと一緒に経験するような作品にしようとしています。

 由良さん MSに踏まれたら簡単に死んでしまうかもしれない……という絶望感を表現しようとしました。戦争に巻き込まれた人間は無力です。そこをリアルに伝えようとしています。

 彌富さん 「ガンダム」シリーズは勧善懲悪ではありません。そこにヒューマンドラマがあります。今回はジオンにスポットを当てていますが、連邦側の視点で見ることもできるはずです。そこも楽しんでいただきたいです。

 「復讐のレクイエム」は、約45年におよぶ「ガンダム」シリーズの伝統を受け継ぎながら、新たな映像表現に挑戦した。これまでにない「ガンダム」になっているはずだ。

提供元:MANTANWEB

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