鎧真伝サムライトルーパー:35年後のナスティ 50代で背負う葛藤と重み 声優・木下紗華×塚本樹佳プロデューサーインタビュー
配信日:2026/08/15 8:01
1988年4月~1989年3月にテレビアニメが放送された「鎧伝サムライトルーパー」シリーズの正統続編となる新作テレビアニメ「鎧真伝サムライトルーパー」の第2クールが7月からTOKYO MXほかで放送されている。1991年発売のOVA「鎧伝サムライトルーパー MESSAGE」以来、約35年ぶりとなる新作で、テレビシリーズとしては約37年ぶりの復活となった。35年後の新宿を舞台とした完全オリジナルストーリー。35年前、初代サムライトルーパーたちのお姉さん的存在だった当時17歳のナスティ柳生は、50代になった。第1クールでは、DST(防衛特殊事案対策本部)の司令官になり、新たなトルーパーの育成に励んでいるナスティの姿が描かれている。初代サムライトルーパーたちと過酷な戦いをくぐり抜けてきた生き証人のナスティは、35年を経て、何を思うのか。「鎧真伝サムライトルーパー」でナスティを演じる木下紗華さん、バンダイナムコフィルムワークスの塚本樹佳プロデューサーに、ナスティについて聞いた。
◇年齢を重ねても根底にあるもの
--「鎧真伝サムライトルーパー」にナスティが登場することは早い段階で決まっていた?
塚本プロデューサー そうですね。脚本の武藤(将吾)さんが脚本を書いた段階から、既に今の形に近い設定で組み込まれていました。
--「鎧伝サムライトルーパー」でナスティは17歳だったので、50代になっています。
木下さん オーディションの資料をいただいたときは、50代には見えなかったので、35年たっているから……と計算し直したほどでした。
塚本プロデューサー ビジュアルとしては40代前半や30代にも見えるのですが、よく見ると目元から頬にかけてうっすらと“ゴルゴ線”が入っています。
--ナスティはDSTの司令官として登場します。語られていない35年の間に何があったのかなどの説明はあった?
木下さん 特に説明はなかったのですが、オーディションの資料に「実は羅真我と繋がっている」と一言だけ書いてあったんです。その情報から、敵側と繋がっている葛藤や重みがあるはず、政府公認の組織のトップに立っているからには相応の波乱を乗り越えてきたはずと想像し、自分の中でナスティ像を組み立てて、オーディションに臨みました。スタッフの皆さんには、ただのお母さんのような存在にならないようにと考えた演技プランをくみ取っていただき、ありがたかったです。
--ナスティを演じるにあたり、意識したことは?
木下さん 単なるキャリアウーマンにはしないように意識しました。彼女の重みや葛藤を表現しつつも、かつて日下部かおりさんが演じていたナスティの柔らかさや温かさは、年齢を重ねても根底にあると思っていたので、かつてのナスティのイメージを大事にしつつ、年齢感をどう出すかという差別化を意識して演じました。
--ナスティ役が木下さんに決まった経緯は?
塚本プロデューサー トルーパーはやんちゃな少年たちです。彼らに対して、お母さん的な包容力や安心感を与えられるかどうかが大きなポイントでした。僕らプロデューサー陣の意見を監督(藤田陽一監督)に伝えた上で、監督が最終的に木下さんに決定しました。現場では監督からの細かいディレクションはなかったのですが、木下さんの演技プランに信頼がありましたので、制作サイドとしても安心して任せられるなと。
◇遼との特別な絆
--ナスティの真田遼への思いをどのように表現しようとした?
木下さん 私は恋愛感情ではないと感じていました。過酷な10代を共にしたからこその家族や戦友に近い特別な絆です。それは、ほかのトルーパーたちに対しても同じだと思います。
塚本プロデューサー 私も木下さんと同じように捉えております。家族や戦友と結ばれる深い絆、というニュアンスで武藤さんも脚本を書かれていたと思いますね。
--第11話で遼に対して「お願い、目を覚まして」と呼びかけ、第12話で遼と再会して「無事でよかった」と胸をなで下ろすシーンも印象的でした。
木下さん 司令官という立場ではなく、一人の人間というリアルさを出したいと意識していました。遼たちの前だと、17歳のときのナスティにふと戻るように、差をつけようとしました。
--第2クールがはじまった第13話ではナスティがDSTの司令官を辞めていました。
木下さん 第13話からは、司令官としての任務から離れて一気に生活感のある描写になりました。肩の荷が下りて、優しくなり、声のトーンも柔らかくなりました。年相応になったのかなと感じますし、トルーパーたちを見守るお母さんのようなポジションになって、とても新鮮に演じられました。第2クールの方が、昔のナスティらしさが感じられるかもしれません。
塚本プロデューサー 第2クールのナスティは、第1クールのような怒涛の展開ではなく、トルーパーたちを温かく見守る立場になります。
◇草尾毅の“生武装”に鳥肌
--収録の様子は?
木下さん 現場は完全に男子校のノリで、すごくにぎやかです。女性が私一人しかいない日もあって、私は「楽しそうだな」とお母さんのような目線で見守っていました。サスケ役の佐藤拓也さんやカケイ役の遠藤大智さんなど年齢の近いキャストと「鎧伝サムライトルーパー」の思い出話に花を咲かせたり、楽しかったですね。凱役の石橋陽彩さんは、20歳くらいなのですが本当にすごかったです。先輩お兄さんたちにいじられながらもどっしりと構え、本番になると見事に切り替える芯の強さがあって、「頑張っているね」と親のような気持ちで見ていました。
塚本プロデューサー 石橋さんは虎の穴に放り込まれたような収録だったと思います。「鎧真伝サムライトルーパー」という作品を通してさまざまな経験を積まれていて、どんどん大きく成長しているなとスタッフ陣も感じていました。
--遼役の草尾毅さんと共演する中で感じたことは?
木下さん 私が声優になる前から見ていたアニメで主役を務めていた方なので、憧れの存在です。役として対等に話さないといけないですし、掛け合いは本当に緊張しました。この機を逃したらお話しできないと思い、意を決して声を掛けさせていただいたところ、当時の貴重なエピソードを快くお話してくださいました。子どもの頃、武装シーンをワクワクしながら見ていましたし、現場で草尾さんの“生武装”を聞いたときは、鳥肌が立つほどで一気に気持ちが子ども時代に戻ってしまいました。
塚本プロデューサー スタッフも“生武装”に大興奮していました(笑)。みんな、そうですよね。
◇令和のサムライトルーパーの魅力
--新作では、山野純の成長した姿も話題になりました。
木下さん OVAで剣道をしていたイメージもあったので、格好よく成長すると思っていたファンの方は驚いたかもしれませんが、リアルだなと妙な説得力を感じました。大人になっても遼のことを「遼兄ちゃん」と呼ぶシーンがあって、遼と純の間に家族のような愛や絆を感じたのもうれしかったです。第2クールでは冒頭からとても活躍していますしね。
塚本プロデューサー 純のビジュアルに関しては、作画スタッフも衝撃を受けていました。初代サムライトルーパーはあの頃の雰囲気を残しつつ格好いい大人になっていますが、純は雲水となった後の経緯もありましたので、今のデザインになりました。
--藤田陽一監督のすごさは?
塚本プロデューサーテンポ感のコントロールにあると思います。オンとオフが明確で、情報を入れるところと抜くところのメリハリが秀逸です。だからこそ、これだけキャラクターが多くてもキレイにまとまっているんだと思います。
木下さん 藤田監督がキレイに流れを作ってくださるので、役者としてもすんなりとテンポに乗ることができます。説明しすぎずに、スピーディーに展開していくライブ感こそが、令和の「サムライトルーパー」の大きな魅力だと感じています。
塚本プロデューサー 監督や武藤さんによるキャラクターの組み立てが絶妙で、キャラクター全員がそれぞれ人間臭く、それをテンポ良く見せています。
木下さん 「鎧伝サムライトルーパー」は昭和の作品ならではのよさがありますが、新作は映像も非常にきらびやかで、キャラクターの多様な人間臭さが描かれていると感じています。それも令和の時代ならではなのかもしれません。
「鎧伝サムライトルーパー」は、“鎧擬亜(ヨロイギア)”を持つ5人の少年が、運命に導かれて集結し、妖邪帝王・阿羅醐が率いる妖邪の軍勢と戦う姿が描かれた。1988年4月~1989年3月にテレビアニメが放送され、人気を受けてOVAも制作された。「鎧真伝サムライトルーパー」は、「銀魂」「おそ松さん」などの藤田陽一さんが監督を務め、「仮面ライダービルド」「クローズZERO」「テルマエ・ロマエ」などの武藤将吾さんがシリーズ構成・脚本を担当。分割2クールで、第1クール1~3月に放送された。第2クールは7月7日よりTOKYO MXほかで放送中。(阿仁間満/MANTANWEB)
提供元:MANTANWEB











