BLEACH:アニメ、ついに完結へ 森田成一が振り返る22年の旅路 杉山紀彰、松岡由貴、折笠富美子、伊藤健太郎、安元洋貴と語る
配信日:2026/07/25 8:01
「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された久保帯人先生の人気マンガ「BLEACH(ブリーチ)」の最終章「千年血戦篇」のテレビアニメ最終クール「禍進譚」が、テレビ東京系で7月25日午後11時から放送される。2004年~12年にも渡ってテレビアニメが放送され、4度にわたって劇場版アニメが公開された人気作が、ついに最終章の最終クールを迎える。20年以上にわたって主人公・黒崎一護を演じてきた森田成一さんをはじめ、石田雨竜役の杉山紀彰さん、井上織姫役の松岡由貴さん、朽木ルキア役の折笠富美子さん、阿散井恋次役の伊藤健太郎さん、茶渡泰虎役の安元洋貴さんに“ラスト”への思いを聞いた。
◇終わった実感はなし
--最終クール「禍進譚」の最終回の収録を終えて感じたことは?
森田さん 率直な感想を言うと、「ついに最終回を迎えた」という実感が本当に全くないんです。皆さんから「最終回を迎えていかがですか?」と聞かれるたびに、良い言葉で届けたいなと思うのですが、そういう感慨的なものが一切ないんですよね。
杉山さん 僕ら演者側も完成した映像はまだ全部拝見していないという事情もありますよね。今回は分散収録ということもあって、自分たちが出ていないシーンで、ほかの方がどういうお芝居をされているかを見ていないので、それも終わった実感がまだ湧かない理由の一つかもしれません。
森田さん そう、杉山くんがうまくまとめてくれた通り(笑)。放送が始まって、ファンの皆様の感想や反応を見て、初めて心に湧き上がるものがくるんだろうなと思っています。
松岡さん 確かに、走っている最中のようなふわっとした感覚はあります。最終話のアフレコでは、やりきった気持ちが絶対的にありました。ゲームの収録などもありますし、終わってしまった寂しさでもなければ感慨深い感じでもない、まさに半分半分といった状態です。
折笠さん 最終回まで台本を読み終えた今も、自分はまだこの世界の全てを拾いきれていないんじゃないか、もしかしたらこの世界にはまだ上も下も奥もあるんじゃないか、と感じるほどなんですよね。
伊藤さん 僕も「終わった」という実感はみんなと同じようにあまりないですが、物語として「やっとここまでこられた」という充足感は間違いなくあります。20年以上、阿散井恋次という役と物語に飛び込ませていただいてきましたが、一度アニメが一区切りついた時期がありましたよね。あの後、一読者として原作の最終回まで読んだときに「いつかここまでちゃんと演じたいな」という思いが生まれたんです。それが今回、ファンの皆様のおかげで実現し、そこに対する感謝があります。
安元さん 僕自身の声優としての芸歴がほぼ『BLEACH』と同じなんです。最初に深く関わらせていただいた作品なので、まだ実績が何もなかった頃に「安元洋貴って何やってるの?」と聞かれても、「『BLEACH』で茶渡をやってるんだよ」と胸を張って言えるようになった、自分の中でとても大きな存在です。先ほど伊藤さんが話した通り、アニメが一区切りついたときは、自分たちの力不足だったのかなという、切なさや悔しさがありました。それがときを経て、もう一度最後までやりきることができた。きちんと完走できたことは本当にうれしいですし、感謝しかありません。全ての作品が最後まで描き切れるわけではないことは、この年齢になってよく分かりますから、皆さんのおかげで、本当に幸せな作品になったんだという思いがすごく強いです。
◇20年以上吹き続けた「森田の座長風」
--この座組で20年以上共にしてきた中で、森田さんはどんな座長だった?
森田さん クレームしかないんじゃない(笑)。
伊藤さん いつもタクシーに乗せてくれてありがとう(笑)。
森田さん それは、あなたが酔っ払ってどうにもならなくなるからだろ!
安元さん 森田さんは、とにかく現場で大きな声を出して引っ張ってくれました。現場の温度は、その大きな声によって出来上がったところが多分にあると思うんです。体を張って全力でぶつかっていただき、本当にありがたいと思います。もちろん、お芝居として大きな声を出していたということです。そうでなければただのうるさい人になっちゃいますからね(笑)。まあ、飲み会のときは普通にうるさいですけど(笑)。
森田さん やっぱりこの話、俺はいない方がいいんじゃないか(笑)。
安元さん いやいや、僕は森田さんの叫ぶお芝居が本当に好きなんです。ちゃんと叫べる座長が全力でやってくれるからこそ、周りも絶対にサボるわけにはいかなくなる。そうやって現場の温度がどんどん上がっていったのだと思います。
伊藤さん 彼の座長気質というのは、出会った頃から本当に変わっていないんです。ほかの作品でもご一緒することがありますが、場は違えど座長としてのベクトルは常に同じです。僕らはいつもその「森田の座長風」を心地よく浴びていましたし、彼が座長ではない別の番組でも、その風は微風となって現場に吹いていました(笑)。
森田さん やっぱりクレームじゃないか!
伊藤さん それが真骨頂なんです。この20年間、一度もテンションを落とすことなく走り続けてくれたことは、心から尊敬できる部分ですね。
折笠さん 本当に最初から最後まですっと熱量が変わらない人ですよね。年中ずっと半袖を着ているような(笑)。
伊藤さん 冬場でもずっと半袖だったよね。小学校の健康優良児みたいな存在です(笑)。
松岡さん 森田くんが座長で本当に良かったなと思うことはたくさんあります。例えば、新しく参加されたメンバーへの気の配り方が素晴らしいんです。「千年血戦篇」に入って、いつものメンバーが「久しぶり!」と盛り上がる中で、初めて参加される若手の役者さんたちがたくさんいらっしゃいました。「子どもの頃から『BLEACH』を見て育ちました」という方たちが現場にきた際にも、森田くんは「もう僕たちの仲間だよ」という空気を作って温かく迎え入れていたんです。私は人見知りなのでそういったケアがうまくできないのですが、休憩中に「この後、お茶行く?」と声をかけて、いつものメンバーの中に新しい子たちを加えてあげたり、本当にすごいなと見ていました。本当に優しくて体温の高い座長です。
杉山さん ただ単にいただいた役を台本通りに演じるだけでなく、番組のために、そしてスタッフさんや若い子たちがやりづらさを感じないように気配りをして、より良い作品にしようとする。それを全部言葉にするわけではないのですが、森田さんが元気で明るく振る舞う裏にある細やかな気遣いは、初期のアニメシリーズの頃からずっとスタジオの中で感じていました。皆さんがおっしゃる通り、ただ主役を演じるだけでなく、座長として番組全体を盛り上げ、プロモーションも含めてサポートしてくださった森田さんの役割は本当に大きかったと思います。
森田さん 何だか公開処刑のような恥ずかしさもありますが、20年以上やってきて、こうして皆さんの率直な思いをそれぞれの言葉で聞くのは初めてなので、少し驚きつつも本当にうれしいです。ただ、こういう温かい座組を作ることができたのは、やはりこのメンバーがいてくれたからこそだと思います。僕の中に「こういう座組で作りたい」というイメージがあっても、皆さんの許容や信頼がなければ形にはできません。みんなの温かい気持ちがなかったら、この作品は絶対に完走できませんでした。僕だけが作った現場ではなく、僕が投げたものをみんながそれぞれくみ取って、さらに世界を広げ、変化させていってくれた。当然、僕が間違っていれば「そうじゃないよ」と教えてくれることもありましたし、僕自身がみんなから教わることが本当にたくさんありました。お互いにそれぞれの個性を許容し、支え合ってきたからこそできた、本当に幸福で稀有な番組だったなと感謝しています。
--先ほどのお話にもありましたが「千年血戦篇」では若手キャストも新たに参加しています。
松岡さん 新しく参加された若手の方たちは、「子どもの頃から見ていた大好きな作品に出演できる」ということで、ものすごく緊張しつつも、ドキドキ感やうれしさがこちらにもダイレクトに伝わってきました。
安元さん 「BLEACH」に出られてうれしいというポジティブな思いが前面に出ていましたよね。ガチガチになって萎縮するというよりは、大好きな作品に挑むからこそ、絶対に下手な芝居はできないぞという緊張感を持ってくれていました。
森田さん 彼らが少しでも現場に溶け込みやすくなればいいなと思って、アフレコの休憩中の雑談や何気ない会話のとき、僕はあえて「ずっと一護の声と口調のまま」で若い子たちとしゃべるようにしていたんです。子どもの頃にテレビで見ていたあの世界がそのまま目の前にある状態を作れば、作品の世界観に入りやすいんじゃないかなという、僕なりのちょっとした悪巧みでした。昔の僕らは先輩方に囲まれる一番下の立場だったので、気にする必要はなかったのですが、こうして下の世代が入ってくるようになったことで、一護のトーンのまま和気あいあいと話して、第一声の緊張をほぐしてあげられたらいいなという思いでバカな話をしていました(笑)。
安元さん 20年たって、僕らも若手ではなくなり、今や現場を回す側の年齢になりましたからね。そういった意味では、キャラクターたちとともに、僕ら役者自身のハートのベースは変わらなくても、お芝居の面でも現場での立ち振る舞いの面でも、少しずつみんなで大人の成長を遂げてこられた現場だったなと感じています。
◇一護が「最後の最後までよく分からなかった」
--自身が演じるキャラクターの魅力、演じる上での面白さをどのように感じていますか?
森田さん 黒崎一護という人間の魅力は、実は「最後の最後までよく分からなかった」という点に尽きるのではないかと思います。一護は主人公にしては珍しいくらい、言葉数が少ないキャラクターです。だからこそ一つ一つの言葉の重みが非常に大きい。彼は人が考えるよりも、さらに先を考えてから言葉を発し、行動する人間です。その深い思考を読み解く作業は毎話本当に大変でしたし、結局のところ、彼の考えの全てに追いつくことはできなかったなという感覚もあります。それ故に僕にとっても不思議で魅力的な人間であり続けました。演じる上では常にものすごい緊張感を持ち、客観的に分析し続けなければならなかったのですが、それが一護を演じる大きなやりがいでしたね。果たして自分の出した芝居が正解だったのかは今でも分かりませんし、物語が進むにつれて「あのときの言葉は、もしかしたら違う意味だったのかもしれない」と気付かされることも多かったです。それくらい正解が見当たらない奥深い役だからこそ面白かったですし、読み解ききれていない感覚があるからこそ、アフレコが終わっても終わった気がしないのかもしれません。
杉山さん 雨竜の魅力は、その「不器用なまでの真っすぐさと成長」にあると思います。彼は昔から、自分の頭の中で考えた自分なりの答えを周りに強要せず、自分一人だけで何とか実現させようとする一匹狼なところがありました。しかし「千年血戦篇」に入り、一護が「仲間の力を信じて一緒に戦う」という方向性へ変化していく姿を見る中で、雨竜も少しずつ変わっていきました。自分が目的とすること自体は変わらなくても、そこに対して下手に本心を隠したり、偽ったりする必要はないんじゃないか、という内面の成長があったのだと思います。ハッシュヴァルトとの死闘でも、生きるか死ぬかの極限状態でありながら、どこか変な気負いがなく、自分の信じてきたことをただやるだけだという、ある種振り切った死生観や達観した強さが垣間見えました。それが彼の大きな変化であり、成長だったと感じています。ハッシュヴァルトに「一護たちと同じに見えているならうれしい」というニュアンスの言葉を返すシーンがありますが、彼は一護や織姫たちの前ではあまり自分の本心を口にしません。それなのに、もう先がないかもしれないという敵との対峙の瞬間に、仲間への思いを恥ずかしげもなく口にしてしまう。本人の前では言えないのに、そういう場所で出てしまうという点に、彼のどこまでも不器用な格好良さが表れていて、演じていて非常にグッとくるものがありました。
松岡さん 織姫は最初から最後まで「慈愛に満ちているキャラクター」です。少しだけ盾を使って戦うこともできますが、彼女の本質的な役割はどこまでも「護って、治して、癒やすこと」。作品における“癒やし系”を象徴する存在だと思います。物語が始まった当初は、一人ぼっちになってしまうなど生い立ちの不遇な面もありましたが、彼女はとにかくいつも明るい。そして、その明るさの中で、たまに垣間見える彼女の本当の寂しさや切ない本心を演じる瞬間が、私はすごく好きでした。彼女がずっと心の中で願ってきた「一護を護って、一緒に戦いたい」という強い思いが、この最終クールでようやく報われるときがきました。その決意のセリフをアフレコで発した瞬間は、自分自身でもシビれるような感覚がありましたし、ここまでたどり着けた彼女の願いがかなって、新たな素晴らしい決めゼリフが生まれたなと、本当に愛おしく思っています。
折笠さん 私にとってルキアは、自分自身とはずいぶんかけ離れた、だからこそずっと憧れ続けられる存在です。心が大きく動くような出来事があったとき、私ならすぐに涙が出てしまいそうになる場面でも、ルキアはぐっと堪えて、あの強くて印象的な瞳でまっすぐ前を見据える。その気高さや強さは、22年たっても私が簡単に追い越せるものではありませんでした。いつも前を走ってくれている彼女に引っ張ってもらいながら、私も少しずつ一緒に成長させてもらったなと感じています。死神という存在でありながら、非常に人間味が強く、泥臭いところも彼女の大きな魅力です。第1話の最初に「“死神”ではない“朽木ルキア”だ」という有名なセリフがありますが、まさに彼女のキャラクターを象徴していますよね。種族や男女といった垣根をすべて超えて、相手と対等に向き合おうとする。ある種の侍のような格好良さがあり、その人間味に近い精神性だからこそ、多くの方に共感してもらえたのだと思いますし、私にとっても本当に大好きな、特別なセリフです。
伊藤さん 恋次もルキアと同じように、非常に人間臭いキャラクターです。僕にとって彼は、誤解を恐れずに言えば「すごく分かりやすい男」でした。まさに少年マンガの王道をいく、一本気なキャラクターなので、僕自身としても非常に感情移入がしやすかったです。物語の要所要所で、自分の弱いところも強いところも全部さらけ出しながら、分かりやすくパワーアップして成長を遂げていく。最初は敵対するライバルとして登場し、戦いを経て仲間になり、一護と背中を預け合える関係になるという。これ以上ないくらいの王道ジャンプキャラクターを全力で演じられたことは、純粋にめちゃくちゃ楽しかったですし、幸せでした。一護との関係の変化はもちろん、久保先生監修の元、新しく追加されたシーンで熱いバトルを繰り広げるなど、本当にやりがいに満ちた役でした。
安元さん 茶渡は、周りの超人的な死神たちに比べれば、ある意味で「一番普通の優しい男」です。独特な固有の能力こそ持っていますが、死神の力に比べれば当然劣る部分もある。それでも彼は、とにかく友達のことが大好きで、友達の力になりたいという一心で戦い続けてきました。最初のうちは、自分に力がある、友達の横に並んで一緒に戦えると思っていたけれど、どこかで自分の力が追いつかない現実を理解する。最初はそこにあらがおうともがくのですが、ただあらがうだけでなく、「今の自分の力と一護たちの力を見て、じゃあ自分に何ができるだろう」と一歩引いて考えられるようになった。だからこそ、「千年血戦篇」で、彼は一護たちに全てを「託す」という選択をしました。自分の限界を認め、友達を信頼して未来を託すことができるようになったことこそが、彼の人間としての一番の格好良い成長だったのではないかと思います。彼は寡黙で、執着するものがすごく少ないキャラクターですが、だからこそ自分が決めた約束や友達に対してどこまでも真っすぐで優しい。日本だけでなく、海外の男性ファンの方からも熱いファンレターをたくさんいただくのですが、男が惚れる不器用な男らしさを持った、本当に素敵なキャラクターだと思います。
◇「BLEACH」は最高に特別な作品
--皆さんにとって「BLEACH」とはどういう存在になっている?
森田さん 間違いなく「かけがえのない、最高に特別な作品」です。一護に対しても特別な思いがありますし、何より「BLEACH」を応援してくださるファンの皆さんの熱量が本当にすごいんです。作品の重箱の隅々まで愛して考察し尽くしてくれるような熱さがあり、そんな素晴らしいファンに愛されたこの作品が僕も大好きです。
杉山さん 作品の最初から最後までここまで長い期間、キャラクターと一緒に成長させてもらえる機会は本当にめったにありません。純粋にありがたく、光栄なことだと思っていますし、この22年の歩みを皆さんにこうして最高の形でお届けできて、楽しんでいただけることが何よりうれしく、感謝の気持ちでいっぱいです。
松岡さん 私の役者人生のプロフィールを紹介するときに、一番上に書きたい大切な作品です。アニメが一区切りついたときは本当に切なかったのですが、当時はまだ原作も完結していなかったので、続きがどうなるのか分からない状態でした。それがときを経て、最後まで描き切られた原作をアニメでも「完遂できる」と聞いたときは、本当に「本望を遂げられる!」とうれしかったです。最後まで演じきるまでは絶対に生きていなければと思って挑みましたし、最後まで演じられて本当に幸せでした。
折笠さん 物語のことの発端となるキャラクターを演じさせていただき、「コーン」と一つの音を鳴らしたところから、こんなにも巨大で深い世界が広がっていった久保先生の脳内は本当にすごいなと圧倒され続けています。そんな素晴らしい世界に22年間いさせていただけたことに、ただただ感謝しています。
伊藤さん 22年という年月をかけて一本の作品を貫通してやれたという充足感は、唯一無二の体験でした。演じることの楽しさはもちろんですが、長い大河ドラマをやりきったような気分です。
安元さん 僕の役者としての歩みそのものであり、アニメが一区切りついてから10年以上のときを経て、もう一度最後までやりきらせてくれたのは、久保先生の世界の力であり、応援し続けてくれたファンの皆さんのおかげです。この作品を最後までやりきったことで、役者として背負う大切なものがまた一つ増えた気がします。これからもこの経験を誇りに、大事に歩んでいきたいです。
テレビアニメ「BLEACH」は長い旅路の果てに、ついに完結を迎える。声優陣が約22年の情熱を注ぎ込んだ最終バトルの結末を、ぜひその目で確かめてほしい。(阿仁間満/MANTANWEB)
提供元:MANTANWEB




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