天は赤い河のほとり:橘美來×加藤渉インタビュー ユーリと共に成長 名作に二人で挑む

配信日:2026/07/05 9:01

アニメ「天は赤い河のほとり」に出演する橘美來さん(左)と加藤渉さん
アニメ「天は赤い河のほとり」に出演する橘美來さん(左)と加藤渉さん

 篠原千絵さんの人気マンガが原作のテレビアニメ「天は赤い河のほとり」が、日本テレビのアニメ枠「AnichU」で7月7日から毎週火曜深夜に放送される。「闇のパープル・アイ」「海の闇、月の影」など数々の名作を世に送り出し、今年画業45周年を迎える篠原さんの名作で、テレビアニメ化されるのは初めて。1995~2002年に「少女コミック」(小学館、現Sho-Comi)で連載され、コミックスの累計発行部数は2000万部以上を誇る。現代日本で暮らす少女・夕梨(ユーリ)がある日突然、紀元前14世紀のヒッタイト帝国に召喚されてしまい、帝国の皇位継承最有力候補と目される皇子・カイルと出会う……というストーリー。ユーリ役の橘美來さん、カイル役の加藤渉さんに作品への思い、収録の裏側を聞いた。

 ◇二人で一緒に名作に挑む

 --出演が決まった際の率直な感想は?

 橘さん 純粋に驚きが一番大きかったです。まだアフレコ経験が浅く、こんな大役を任せていただき、信じられなくて、本当かな?と上の空で、夢かもしれないってなっていました。誰にも言えないですし。

 加藤さん 守秘義務がありますしね(笑)。

 橘さん 親にすら言えなかったので。2週間くらいして、本当なんだという実感が徐々にわいてきて、親に「実は大きな役をいただけた」と話して、少しずつ実感がわき、思いを噛み締めました。

 加藤さん オーディションを受けさせていただいた段階で、時間があまりなかったんです。カイルを演じるにあたって、自分の地声よりも低くしてオーディションに臨みました。本番でそれをずっとやらなければいけない……と覚悟しました。

 --橘さんがオーディションで意識したことは?

 橘さん 普段オーディションを受けるとき、まずは自分の直感を信じて、どこか外れていたら修正して臨んでいます。一番感じたのは、ずっと変わらない印象ですが、真っすぐで信念があり、自分が信じた道を疑わないところです。それが彼女の魅力だと思ったので、実際に収録するときも意識したポイントです。

 --スタッフから大役を射止めた決め手を聞いていたりしますか?

 橘さん 詳しくは聞いてないんですが、私が受けたときは既に何度かオーディションを重ねていたそうなんです。まだ何者でもない、経験もあまりない私だからこその初々しさをユーリに対して反映してもらいたいというスタッフさんの思いも感じていました。技術不足も感じながらではありますが、私にできるユーリを一生懸命に入れ込みながら、演じていこうと改めて決心しました。

 加藤さん オーディションを受けた時期は、ほかの作品でメインキャストとして僕の名前の発表がされていなかった時期でしたし、僕!?と思いました(笑)。具体的に聞いたわけではないのですが、テープを聞いて満場一致で選んでいただいたそうなんです。「全軍出陣」というセリフがあって。皇子という立場なので、結構な軍勢を前に、声を掛けるんだろうなと思って演じたのですが、それがよかったという話でして。多分「全軍出陣」で選ばれたんだと思います。

 --長く愛されている作品です。プレッシャーは?

 加藤さん 僕は喜びの方が大きかったです。少し話が飛びますが、僕は虫が苦手なんですね。ただ、隣で「うわあ!」って自分よりも虫を怖がってる人がいたら、「あ、虫か」くらいにしか思わないんです。隣にいる橘さんが、すごくプレッシャーを感じてガチガチだったので、それを見てると、平気になってきました(笑)。橘さんのおかげで少し気が楽になりました。

 橘さん 加藤さんのためになっていたんですね(笑)。私は最初に役が決まったと聞いたとき、ホッとしたところもあったんです、なかなか役が決まらず、事務所の方にもずっと「一緒に頑張ろうね」と声を掛けていただいてきました。私を選んでいただけたという事実がうれしかったですし、マネージャーさんに「本当に良かったね。おめでとう」と言ってもらってホッとしたんです。ずっと応援してくださっていた方にやっとお返しできることがうれしかったですし、もちろんプレッシャーはありながら、私にできるユーリを一生懸命演じようと思いました。

 加藤さん でも、ガチガチだったのは序盤だけでしたよね。どんどん器が大きくなっているように感じていました。態度じゃないですよ(笑)。

 橘さん 本当ですか!? じゃあユーリと共に成長できたのでしょうか……。主役は現場で「チームをまとめる」と聞いていたので、どうしよう……と思っていたのですが、加藤さんや共演者の方々が支えてくださったんです。だから私は、ユーリとしてできることを堂々とやらなければという気持ちが芽生え、緊張しなくなった気がします。

 加藤さん ユーリに対してのカイルの役回りのように振る舞っていたところも実はあります。横で支えるというポジションだからこその振る舞いがあるだろうと思っていました。僕としても初めての経験でしたが、二人で一緒に頑張っていけたらなと感じていました。

 ◇ユーリに引っ張ってもらった

 --“少女マンガの金字塔”とも言われている作品です。

 橘さん いろいろな魅力が詰まっています。歴史ものということで、さまざまな国の情勢があって、駆け引きは一つの魅力だと思いますし、ユーリは空回ってしまうところもありますが、かき乱していくことになって、その姿が愛おしくもあり、この子はどうなるんだろう?とワクワクさせられます。ユーリの目線になって、どんどん物語の世界に入り込んでいきました。

 加藤さん 実は収録が始まったときに原作を最後まで読み切れていなくて。僕は、原作がある場合、作品によってアプローチを変えているのですけれど、「天は赤い河のほとり」に関しては、先を読まずに演じようとしました。収録するエピソードに該当する原作を順に読み進めていると、現場でどんどんネタバレが飛び交うんです(笑)。橘さんもポロッと言っちゃうし。

 橘さん すみません(笑)。

 加藤さん 橘さんのお話以外で感じた魅力としては「絵、素敵すぎ」です(笑)。この収録の途中から、原作やリハーサルビデオをチェックするために初めてタブレットを購入したんです。原作をタブレットで読んでいると、あまりに見開きが美しすぎるんです。また「天は赤い河のほとり~書簡~」という読み切りの表紙で、ユーリとカイルが向き合っているのですが、それを待ち受けにしています。

 --加藤さんは歴史が好きなようですが、歴史好きとして魅力を感じたところは?

 加藤さん 「帝位」や「帝位継承権」などどんどん政治劇になっていき、さらにロマンスの要素も入ってきて、大好物です。もっと見せて!となって(笑)。

 橘さん 歴史があまり得意ではないのですが、原作を読んでいく中でユーリに引っ張ってもらいながら、この世界について知っていきました。ユーリは世界を動かしながら、人も動かしていきます。大きなところと細やかなところを楽しみながら読んでいました。

 --原作の連載が始まったのは1995年で、お二人が生まれる前です。

 加藤さん 僕が生まれる前に始まった作品ですが、僕は物心ついた頃から1990年代以降、それ以前のものも普通に読んでいました。当時としても少し異質な作品だったんじゃないかなと感じました。様式美の要素が強い印象があって、個人的には新鮮で面白かったです。ユーリとカイルをのぞきにきたキックリの顔がアップになる一コマがお気に入りで、現場でもずっと話していました。あとはカイルは「なに?」「なんだ」「なんだと!?」「ユーリ……」「なっ……!?」というセリフが多くて。一部を「なっ!」に変えてみたところ、音響監督の森下広人さんから「抵抗しようとしないでください~」と言われて(笑)。そういった部分も原作の良さをアニメでも生かしているので、ぜひ注目していただきたいポイントではあります。

 橘さん ギャグが新鮮で、演じる際はディレクターさんの力をお借りしながら、面白可愛く演じようとしました。

 ◇勉強になることばかり

--カイルは人気キャラクターです。

 加藤さん 皆さんそれぞれが思い描くカイル像、皇子像があるとは思いますが、計算高くアプローチすることはなかったです。ディスカッションをたくさんさせていただき、「ちょっと色気がありすぎる」と言われることもあって、そこまで色気は意識していなかったものの、引き算していくことはありました。

 --ユーリは見ていて勇気づけられるようなキャラクターでもあります。演じながら勇気づけられるところはありましたか?

 橘さん ユーリの一挙一動に勇気づけられて、パワーをもらっていました。ユーリを演じていると、私も勇敢になったり、前向きになったりできて、彼女のパワーを感じながら、それを自分に落とし込んでいこうとしました。

 --キャラクターと一緒に走り抜けて、共に成長できたところもある?

 橘さん あります! 本当にいい経験をさせていただきました。マイク前に立つときの気持ち。台本のチェックの方法など勉強になることばかりでした。ここまでセリフが多いのは初めてだったのですが、共演者の皆さんに台本のマーカーの引き方を教えていただきました。

 加藤さん 僕も先輩に「椅子から立ち上がるタイミングは考えた方がいいよ」と教えていただいたり、皆さんに支えていただきました。先輩が多かったのですが、キックリ役の大野智敬君は友達なんです。現場のムードメーカーになっていたのが大野君で、甘えていました。本当に感謝しています。 (阿仁間満/MANTANWEB)

提供元:MANTANWEB

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