永久のユウグレ:3D監督 市川元成インタビュー 3DCGでSFの世界観を補強 特殊な作業も
配信日:2025/11/23 11:01
「true tears」「SHIROBAKO」などのアニメ制作会社「P.A.WORKS」によるオリジナルテレビアニメ「永久のユウグレ」が、MBS・TBS系の深夜アニメ枠「スーパーアニメイズムTURBO」で放送されている。AIの技術が発展した未来の世界を舞台とした本格ラブストーリー。最愛の恋人・王真樹トワサと愛を誓い合った主人公・姫神アキラが長年にわたるコールドスリープから目覚め、戦争によって荒廃した街を目にする。アキラの前にトワサと酷似したアンドロイド・ユウグレが現れ、世界のどこかで生きているはずのトワサと再会できると信じて、共に旅をすることになる。3D監督の市川元成さんに制作の裏側を聞いた。
◇アニメーションの中で浮かないように
--今作で担当したことは?
3D監督の市川元成です。3Dセクションの作業管理、クオリティーチェック、他セクションとの打ち合わせなど3Dに関わる作業全般を統括しています。また、合間を縫って自身でもモデリング、アニメーション作業なども担当します。
--作品の印象は?
自分自身もディストピアと青春恋物語が好きなので、作品開始当初からずっとワクワクしながらシナリオやコンテを見ていました。ディストピアとしての考えさせられるテーマもありながら、誰かを想(おも)う大切さや、そばに自分を大切に思ってくれる人がいることのありがたさを感じられるとても素敵な作品になっています。
--3Dで表現したパートは?
P.A.WORKSで普段から行っている車や街中の群衆などの作業は本作でも変わらずありますが、SFならではのユウグレの腕が変形するキャノンやビット、粒子のエフェクト、ユウグレたちが使う電磁バリアエフェクトなど特殊な作業も多くありました。
--3Dの表現のこだわりは?
普段に比べSFとしてのリアルめな表現を心がけつつも、アニメーションの中で浮かないような質感表現や動きの見せ方などにこだわりました。3Dは質感を盛る方に持っていくのが得意なツールですが、あえてその部分は出しすぎず殺しすぎず、SFの世界観を補強するように心がけました。
◇あえて突飛なことはしない
--この作品ならではの難しい表現は?
荒廃した世界で生活する人たちが、普段何を思いどう生活をしているのかをつかみ取ることがなかなか難しかったです。文化が違う人たちが当たり前に共に生活する世界という状況を想像して表現しなければいけませんでした。ただ、最終的には「当たり前に生活するという毎日が続いたら、今我々が営む生活状況とそこまで変わらないのかもしれない」とも思いました。なので、普段の思考の延長線上で群衆や車の表現は突飛なことはしませんでした。
--監督からのオーダーは?
オーダーというほど壮大なものでもなかったですが、ユウグレの変形するキャノンのデザインを一部考えさせていただいたり、現代兵器としてないユウグレたちの武器等が3Dになる際、どういった表現になるのかを結構任せていただけたと思います。我々が考え作ったものを監督とチェックを重ねながら、表現をブラッシュアップしていきました。
--P.A.WORKSの映像の魅力をどのように感じている?
弊社が作る作品の良いところは、「実直さ」だと思っています。もちろん派手なアクションがあったり、エフェクトがあったりなども作画としての魅力ではあると思いますが、その世界で生きるキャラクター達が嘘に見えないように表現を行う、という点を大切にしている会社だと思っています。本作でも、その部分を視聴者の方々に楽しんでいただけるようになっていると思っています。
--最後にメッセージをお願いします。
ディストピア好きも青春群像劇が好きな方にも、たくさんの方々に楽しんでいただける本当に面白い作品になっていると思います。そして、見終わった後には、きっと周りの人たちを少し大切にして生きていきたいな、と思えるような作品になっています。ぜひ、楽しんで見ていただけると嬉しいです。
提供元:MANTANWEB











