斉藤壮馬:アニメ「穏やか貴族の休暇のすすめ。」インタビュー リゼル演じて6年 穏やか一辺倒ではない魅力
配信日:2026/01/12 7:01
小説投稿サイト「小説家になろう」から生まれた人気ライトノベルが原作のテレビアニメ「穏やか貴族の休暇のすすめ。」が、テレビ東京、BSテレ東、AT‐Xほかで放送されている。コミカライズ、ドラマCD、舞台、朗読劇などのメディアミックスも展開されている人気作で、アニメは、主人公・リゼル役の斉藤壮馬さんが続投したことも話題になっている。ドラマCDから約6年にわたってリゼルを演じている斉藤さんに同作への思いを聞いた。
◇実は全キャラ演じた経験が
「穏やか貴族の休暇のすすめ。」は、ファンタジー世界のとある大国で宰相として名を馳せていた青年・リゼルが、別の異世界へと転移してしまう。元の世界に戻れるのか分からない状況ではあるが、リゼルは「休暇だと思って楽しみます」と、落ち着いた様子で、優れた頭脳と話術を生かし、人々の心をつかんでいく。誰にもこびず誰にも従わない上級冒険者・ジルを相棒にしたリゼルは、自らも冒険者となり、異世界生活を満喫する。
斉藤さんは2019年12月に発売されたドラマCDから約6年にわたってリゼルを演じている。これまで朗読劇でファンの前で演技をする機会もあった。それだけにアニメ化への喜びは大きかった。
「多くの方に愛されている作品に関われていることが、ありがたいです。我々キャスト陣もいずれはアニメで彼らが動いている姿を見たいという話をしていましたし、アニメ化のお話をうかがった時は、ついに満を持してリゼルたちが動いてしゃべる姿をお届けできるんだと思い、率直にうれしかったですね。朗読劇では、『穏やか貴族』ということもあって、穏やかに静かなる情熱を持って深く広い心で大きく受け止めてくださっている印象がありましたが、きっと多くの方が待ち望んでくださっていると思っています」
斉藤さんが演じるリゼルは、話し方や立ち振る舞いが非常に穏やかで、優秀な頭脳を持ち合わせている。
「設定にもある通り、元々は別の世界にいたのですが、ひょんなことから異世界に来てしまい、宰相としての身分がなくなり、転移を休暇として受けとめ、冒険者として楽しもうと生活を送ることになります。非常に博識で穏やか、頭が切れる人かと思いきや、意外に人間味があって、少し天然のような部分もあります。多面的な魅力がある人なんです。すごく達観している部分と、等身大の人間の部分を併せ持っている魅力的な人だなと思います」
アニメでもリゼルを演じることになり、キャラクターの新たな発見もあったのでは……とも考えてしまうが、斉藤さんは「ちょっと違う感覚かもしれませんね」と話す。
「僕は原作を一人で全部朗読しているんです。350ページくらいある小説をだいぶ先まで朗読していて、全キャラクターを演じています。当然、改めてアニメーションという形で表現するならばという発想はありますし、表現の媒体が変われば、見せてくれる表情も変わるところもあるのですが、6年ほど原作と共にずっと歩んできたので、新しい発見があるかといえば、ちょっと違う感覚かもしれません」
全キャラクターを演じているのは、斉藤さんだけだ。斉藤さんは、作品のことを知り尽くしている。
「僕の場合、3時間で60ページくらい朗読しています。冒険者は、荒くれ者も多いのですが、それも全部一人でやっていて、全精力を傾けて取り組んでいます。シナリオの序盤の方がアニメ化されているので、懐かしいところもあって、演者として面白い感覚になりました」
◇“ジル”梅原裕一郎への信頼と安心感
リゼルは、不思議な雰囲気と落ち着きをまとっている。その不思議な立ち振る舞いと言動で、関わった人々を魅了していく。斉藤さんが演じることで説得力が増しているようにも感じる。
「最初にこの作品とご縁がつながったのがドラマCDだったので、その時にリゼルという人の大まかな骨格や枠組みをチームの皆さんとやり取りをしながら作っていきました。リゼルは、別の世界に転移し、彼のまなざしで世界を見ると、この作品の空気感になります。演技的にすごく特殊なことをしているというよりは、常にニュートラルに世界を見ることを意識しています。バイアスをかけすぎないことで、初めて見る方にも作品の世界に入っていただきやすくなるのかもしれないと考えながら演じています。アニメで、ことさら変えたところはあまりないのですが、アニメの方がより分かりやすさを求められているという気もします。朗読やドラマCDは、映像がないので、演者側に委ねられる領域が広めなのですが、アニメは間と尺が決まっている。監督をはじめチームの皆さんが、アニメで表現したいものに対して、表現を届けていくことが役者として大事だと思うので、そこは全うしたつもりです」
“一刀”の異名を持つ最強の冒険者で、リゼルの相棒となるジル役の梅原裕一郎さんも続投した。
「梅ちゃんはブレない人なので、いい意味でいつも通りだなと思いました。長い付き合いですし、『穏やか貴族』でも何度も掛け合いをしています。アニメの収録が始まると、いつものジルなので、すんなり隣に立つことができるんです。信頼と安心感があって、自然と掛け合いのテンポ感が生まれますし、常にリラックスしていました」
◇旅への憧れ いつか紀行文を
穏やかでクレバーなリゼルは、斉藤さんと重なるところがあるようにも見える。まさにハマり役なのだが、穏やかな斉藤さんが怒ることはあるのだろうか……。
「全然ありますよ(笑)。リゼルにしても常に感情が凪いでいる人ではなくて、譲れないものや踏み越えてはいけないラインがあります。穏やか一辺倒ではないところが、僕は好きです。僕も常に穏やかでありたいとは思っています。なるべくみんなで仲良くした方がいいですしね。リゼルとして言葉を発していると、自分が穏やかになっているところもあるかもしれません。一呼吸置いてみようと考えられるんです」
斉藤さんは“超”がつく人気声優ということもあり、リゼルのように長期休暇を取ることは難しいかもしれないが、長期休暇があったらやってみたいことも聞いた。
「旅に憧れがあるので、どこかに行ってみたいです。文章を書くのが好きですし、紀行文を書くことが昔からの夢の一つとしてあります。どうしても東京を中心に仕事をしていて、それはもちろんありがたいことなのですが、長い休暇をいただけるのであれば、ここではない場所に行ってみたいです。母が和歌山出身なのですが、和歌山の海を見に行きたいなと最近思っています。その場所に実際に行って、見て感じたものを文章として残してみたいです。言っているだけだと、なかなか実現しないので、時間を作ってやってみたいです。ロンドンにも行ってみたいですね。本好きなので、立派な図書館があるところがいいです」
長期休暇はなかなか難しくても「穏やか貴族の休暇のすすめ。」を見れば、ゆったりリラックスできるかもしれない。斉藤さんは「長いこと作品に関わらせていただき、アニメで皆さんにこの物語をお届けできることが、作品のファンとして、役者として非常にうれしく思っています。第1話の収録の時に監督が『例えば疲れて帰ってきた方がテレビをつけて、リラックスして穏やかな気持ちになれるような作品を目指したいです』とおっしゃっていて、確かにその通りだと思いました。そういう映像に仕上がっていると思いますので、ぜひ肩の力を抜いて、ゆっくりと見ていただくと楽しんでいただけるはずです」と話していた。(阿仁間満/MANTANWEB)
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