村瀬歩×東地宏樹:「SANDA」インタビュー(1) “一心同体”三田とサンタ役の舞台裏
配信日:2025/10/18 8:01

「BEASTARS」で知られる板垣巴留さんのマンガが原作のテレビアニメ「SANDA」が、MBS・TBSほかの深夜アニメ枠「アニメイズム」で10月に放送をスタートした。超少子化時代を迎え、子供が過剰に保護された近未来の日本が舞台の異色の“サンタクロース”ヒーローアクションで、サンタクロースの末裔の中学2年生・三田一重を村瀬歩さん、三田の変身後の姿であるサンタクロースを東地宏樹さんが演じている。三田とサンタクロースという一心同体の役を演じる村瀬さん、東地さんに収録の裏側を聞いた。
◇14歳の少年が大人のサンタクロースに変身 鮮烈な第1話
--原作の印象、魅力を感じたところは?
村瀬さん 絵のパワーはもちろんなのですが、ストーリーラインで対照的に描かれている二つがめちゃくちゃ面白いと感じました。大人と子供とか、大人になりたい人となりたくない人とか、そういう二つのものがずっと拮抗(きっこう)し合っているというか。すごくパンチ力がある作品だと思います。
東地さん 僕はいまだに原作を読んでいないんです。収録では、最初から絵が結構できていて、世界観が分かるものに対して声を当てていったんですけど、1話目の物語の導入部がすごいなと。三田のクラスメートの冬村(四織)が三田を殺そうとするところから入って、一心同体である三田とサンタクロースを紹介する1話目があまりにも鮮烈でした。僕はティム・バートンが好きなんですけど、いい意味で同じ血が通っているというか。村瀬が言っていたように、大人と子供をテーマにしていて、近未来のサンタクロースの存在を知らない子たちをサンタクロースが助けていくというのも面白いと感じました。
--三田とサンタクロース、それぞれのキャラクターをどう捉えていますか?
村瀬さん それまで普通に14歳然としていた三田は、第1話でサンタクロースになっちゃって、大人の体を体験してから自分自身のことが分からなくなるというか。それは多分、大人の姿のサンタクロースの状態になってもずっとあるんだろうなと。ただ、三田自身は衝動性がすごく輝いているキャラクターだなと思っています。素直で、すごく正義感もあるし、本当に少年らしいところをいっぱい持っていて、この作品の子供らしさを象徴しているようで、魅力的だなと思います。
東地さん そもそもサンタクロースのサイズ感がよく分かっていないのですが、身長182センチの冬村の前に立った時にあれだけの大きさということは2メートル半くらいあるのかなというイメージを持っているんですけど、そういう屈強なおっさんが半信半疑に「子供を助けたい、なんだこの感覚は」と言うんです。それは、サンタクロースとして自然と受け継がれてきているものなんだなと。そういうものを持ったキャラクターというのが面白いなと。収録では毎話気付きがあるので、1話ずつキャラクターのことを知って、演じるという楽しみがありましたね。
◇二人一役にアハ体験 「こういうことか!」
--一心同体の三田とサンタクロースを二人で演じると知った時の率直な感想は?
村瀬さん 東地さんと同じ役をやる日が来るんだ、みたいな不思議さが……(笑)。
東地さん それはこっちだってそうだよ(笑)。
--二人一役を演じて感じたことは?
村瀬さん アフレコの最初の頃は、三田がしゃべり始めて、サンタクロースになって、と展開していくことが多かったのですが、第3話までの映像を見せてもらって、「自分がもし東地さんの声帯を持っていたら、三田としてこういうしゃべり方しそう」と感じることがあって。狙ってやったのか、意図的にやったのか、自然にやったのかは分からないのですが、シンクロしているというか。
東地さん あ、本当に?
村瀬さん そうなんです。激した時の感じとか、自分が自然に選ぶだろうなというものが、サンタクロースの屈強な体から発せられていて、ハートが一緒なんだなとめちゃくちゃ感じるというか。実はアフレコが始まる前までいまいちピンときてなかったんです。姿が変わってもお調子者の部分とか変わらないところはあるんだけど、それでも別人っぽいよなと思っていたのが、「こういうことか!」とアハ体験のようなものをしてすごいなと思いました。
東地さん 僕は、第1~3話までは「ここは三田寄りに」というセリフが結構多かったです。村瀬がやる三田だったら、こうしゃべるんじゃないかと自分の中でイメージしてやっているセリフは何個かあります。それがだんだんなくなっていっちゃう。簡単に変身するようになっちゃうから。
村瀬さん もしかしたらそこが僕の中で象徴的に映っていたのかもしれないですね。あと、三田からサンタクロースにだんだん変わっていくようなセリフもありましたよね。二人で一緒にセリフを言っていって、途中から切り替わるみたいな。
東地さん あったね。シンクロして切り替わるみたいな長ゼリフみたいな。第1話の三田からサンタクロースに変身するシーンの「ホ…ホ…ホッ…ホッホ!」も順番に録(と)っていたんですけど、最初に村瀬が「ホ…ホ…ホッ…ホッホ!」と何発も長い尺で録って、それを僕がヘッドホンで聞いて、それに合わせてシンクロさせていくという。そこからスタートしていきました。
インタビュー(2)に続く。
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