藤本タツキさんの人気マンガが原作のテレビアニメ「チェンソーマン」の続編となる劇場版「チェンソーマン レゼ篇」。「レゼ篇」は、2022年10～12月に放送されたテレビシリーズのラストにも登場し、話題になったレゼと主人公・デンジの物語ではあるが、早川アキと天使の悪魔の関係が大きく変化するエピソードでもある。悪魔を嫌うアキと「人間は苦しんで死ぬべきだ」とも考えていた天使の悪魔だったが、アキは自らを犠牲にして天使の悪魔を助ける名場面も話題になっている。早川アキ役の坂田将吾さん、天使の悪魔役の内田真礼さんに、収録の裏側を聞いた。

　◇天使の悪魔の不思議な魅力

　ーー早川アキ、天使の悪魔の視点で「レゼ篇」の魅力は？

　坂田さん　言ってしまえば、アキと天使の悪魔のエピソードゼロみたいなものだと思っています。それまでアキは天使の悪魔を嫌っていたけど、「レゼ篇」を経て、ようやくバディーとして成立してきますし。

　内田さん　普通に生きていたら仲良くなっていなかったかもしれません。アキとデンジ、パワーもそうですよね。

　ーー演じる中で大切にしていることは？

　坂田さん　「レゼ篇」は、サムライソードと戦ったすぐ後の話なので、地続きになっています。姫野先輩の死を経て、少し心の変化があります。ただ、目に見えてすごく変化しているわけではなくて、少しだけ相手との向き合い方が変わっています。変わりすぎてもよくないと思うんです。心の中に復讐心がずっとあって、そこは変わらず、かすかに変化しているような意識がありました。やっぱり芯として復讐心があって、少しずつほかの思いも生まれてきているイメージでした。

　内田さん　天使の悪魔は、基本的にけだるく、やる気がないんですよね。ほかの悪魔と比べると見た目は人間に近いけど、悪魔らしいところもあります。

　坂田さん　確かに人間に近いですね。羽根は生えているけど。

　内田さん　人に対して優しいわけでもなく、諦めきっています。「レゼ篇」で、アキに助けられて「この人は信用してもいいんだ」と変化していき、優しさが見え隠れするようになるので、テレビシリーズでは登場シーンは少なかったですが「レゼ篇」でそこが見えてきます。

　坂田さん　内田さんはディレクションが全然なかったんです。すごかった！

　内田さん　やりたいことを持っていったら、そのまま通ることが多かったのですが、声を上げるシーンのテストで、女性っぽい怒り方をしてしまって、「もうちょっと男の子っぽく」というディレクションはありました。

　ーー天使の悪魔は基本的に男の子っぽいところを意識している？

　内田さん　男の子だと思って演じています。キレイな少年ですね。

　坂田さん　美形ですよね。

　内田さん　でも、スーツを着ているビジュアルを見たら、男の子っぽい体型にも見えますし、不思議な魅力があります。

　◇全力で挑む姿に感動

　ーー「レゼ篇」では、アキが天使の悪魔を助ける名場面もあります。

　内田さん　アキが力を込めるシーンが本当にすごかったです！　苦しみながら何回もやり直していて、全力で挑む姿に感動しました。

　坂田さん　恥ずかしいですね（笑）。

　内田さん　必死さが伝わってきました。完成した映像もすごかったです。

　坂田さん　アキとしては戦闘を重ねて疲れた状態なので、絞り出すように演じたくて、何度も挑戦させていただきました。喉を使い過ぎて、声が裏返ってしまったり、ご迷惑をお掛けしてしまいましたが、自分の中で達成感がありました。映画館で見ると、不思議なんですよね。自分なのに、こんな感じだったんだ？となったり。

　ーー共演する中で感じたことは？

　坂田さん　自分は食べる芝居が苦手なのですが、アイスを食べているシーンがすごすぎて、どうやっているんだろう？と盗もうとしました。しゃべりながら食べていて、アイスを口に含む感じが繊細なんです。セリフに乗せるニュアンスも生々しく、先輩に負けないようにしようと頑張りました。内田さんと収録していると、天使の悪魔がそこにいるようにも感じて、自然に会話できました。

　内田さん　うれしいですね！　坂田君の声からは、影を感じていました。車の中の「デンジをやるわけにはいかない」というセリフも迫力があって、アキの姿形が見えてくるような感覚がありました。一緒にお芝居していて、とても楽しかったです。アキは、天使の悪魔に対して最初は「無理！」というところからスタートするので、温度差がしっかり伝わってきました。「別に仕事とかしたくないし」という天使の悪魔の気持ちを引き出していただきました。

　◇続きも演じたい！

　ーーちなみに、さまざまな悪魔が登場しますが、もし自分がデビルハンターになるとしたら、どの悪魔と契約したい？

　内田さん　ビーム！　「レゼ篇」では可愛かったですしね。能力とかじゃなくて、ペットとして可愛いです。

　坂田さん　暴力の魔人ですね。「レゼ篇」を見て、こんなお兄ちゃんがいたらいいなあと感じたところもあります。ユーモアがありますし、そばにいたら元気になりそうじゃないですか。

　ーー「レゼ篇」以降のアキ、天使の悪魔のエピソードも人気です。この先も演じたい？

　内田さん　演じたいですね！

　坂田さん　「レゼ篇」はすごく反響が大きくて、僕も実際に劇場で見て、皆さんの熱量を感じました。続きももちろん演じたいです！