ひゃくえむ。:制作期間1年 “極上のワンカット”冒頭56秒公開 緊張感ある高校全国大会決勝
配信日:2025/09/26 12:00

テレビアニメ化もされた「チ。 -地球の運動について-」で知られる魚豊さんのマンガが原作の劇場版アニメ「ひゃくえむ。」の本編映像が公開された。同作は、陸上100メートル走を題材としており、大雨が降りしきる中で開催された高校全国大会男子100メートル決勝シーンの冒頭56秒が公開された。決勝シーンは、全尺3分40秒のワンカットで描かれ、実写の映像を撮影し、その映像をトレースしながら手描きで作画するロトスコープという手法のもと、約1年間を費やして制作された。総作画枚数は約9800枚という岩井澤健治監督こだわりの“極上のワンカット”となっているという。同シーンのロトスコープ撮影は、北京五輪4×100メートルリレー銀メダリストの朝原宣治さんが高校選手役として出演している。
岩井澤監督は、同シーンについて「実際に大会を見に行った時、選手が入場してアップをした後におのおのが位置につくレース前の一連の動作にドラマ性を感じ、普通ならカットされるこの部分をあえて長回しで見せたら緊張感もみなぎって、劇場のスクリーンでも見応えがあり、この作品の売りになるのではないかと思いついたんです。この雨の中の全国大会を描いたワンカットで、本作でのロトスコープへの手応えも感じられました」と語っている。
原作者の魚豊さんも「スタートまでにたっぷり時間があるゆえの緊張感と、いざスタートしたら一瞬で終了するこのシーンは、原作にはないからこそ意外かつとても印象的で。取り入れていただけて本当に良かったなと思っています」と絶賛している。
入場者プレゼントとして、「キャラクター名セリフ6カットステッカー」が10月3日から配布されることも発表された。トガシ、小宮、仁神、財津、海棠のキャラクタービジュアル、ロゴがデザインされたステッカーとなる。
「ひゃくえむ。」は、魚豊さんの連載デビュー作で、講談社のウェブマンガアプリ「マガジンポケット(マガポケ)」で2018~19年に連載された。陸上競技の世界で「100m(メートル)」という10秒に満たない一瞬の輝きに魅せられた者たちの狂気と情熱が描かれた。
生まれつき足が速く、友達も居場所も手に入れてきたトガシと、つらい現実を忘れるためにただがむしゃらに走っていた転校生の小宮が出会い、次第に2人は100メートル走を通して、ライバルとも親友とも言える関係になっていった。数年後、天才ランナーとして名をはせるも、勝ち続けなければいけない恐怖におびえるトガシの前にトップランナーの一人となった小宮が現れる……というストーリー。
アニメは、「音楽」で、米アニー賞にノミネートされた岩井澤健治さんが監督を務め、「音楽」を手がけたロックンロール・マウンテンが制作する。9月19日に公開された。
提供元:MANTANWEB