武内駿輔:「北斗の拳」新作アニメ ケンシロウ役の重圧 偉大な先輩へのリスペクト 「あたたたた!」の挑戦

配信日:2025/09/23 7:01

武内駿輔:「北斗の拳」新作アニメ ケンシロウ役の重圧 偉大な先輩へのリスペクト 「あたたたた!」の挑戦

 1980年代に大ヒットした人気マンガ「北斗の拳」の40周年を記念して制作される完全新作アニメ「北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-」で、武内駿輔さんがケンシロウを演じることが話題になっている。武内さんは低音ボイスに定評があり、若手ながら実力派声優として知られている。超人気作の超人気キャラクターにどのように挑んだのか? 武内さんを直撃した。

 ◇出会いは小学生の時

 「北斗の拳」は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1983~88年に連載された人気マンガで、コミックスの累計発行部数は1億部以上。1984年にテレビアニメ化され、最高視聴率23.4%を記録した。「おまえはもう死んでいる」などの名ゼリフが大ブームとなった。劇場版アニメ、OVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)、ゲーム、ミュージカルなどさまざまなメディアミックスが展開されてきた。新作アニメは、2026年に放送、配信される。

 原作が連載されたのは、武内さんが生まれる前ではあるが、小学生の時、友人に勧められ、原作を読んでいたという。

 「僕の世代は、コンビニ本がすごく流行していて、最初はコンビニ本で『北斗の拳』に触れました。世紀末、核によって世界が荒涼してしまった世界が舞台になっていて、いつこうなってもおかしくないし、自分だったらどうやって生きていくのか?と子供ながら考えたり、友達と話したりしていました。自分たちの日常と完全にかけ離れたものではないんですよね。それまで世紀末を舞台にした作品にあまり触れたことがなかったですし、唯一無二の世界観に引き込まれていきました。当時は、超能力バトル系の作品は多かったので、拳法で荒廃した世界を生き抜くというのも新鮮でした。北斗神拳で人間の潜在能力を100%引き出すというのもロマンを感じました」

 ケンシロウ役はオーディションで選ばれた。ケンシロウは、1984年のテレビアニメ版の神谷明さんの印象も強いが、さまざまなキャストが演じてきた。

 「ケンシロウはもちろんほかのキャラクターもさまざまな方が演じられています。僕は、『北斗の拳』に出演されてきた皆さんのお芝居を聞くのが好きで、主要キャラクターのこれまでのキャストの方々の声は頭に入っていました。声優文化という視点で『北斗の拳』を見てきたところもあります。そんな中に自分も加えていただけることがうれしかったです。ただ、実は南斗派でして……。レイが好きだったので、自分の中のケンシロウの要素をあまり考えたことがなかったんです。今回、演じさせていただけることになって、自分の中のケンシロウの要素があるんじゃないか?とワクワクしましたし、ケンシロウの魅力を考えました」

 ◇優しくなければケンシロウじゃない

 ケンシロウを演じることになり、これまでのキャストの芝居を研究した。

「僕が注目させていただいたのは、ケンシロウのモデルにもなっている松田優作さんのお芝居です。ケンシロウは、ブルース・リーもアイデアの一つになっていますが、普段のしゃべり方、人間性は松田優作さんが鍵になっていると思っていたんです。これまでも松田さんの映画は『ブラック・レイン』などがすごく好きでしたが、『暴力教室』の時代の作品を見て、松田さんの芝居に注目しました。『真救世主伝説 北斗の拳』の阿部寛さんのお芝居も参考にさせていただいたところがあります」

 松田優作さんは説明不要の名優だ。武内さんは、名優の演技から何を学ぼうとしたのだろうか?

 「松田さんは語らない優しさがあるんですよね。僕の解釈ですが、ちょっと素が見えたり、意外に隙を見せるようなところがあって、そこをくみ取ろうとしました。『北斗の拳』の世界で、ケンシロウは雑魚になめられることがあります。ということは、甘く見られる雰囲気があるのかもしれません。ただ、闘うと強いんです。そのニュアンスを表現しようとしました。実際に収録する中で、『子供や純粋な存在に対して視線を合わせる』という話もありました。最初は、子供に対して決して子供扱いしすぎないと思っていたのですが、それではなく優しさがあるんです。荒廃した世界で、心を保ち、相手に寄り添うことができる人物なんです。そのニュアンスと松田さんのお芝居を結びつけて演じようとしました」

 ◇等身大の青年感

 誰もが知っているキャラクターということもあり、「僕自身もファンですし、偉大な先輩方が演じられてきたキャラクターです。皆さんの中にケンシロウの理想像があるはずです」と重圧も大きかった。あまりにも有名な「あたたたた!」という“怪鳥音”にもプレッシャーを感じていたという。

 「怪鳥音は僕の中でもこだわりがありました。『ご自身の怪鳥音を探してください』とも言われたので、すごく考えました。これまで演じてきた方々の演技を聞いて、自分の怪鳥音を探そうとしました。まずは神谷明さんの怪鳥音を聞くと、FシャープからAくらいの音程なので、それができるようにしようとしました。小西克幸さんもすごいんです。阿部寛さんや子安武人さんは地声に近いパターンもありました。英語版のキャストの方の怪鳥音は『てててて』とカンフーっぽい。いろいろな方の怪鳥音を聞いて、自分のサウンド感を探そうとしました。軽すぎてもダメですし、本当に難しいんです。『た』は大体16くらいあるのですが、波を作るのではなく、キープすることを心掛けました」

 「お前はもう死んでいる」など名ゼリフも多い。

 「名ゼリフだらけですし、皆さんの中でイメージができていますしね。僕は、歌舞伎っぽくしないようにしました。松田さんも見得を切るようなお芝居はしませんし、僕はそのニュアンスでトライをして、名ゼリフを再定義しようとしました。ゆったり言ってみたり、サラッと言ってみたりとスタッフと相談しながら、チャレンジしています」

 武内さんは「これまで演じられてきた方と比較すると、僕はケンシロウの年齢に近いですし、等身大の青年感が自分ならではのケンシロウになるかもしれません」と、偉大な先輩たちの名演を受け継ぎつつ、リスペクトを込めて令和のケンシロウを演じようとした。

 武内さんはストイックな役者だ。研究を重ねて大役に挑んだ。「やっぱり難しいんですよ」と言いつつも、何だか楽しそうにも見えた。

提供元:MANTANWEB

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