斎藤圭一郎×中目貴史:日本のアニメを世界へ グローバル・アニメ・チャレンジの挑戦

配信日:2025/08/11 7:01

アニメのクリエーターの育成を支援するプロジェクト「グローバル・アニメ・チャレンジ」
アニメのクリエーターの育成を支援するプロジェクト「グローバル・アニメ・チャレンジ」

 アニメのクリエーターの育成を支援するプロジェクト「グローバル・アニメ・チャレンジ」。日本総合研究所がパートナーとなり、日本芸術文化振興会の文化芸術活動基盤強化基金を活用し、約3年間をかけて世界で活躍できる次世代クリエーターを育成する。国内から才能ある若手アニメーター、プロデューサー、監督、演出家の計11人が候補生として参加し、英語のマンツーマン特訓、海外展開に関するワークショップ、海外スタジオでのインターンシップ、パイロットフィルムの制作、海外アニメイベントへの出展を経験する。アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」「葬送のフリーレン」の監督を務めた斎藤圭一郎さん、「君の名は。」「未来のミライ」「竜とそばかすの姫」「葬送のフリーレン」などに参加してきた中目貴史さんらが“GAC候補生”に選ばれている。斎藤さんと中目さんに同プロジェクトの挑戦について聞いた。

 ◇アニメ業界の閉塞感

 --プロジェクトに参加しようとした理由は?

 中目さん 漠然とはしているのですが、日本のアニメの制作環境に閉塞感を感じるところがあり、これまでと違うことをしてみたいと思っていた時、海外の制作現場のことを知れると聞き、興味を持ちました。直接的に今抱えていることの解決につながるかは分かりませんが、何かのきっかけになるかもしれないと思って参加を決めました

 斎藤さん ちょうと語学留学をしたいと思っていた時、中目さんに誘われたのがきっかけです。中目さんと同様に、現状のアニメ業界に閉塞感を感じるところもあって、今後、自分がこの業界でどうやっていくかを考えた時、今までやってきたこと以外に興味もあったので、参加しようと思いました。

 --まだ海外のスタジオには行っていない?

 斎藤さん まだ行っていなくて、海外の市場やコンペの実態などを講義で学んでいる段階です。

 中目さん 普段は話を聞く機会がない方の講義もあります。経済に関する講義などもあって、自分たちの環境を俯瞰して見る視点もあって、勉強になっています。斎籐さんと私以外も候補生に選ばれていて、一緒に話す場もあって、それぞれが問題への意識、考えることが違うのも面白いところです。普段はあんまりそういう話をする機会はないですし。

 --パイロットフィルムはこれから作る?

 中目さん そうですね。

 斎藤さん 具体的にどういうものを作るかはまだ煮詰めていないのですが、せっかくこういう機会をいただけるのであれば、チャレンジしたいなっていう気持ちがあります。自分でIPを管理できるので、大きな流れを生み出せるかもしれません。どういう方向性でやっていくかは今後、考えていきたいです。

 中目さん クリエーティブに関しては実際に動かしてみないと分からないところもありますが、自分のIPが持てるのは特殊なので、ただアニメを作るだけではなく、何かできればと漠然と考えています。

 斎藤さん 講義の中でもあったのですが、例えば米国のアカデミー賞のようなものを狙い、広く受け入れられるものを狙うのか? それとももっとディープなところでやっていくのか? そこも考えていかないといけません。日本のアニメが海外の市場の大きな流れを担っている中で、どうしていくのかを考えさせてもらっています。自分の作品を使って、海外とのつながりを作れたらと参加する前からぼんやりと考えていたので、コミュニケーションを含めて勉強していきたいです。

 ◇アニメのさまざまな魅力を世界に発信

 --日本のアニメを世界に向けて発信していく際に大切になることは?

 斎藤さん 海外のコンベンションに呼んでいただき、海外のファンの方と交流する機会があり、漠然と思っていることがあるのですが、海外の方が熱狂している日本のアニメは、傾向として少し偏りがあるのかもしれません。人気があるものがやっぱり人気だと感じていて、大きな流れがある。作っている側との分断が生まれかねない状況でもあると思っています。流れが大きいが故に、そこに注力しすぎると、そればかりがアニメの側面として強くなっています。そうなってしまう前に、アニメの多様な魅力を世界に発信していくことが大切だと感じています。さまざまなアプローチで世界に注目してもらえるような作品を作っていきたいという気持ちがあります。

 中目さん 私も同じようなことを感じています。日本のアニメは自由に作ることができる傾向がありますが、その中で偏りができてしまっているかもしれません。もっと幅があった方が面白い。どうしても、大きな流れに飲まれがちで、作品としてはそういうことも必要ではあるのですが、いろいろなことを考えていければ。

 --海外スタジオでやってみたいことは?

 中目さん まだどこに行くかは決まっていないのですが、3カ月くらい行く予定です。長いようで短いのですが。日本と違う作り方をしているでしょうし、働き方を含めてどうなっているかを知る機会なので楽しみです。

 斎藤さん 個人的に抱えている問題、課題、これからの挑戦みたいなものがあって、それを解決する方法を探ったり、新しい視点をもたらせたりすることが個人の目標としてあります。日本と海外の人のポスプロとプリプロの違いなどが気になっていて、日本と海外のいいところをうまく混ぜ合わせて、今までの日本での作り方とは違うものを模索してみたいです。作品として未知数なものを作り上げるというよりは、例えば今までと同じような作品でも、中身が全然違うものになることもあるかもしれませんし。

 中目さん 今までの延長線上ではあるんだけど、惰性ではなく、考えながら作っていきたい。そういう意味でも新しくできるものがあるはずです。

 斎藤さん 結果として変化しないことがベストになるかもしれませんが、これまでにない視点を持てることが大事だと考えています。

 中目さん そうですね。視野を広げることで何かしらは変わっていくでしょうし。これまでは、そういうことを考えられる段階ですらなかったので、自分たちで考えることができるのが面白いです。

提供元:MANTANWEB

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