夜鐘のキト:コミックス第1巻 異例の全ページ描き直し 「読みづらい」の声を受けて
配信日:2025/08/07 12:00

「週刊少年マガジン」(講談社)で連載中の夏目げんりさんのマンガ「夜鐘のキト」のコミックス第1巻が8月12日に発売される。第1巻が「1巻まるごと全ページ描き直しバージョン」となることが明らかになった。雑誌に掲載されたマンガがコミックスで手直しされることはよくあるが、全ページにわたって描き直すのは極めて異例。「週刊少年マガジン」は、週刊マンガ誌で、連載しながら全て描き直すのはハードということもあり、編集部は作者の夏目さんに“手直しレベル”で掲載するよう説得したが、夏目さんの意思は硬く、異例の描き直しが実行されたという。
作者の夏目さんは「1話公開時に多くの方から『読みづらい』というお言葉を頂戴して、自分の至らなさを痛感し、本当に申し訳ない気持ちになりました。プロという肩書でマンガを描く立場にありながら、情けないことに心が折れそうになってしまいました。ですが、いただいたコメントの中には物語を楽しんでくださっているお声もたくさんあり、ここで折れるのはあまりにも不義理だと感じて、無理を言って1巻内の全ての描き直しをお願いしました。連載に穴を空けないという約束の下、許可をいただいた次第です。まだまだ拙い原稿とは思いますが、読みやすくなってと、祈りながら描きました。原稿を差し替えることには、お手間もお金もかかると存じます。この場をお借りして、改めて関係各所に御礼を申し上げます」と経緯を説明。
「役者や納棺師などいろいろな仕事を経験してきた中で、趣味で描いていた絵に『あなたのオリジナルの作品が読んでみたい』とお手紙をいただき、マンガを描き始めました。お手紙をいただいた時も、読み切りや連載が決まった時も、担当さんと物語を作った時も、デザイナーさんが作っていただいたロゴも、作品にいただいたコメントも、アシスタントさんたちをはじめ多くの方がこの作品に関わってくださっていることも、『夜鐘のキト』の世界とキャラクターたちが生まれたことも。私にとっては人生で起こった最高の奇跡です。いただいたうれしいことの全てにお返ししていくために、努力と研鑽を続けたいと思っています。一介の新人マンガ家のこんなに長い文章をお読みいただき、誠にありがとうございました」とコメントしている。
担当編集は「夏目さんが倒れるのではないかと心配でした。ほかの先生は真似しないでください!」と話している。
同作は、5月20日発売の「週刊少年マガジン」第23号で連載をスタート。差別や迫害を受け続けてきた天涯孤独の嫌われ者の魔法使いたちが世界を救う……というストーリー。魔法使いが異端者として世界で最も恐れられている世界を舞台に、サーカス団で奴隷以下の暮らしを強いられていた魔法使いのロアンがある日、偏屈なエルフで魔法使いのキトと出会う。キトの正体は、悪名高い私刑団・夜鐘(やしょう)の一員で、世界一の嫌われ者たちが、世界を救うことになる。
提供元:MANTANWEB