中村悠一:「呪術廻戦」 五条と夏油は「考え方を違えてしまったんだな」 劇場版総集編「懐玉・玉折」インタビュー
配信日:2025/05/12 18:00

「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された芥見下々(あくたみ・げげ)さんの人気マンガが原作のテレビアニメ「呪術廻戦」の第2期「懐玉・玉折」の劇場版総集編「劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折」が、5月30日に公開される。同作は、“最強の2人”五条悟と夏油傑の“戻れない青い春”が描かれる。五条悟役の中村悠一さんが、作品への思いを語っている。
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――「懐玉・玉折」前半と後半で、夏油傑の考え方に変化が見えます。それによって五条との関係性も変化しますが、映像を見ていてどのように感じられましたか?
夏油が五条に対して抱いていた格差や劣等感が、確執へと変わっていきます。しかし、それは本人たちの確執というか、呪術師か呪詛師か“ついている側の違い”なんですよ。決して夏油が「五条を認めません」と言っているわけではなく、自分のたどり着いた考えに従って動くことにしただけで、関係性の変化というか「考え方を違えてしまったんだな」というのが僕の感想です。
夏油が考え方を変えるきっかけとなった天内(理子)のラストですが、おそらく、五条は夏油ほど重くは感じていないと思うんです。「自分にどれだけ力があっても守れないものはある」「伏黒甚爾のような呪力がなくても強いやつがいる」と知るきっかけになり、「起きてしまったことはしょうがない」と。でも、夏油はそうではなかった。そして、五条はそれに気付けなかった。僕は「劇場版 呪術廻戦 0」の段階でも、五条が夏油の考えを理解したとは思っていません。しかし“理屈”は分かったし、それでも「自分はそんな戦い方はしない」という考えに至ったのではないかと思っています。
――中村さんが印象的だったシーンはどんな場面でしょうか?
「懐玉・玉折」はどのシーンも印象的ですが、1つ挙げるとすると、夏油と新宿で対峙(たいじ)するシーン。原作から読み取れた印象や、第1期・劇場版と演じてきた中で「五条は人に寄り添ったりしない人間だ」と思っていました。だからあの時、夏油にかける言葉はすべて「お前のやったことの意味が分からない」という感情をストレートにぶつける気がしたんですよね。しかし、テストでそのように演じたところ「今のだと五条が一方的に言葉をぶつけているので、夏油の気持ちを聞きに来ているように演じてください」と言われたんです。最終的には言い合いになってしまうのですが、会話の入り部分は最初に作っていったものとは方向性をチェンジして演じたので、印象に残っています。
――「劇場版総集編」では、新たにアレンジされた主題歌に加え、5.1chサラウンドや、楽曲のリアレンジ等で、スクリーンで物語への没入感がさらに味わえるような映像になっています。改めて「劇場版総集編」の映像を見た感想をお聞かせください。
大きなスクリーンや良い音響環境が備わっている劇場で物語を体感できるのが醍醐味(だいごみ)かとは思うのですが、この「懐玉・玉折」は静かなシーンがすごく多いんですよね。自宅などのノイズの入る環境ではなく、映画館という閉鎖空間で集中して観るのに非常に適している作品だなと感じました。
――新規ミニアニメの「劇場版総集編じゅじゅさんぽ」が挿入されます。そちらを見た印象は?
本編が2時間ほどあって、テレビアニメを見ていた方はすでに内容をご存じかと思うので、きっとしんどい方もいると思うんですよ(笑)。何度も見に行かれるファンの方もいるとは思うのですが、僕は1度で十分(笑)。その中での「じゅじゅさんぽ」は、数少ない息抜きのシーンになるのではないでしょうか。芥見先生らしいギャグも入っていて、「うわ、出た!」と思いました(笑)。
――「劇場版総集編」の公開を楽しみにしている皆さんに向けて、メッセージをお願いします。
テレビシリーズだけで終わらすにはもったいないくらいのカロリーを込めた作品で、オンエアを見ている時からずっと「イベント上映でもいいから、劇場で見ることができないかな」と思っていました。それは「懐玉・玉折」だけでなく、これから先に待っている展開も、皆さんの期待を超えるものになると思います。もう全部映画でもいいんじゃないか?と思うくらい(笑)。今回は「懐玉・玉折」だけですが、劇場で上映されることが本当にうれしいです。絶対に後悔はさせませんので、ぜひ劇場でご覧になってください。
提供元:MANTANWEB