藤原夏海×古川慎:アニメ「最強の王様」インタビュー それぞれに魂がある “二人一役”の挑戦
配信日:2025/04/01 7:01

米国最大級のウェブマンガプラットフォーム「Tapas」で2018年に連載を開始したTurtleMeさんによる転生冒険ファンタジー作品「最強の王様、二度目の人生は何をする?」(原題 The Beginning After the End)のテレビアニメが、フジテレビのアニメ枠「+Ultra(プラスウルトラ)」で、4月2日から放送される。原作は、全世界累計閲覧数1億5000万回を超える人気作で、史上最強の王様・グレイがある朝突然、無力な赤子・アーサーとして魔法世界に転生してしまい、苦悩しながらも家族や仲間の愛情を受け成長していく……と“2度目の人生”を描く。藤原夏海さんが“2度目の人生”を歩んでいく主人公・アーサー、古川慎さんがアーサーの前世のグレイをそれぞれ演じる。ある種の“二人一役”に挑戦した藤原さんと古川さんに収録の裏側を聞いた。
◇脳内でグレイがしゃべっている
ーー作品の印象は?
藤原さん 最初はグレイさんの威厳を感じました。アーサーが生まれてからは別の雰囲気になって、アーサーが登場した瞬間に、可愛いな!となり、アーサーの表情が豊かですし、愉快な作品なんだ!と感じるようになりました。生まれ変わって、「一生懸命に生きようとする姿がすごく面白いんです。
古川さん 転生した後、赤ちゃんからしっかり描かれている作品はそんなに多くないかなと思いますし、面白かったポイントの一つです。家族に対する情の描かれ方は、海外原作ならではなのかなと感じる部分もありました。心が通い合えてるからこその感動があり、心の動きも楽しめる作品です。ジュブナイル的なところもあり、アーサーの成長譚でもあって、バランスよく練り込まれています。
ーー出演が決まった際に感じたことは?
藤原さん テープオーディションだったのですが、ありがとうございます!という気持ちでした。
古川さん 僕もテープオーディションだったのですが、大丈夫かな…という気持ちがありました。テープでは、自分がこれだな!と思ったものを吹き込みましたが、これでよかったかな?と、正直なところ不安な状態で現場に行ったので、若干の緊張感がありました。
藤原さん そうなんですよね。
古川さん “天の声”のような転生前のキャラクターを演じることも初めてだったんです。主人公とは別にモノローグを言うようなキャラクターのオーディションを受けるのも初めてでした。収録環境が特殊で、最初は戸惑いましたが、慣れてくるとグレイならではの楽しさをどんどん感じるようになりました。みんながマイクワークをしている中で、僕だけ専用ブースだったので。
藤原さん 私たちは、古川さんの声をイヤホンで聴いてお芝居をしていました。アーサーを演じるにあたり、脳内でグレイがしゃべっているような状態で演じることができて、リアルにアーサーを感じるような収録でした。
◇アーサーの中のグレイを感じて
ーー演じる際に意識したことは?
藤原さん アーサーの中にはグレイさんの魂があるんですよね。アーサーは家族という居場所を感じていて、グレイさんもそれが安心感に変わっていったとも感じています。
古川さん 単なる転生先というわけではなく、グレイ、アーサーがそれぞれ魂を持っています。グレイがある程度操作している部分と、アーサーの意思との明確な違いも出てきます。グレイは、アーサーの両親は他人ではあると最初は感じているけど、アーサーからすると、お父さんとお母さんなんです。その愛着がアーサーからグレイに逆輸入されたりもします。戦闘時の判断や思惑などはグレイからアーサーに輸入されていて、双方向の魂のやり取りがあります。それによって、安心感が生まれたんじゃないかな?
藤原さん そうなんです! グレイさんの魂が入っているので、最初は寄せた方がいいのかな?と思っていたのですが、監督からは「むしろ寄せない方で」というお話がありました。「そのままの子供らしさをありのままに演じていただきたい」と言っていただいたので、ベースはありのままに演じています。
古川さん 別の魂だから、グレイが戸惑っていることもありますしね。
藤原さん 私は常にグレイさんの魂を頭のどこかで感じながら演じていました。
古川さん グレイが意図していないけど、アーサーとして言っちゃっていることもあります。
藤原さん 赤ちゃんの時は、グレイさんの意識はあるんだけど、体が動いちゃっていたりします。言葉を話せるようになってきてからは、グレイさんの思いを繊細に受けとめて、アウトプットできるようになっていることを表現しようとしました。
◇古川慎に助けられ
ーーお互いの役者としての印象は?
藤原さん 古川さんにはいつも刺激をいただいています。いろんな現場でご一緒させていただいていますが、勇ましいんです。
古川さん 勇ましいの!?
藤原さん 作品に対する向き合い方を感じて、付いていきたい!と憧れますし、引っ張っていただきまくりです。気さくにお話していただきますし、役者としても人としても付いていきたくなる素敵な先輩です。たくさん助けていただいています。
古川さん 自分がやりやすいようにやっているだけなんですけどね。僕が先輩だからそういうふうに見えているだけで、先輩は意外にそんなこと考えてないよ。
藤原さん ええ、そうなんですか! 私は先陣を切ることがなかなかできないですし。
古川さん 藤原ちゃんは、そつがないんですよ。初めて一緒になったのは10年くらい前だよね?
藤原さん そうです! ド新人で、現場に行くのに緊張していました。
古川さん 顔面蒼白だったよね(笑)。僕もキャリアが浅かった時期だから、すごく緊張していました。その頃から、そつないと感じていました。ここ数年でご一緒させていただく機会が増えていまして、お互い経験を積んでいろいろ変わっていますよね。なんか、すごい偉そうな言い方で申し訳ない(笑)。
藤原さん そんなことないです! ありがたいです。
古川さん 僕はとちることがあるけど、藤原ちゃんがとちるのはそんなに見たことがない。その上で、しっかり決めるところを決める。魂を込めようとしていることを感じ、頼もしいです。今後とも、先輩として甘えていきたいです。
藤原さん 先輩を引っ張っていけるくらいにならないと……。
古川さん そうだよ! この作品はあなたが先頭を突っ走ってるんですよ。僕は後ろからそっと見守るので。
藤原さん 突っ走ります! 後ろから支えてください!
◇アーサー、グレイの変化と成長
ーー最後にアニメを楽しみにしている人に向けてメッセージをお願いします。
藤原さん グレイさんが赤ちゃんとして転生して、体がうまく動かない葛藤があって、うまくいかないながらも感情がポロッと出てしまう時のセリフ、赤ちゃんならではの生理現象の時のリアクションなど一緒に収録させていただき、私もクスッと笑ってしまうようなところがありました。個人的に、そこのやり取りも見どころの一つだと思っています。孤独を抱えた王様だったグレイさんが、転生してから、家族や仲間の温かみを感じ、グレイさん、アーサーがどんどん変わっていく姿は、心が温まるところもあります。そこも、すごく魅力的ですね。
古川さん アーサーが強くなっていくよね。
藤原さん 仲間のみんなのおかげでアーサーが強くなり、成長していくところも見ていただきたいです。
古川さん 最強とも言われていたグレイは変化、成長していきます。アーサーは前世という大きなデータがあるにも関わらず、一人の人間として精神的にも成長していきます。それに引っ張られ、前世の魂であるグレイ自身も成長していく。強さこそが正義と言われていた過去の世界を乗り越えていき、彼が元々持っていたものとは違う強さを手に入れていくように感じています。そこをすごく楽しめる作品なんだろうと、藤原ちゃんの話を聞いて改めて感じました。序盤は、大きな出会いと別れがあります。その別離が大事になっていくので、ぜひ注目してください。
提供元:MANTANWEB