菊池こころ:2代目まる子声優の素顔 35年間アニメを見続けてきた自負 「TARAKOさんが大事にしたまるちゃん」を演じる

配信日:2025/03/02 12:01

「ちびまる子ちゃん」でまる子の声優を務める菊池こころさん
「ちびまる子ちゃん」でまる子の声優を務める菊池こころさん

 さくらももこさんの人気マンガが原作の長寿テレビアニメ「ちびまる子ちゃん」が今年35周年を迎えた。放送開始から約34年にわたり、主人公・まる子の声優を務めてきたTARAKOさんが2024年3月、急逝し、同4月からまる子役の大役を引き継いだのが、声優の菊池こころさんだ。菊池さんは「ちびまる子ちゃん」が放送を開始した1990年1月7日からアニメを見続けているファンであり、外見も性格もまる子をほうふつさせ、アニメの制作スタッフの間では「リアルまるちゃん」とも呼ばれているという。大役を担う菊池さんの素顔とは? 声優交代から1年を迎えようとしている今、まる子役に懸ける思いを聞いた。

 ◇まるちゃんとたまちゃんが好きだった子供時代

 菊池さんは、1982年11月9日生まれの42歳。「BORUTO-ボルト-NARUTO NEXT GENERATIONS」のうちはサラダ役、「ワンピース」のトコ役などで活躍する声優で、2018年8月12日放送の「ちびまる子ちゃん」の「『まる子、幽霊を助ける』の巻」でお花ちゃんというキャラクターを演じたことがある。菊池さんと「ちびまる子ちゃん」との出会いは、アニメの放送が始まった1990年1月7日だったという。

 「小学2年生の7歳の頃に『ちびまる子ちゃん』が始まりました。たしか、同じ放送枠で『ちびまる子ちゃん』の前に『ひみつのアッコちゃん』(第2作)をやっていて、『アッコちゃん』が終わった流れで『ちびまる子ちゃん』を見始めて、そのままハマった感じです。当時は、まるちゃんとたまちゃんの2人が好きでした」

 菊池さんにとって、「ちびまる子ちゃん」は子供の頃から日常の一部だった。声優という仕事を意識したきっかけは「昔の記憶すぎて覚えていない」ものの、「『アッコちゃん』を見ている時に『こっち側に行きたい』と思ったような気がします。ただ、そんなことを子供が思うかな?とも思うので」と語る。

 高校卒業後、声優を目指して専門学校に2年間通い、2003年に「金色のガッシュベル!!」で声優デビューを果たした。ただ、デビュー後も「全然順調じゃなかった」といい、「デビュー1年目は1年間で十数回あったかどうかくらいしか仕事がなかったと思います。アルバイトをしながら声優の仕事をする期間が6、7年あって。徐々に声優の仕事が増え始めて、なかなかバイトのシフトに入れなくなった時にバイトをクビになったんです」と振り返る。

 アルバイトのクビをきっかけに声優一本でやっていく決意をしたという菊池さん。その10数年後に「ちびまる子ちゃん」のまる子役のオーディションを受けることになる。

 ◇「まるちゃんをずっと見続けているのは絶対私だろう」

 TARAKOさんの逝去が報じられた2024年3月9日、菊池さんは自身のマネージャーに「もし、まる子役のオーディションがあれば、自分は『ちびまる子ちゃん』をずっと見てきて、大好きで、詳しいので、候補に出していただけないですか」と電話をしたという。

 「『ちびまる子ちゃん』のキャストさんを除いた声優さんの中で、まるちゃんをずっと見続けているのは絶対私だろうと思ったんです。一番詳しいのも絶対私だと思いました。TARAKOさんの訃報を聞いた日に候補出しのお願いの電話をマネージャーさんにする下心というか、いやらしいなと思いながらも、自分が『オーディションの候補として出してください』と言う勇気を出さなかったばかりに、後からオーディションがあったことを知って後悔するよりはいいと。オーディションを受けることができて、落ちたら、そういう縁だったと思えばいいから、後悔しないようにしたいと思いました」

 菊池さんは、アルバイトで忙しかった20代に「ちょっと見られなかった時があった」ものの、7歳の頃からテレビアニメ「ちびまる子ちゃん」を見続けてきた自負があった。さらに、TARAKOさんが演じるまる子をずっと見続けてきたからこそ気付いたこともあった。

 「私の耳や解釈が間違っていたら本当に申し訳ないんですけど、TARAKOさんのしゃべり方の癖というか、アニメを見ている時にTARAKOさんは『つ』とか『す』の音が『ちゅ』とか『しゅ』にちょっと寄っている感じがすると思う時があったんです。オーディションでは、その癖というか発音を拾おうと思って。でも、やりすぎには気をつけようと思いました」

 さらに、「TARAKOさんはまるちゃんをすごく大事にされていたので、大事に演じよう」と思いを込めた。

 「まるちゃんを演じる上で『こうやってみよう』というのはあったかもしれないんですけど、『こうやったら受かるだろう』とは違うというか。TARAKOさんが演じるまるちゃんに似せようとするのですが、『似てるでしょ?』みたいに思っちゃダメで、マネはするけどマネしないというか……うまく言えないのですが。とにかくTARAKOさんの演じたまるちゃんを大事にしたいと思っていました」

 ◇「ちびまる子ちゃん」声優陣から「体力ある」「根性ある」

 菊池さんは、TARAKOさんからまる子役を引き継ぐことが決まった時、「マネージャーから電話で『決まったよ』と言われ、『え”』と発した後は何を話したのかほとんど覚えていないくらい驚きました。うれしい……緊張、安堵(あんど)、不安、何だかよく分からない複雑な感情で頭がいっぱいになりました」とコメントした。まる子役として初めての収録は決定の連絡からわずか2日後で、収録の初日のことは「緊張であまり覚えていない」という。

 「初日は、たくさんいろいろな方があいさつに来てくださったんです。えらいことになったぞ……と。私をめがけてたくさんの人があいさつに来るなんて経験がほとんどなかったので、しっかりしなきゃいけないんだと思ったのをぼんやり覚えています」

 収録初日からしばらくは菊池さん一人で収録をしていたといい、「そうしたほうがTARAKOさんのまるちゃんに近いということだと思うのですが、スタッフの方からは『もう少し低い声で』と言われました。あと、まるちゃんは小学校3年生の女の子で、エネルギーに満ちあふれているけれども、小さい女の子だからと。トンと押されたら倒れてしまうような弱い女の子ということを監督に何度も言われました。私は、一音目に出る音が強くて、硬くてはっきりした音が出やすいので『強いから弱めて』とも言われましたし、『語尾をはっきり言わないでいい』とも言われました。『~~だよ』というせりふは『~~だお』くらいでいいと」など細やかなディレクションを受けた。

 一人の収録を経て、ほかの声優陣との収録に合流してからは「本当に皆さんが受け入れてくださって。私が楽しくやれているのは、本当に皆さんのおかげです」と感じているという。

 「お姉ちゃん役の豊嶋真千子さんには『体力あるなぁ!と思った』と言われました。おばあちゃん役の佐々木優子さんと藤木役の中友子さんは『根性があるな!』と言ってくださって、うれしかったです。『私、根性あるんだ』と思って(笑)。収録はすごくいい雰囲気で、毎週楽しいです」

 ◇菊池こころはリアルまるちゃん? 一生変わらないまる子役への思い

 菊池さんがまる子を演じるようになって、1年がたとうとしている。自身が演じるまる子をどう感じているのだろう。

 「私の耳が慣れたというのもあるんですけど、放送を見ていると、『もうちょっとやれるよね』と思う時が結構あります。AパートとBパートを比べると、Aパートをやってからエンジンがかかるのか、Bパートのほうが元気で、慣れていて『それをAパートからできていてほしい……』と思う時もあります」

 そう語る菊池さんは、ボブヘアの外見も相まってどこかまる子のようで、「まる子と似ているところはありますか」と聞くと、「ダラダラしてるところは似てますね」と笑顔を見せた。アニメのスタッフの間では、菊池さんは「リアルまるちゃん」と呼ばれているそうだ。

 徐々にまる子という役に「自分がなじんできた」とは感じているが、「TARAKOさんが大事にしていたまるちゃんを演じる。それは絶対に一生変わらないです」と力を込める。

 「ディレクターさんに『もうそろそろ菊池こころのまるちゃんをやっていけたらいいよね』とは言われるのですが、でも『私らしいまるちゃん』って何だろう?って。やっていくうちにそれが見つかればいいのかなと思います」

 菊池さんは、大役を担う大きなプレッシャーを抱えながらも、それを自分から誰かに相談することはなかったという。「しばらくは私からまるちゃんの話は周りにしないようにしようと思ったんです。私が話したことが、万が一違うように伝わってしまったら、まるちゃんの現場に迷惑をかけると思ったので」と、作品とまる子というキャラクターを何より大切に思っている。

 最後に、声優としての今後の目標を聞いた。

 「まるちゃん役が決まる前から、家族で見られる子供向けの作品に一生出続けたいと思っていました。それを今後も続けたいと思います。やはり、私の中で、アニメは子供のためのものであってほしいなと思いますし、夢があるなと思いますから」

 子供の頃に大好きだったまる子を演じることになった菊池さん。その苦労と重圧は計り知れない。ただ、菊池さんが語るように「夢がある」と感じずにはいられない。

提供元:MANTANWEB

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