アイツってもしかしてイイ奴…? 悪役に好感を持った瞬間

アイツってもしかしてイイ奴…? 悪役に好感を持った瞬間

更新日:2017/01/16 10:00

ライバルや敵キャラ=悪役、とは限りませんが、バトル系アクション漫画においてはそのようなパターンが多いのも事実。
そんな悪役たちもふとした瞬間にそれまでとは違うイイ奴かも…というシーンが描かれていることがあります。
ということで、そのような悪役に思わず好感を抱いてしまうシーンを紹介します!

ピッコロの心の声

言わずと知れた超人気漫画「DRAGON BALL」 (鳥山明/集英社) より、本作品の前半部分の最大の悪役と言っても過言ではないピッコロを。

天下一武道会で主人公・孫悟空に負けたものの、世界征服のために強さに磨きをかけていたピッコロ。そこへサイヤ人のラディッツが現れて圧倒的な力の差を見せつけられます。

自らの野望の邪魔になると考えたピッコロは、悟空と手を組み戦いを挑みますが、二人がかりでも歯が立ちません。しかし、ラディッツの隙をついて悟空が羽交い締めにして動きを封じると、ピッコロは必殺技の魔貫光殺砲で悟空もろとも撃ち抜く名場面。

ピッコロにとって野望を叶える最高の形といえると思ったのですが、撃ち抜く前に冷静にこう考えているんです。「ちっ…もっともきさまだけは仲間がドラゴンボールで生きかえらせてしまうだろうがな………」と。

遠慮なしのように見えるが…

 ピッコロの心の声が現れたシーン(DRAGON BALL)
DRAGON BALL
(c) バードスタジオ/集英社

窮地に立たされてもすぐに悟空が助かる方法を考えつくところや冷静な判断に、思わず好感を持ってしまいますよね。天下一武道会では観客もろとも悟空を消し去ろうとしていたピッコロなのに…。ラディッツの地球上陸という出来事の前と後でのピッコロの変化を見比べてみるのも面白いですよ。

悟空を完全に敵とみなしていた時のセリフ

 悟空を倒したと思った時に発したセリフ(DRAGON BALL)
DRAGON BALL
(c) バードスタジオ/集英社

卑劣な悪役ディオ・ブランドーにも良心はある!?

迫力のある画風や独特なセリフや表現方法で、人気を誇る「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの第一部から、ディオ・ブランドーをピックアップ。

ジョースター家の財産を我がモノにするために、肉体的にも精神的にもジョジョを陥れようと卑劣の限りを尽くすディオ・ブランドー。イイ奴だと思う場面は皆無です。

ジョジョの愛犬にいきなりかました膝蹴り

ですが、 自分の行動にためらうことなく非道のかぎりを尽くすディオも、エリナ(ジョジョが恋焦がれる女性)を殴った時に、自分の怒りを制御する場面があるんです。

何事にも容赦のないディオが自制した瞬間

…もしかすると、意外と女性には優しいキャラなのかも?
というのも、死んだ母の形見のドレスを売ってこいという父に怒りをあらわにするなど、母に対しては愛情があったように思えます。読み進めてみても、女性に対しては自ら手を出していない(といっても殺すことをためらう様子はないですし、卑劣です)ように描かれている気もします。悪役界のヒーロー、ディオの悪役っぷりは、ぜひ本編で体感してください!

コミカルな悪役・道化のバギー

コミックスの売り上げでギネス記録を作るなど、様々な金字塔を立て続けて今も冒険の真最中である「ONE PIECE」 (尾田栄一郎/集英社) 。たくさんの敵が登場してきますが、ここでは愛すべき悪役として道化のバギーをご紹介。

ピエロのような容姿をしており、自分の大きな鼻にコンプレックスを持つ海賊です。それについてバカにされたりイジられると、たとえ仲間でも容赦なく裁きを与えます。

仲間でも容赦なく吹き飛ばす

 大砲で仲間を吹き飛ばすシーン(ONE PIECE)
ONE PIECE
(c) 尾田栄一郎/集英社

そんなバギーは描かれかたがとてもコミカル。表情や反応、ドジなところや情けないやられ方など本当に憎めないキャラクターです。また、周りを固める海賊団も同じように描かれており、さながらコント集団のようなイメージです。

表情や反応に愛嬌がある悪役

 形勢逆転された時のバギーの反応(ONE PIECE)
ONE PIECE
(c) 尾田栄一郎/集英社

やりとりが面白い

 バギーと一味のやり取り(ONE PIECE)
ONE PIECE
(c) 尾田栄一郎/集英社

物語の初期に出てくる悪役ですが、その後も要所で登場して物語のいいアクセントになる魅力的なライバルキャラですね。バギー海賊団はいくつもの海を越えるたびに、その笑いの質が上がっていくのでそこにも注目して読むのも面白いと思いますよ。

寄生生物が見せた母性本能

語るべくもない名作でありながら、残酷かつグロテスクな描写で読むのを躊躇してしまう人もいるであろう「寄生獣」 (岩明均/講談社) から、寄生生物である田宮良子(物語後半では田村玲子に改名)を。

主人公の泉新一と出会った頃、彼女は自らの知的好奇心だけのために赤ちゃんを身ごもります。なので、これから生まれてくる赤ちゃんのことを実験材料のようにしかとらえていないのです。

人間を捕食して生きる寄生生物たちには感情的なものは見当たらず、彼女も身ごもっている赤ちゃんについて、子供は食うまでだ、と語っているところを見てもそれがわかるんじゃないでしょうか?

母親らしからぬ発言

 子供を実験道具として考えているセリフ(寄生獣)
寄生獣
(c) 岩明均/講談社

そんな彼女もいろいろな出来事、子供が生まれたことをきっかけに行動に変化がもたらされるんです。そして、前述のような発言をしていたにもかかわらず自分の子供を助けに行く場面も見られます。

我が子を守った母親としての行動

 子供を守ったシーン(寄生獣)
寄生獣
(c) 岩明均/講談社

母親が子供を守るというこの当たり前の行為に、寄生生物でありながら共感が持てる人も多いんじゃないでしょうか? また、彼女の考え方や行動は、ただのアクションではなく、人間について考えさせられる哲学的な漫画と言われる所以ともなっており、このストーリーの重要な要素です。

最初から最後まで一気読み必至の漫画なので、ぜひそのあたりもふまえて本編を読み込んでほしいですね。

ここで紹介した悪役のように、思わず好感を持ったり共感したりしてしまうキャラクターが、漫画には多く登場しています。

また、なぜ悪事を働くようになったのか、その理由などが描かれているコミックも多いですし、もし、そういったサイドストーリーがなくても、悪役のセリフから想像して読み込めば、さらにそのコミックを楽しめるんじゃないでしょうか?

ストーリーを際立たせてくれる悪役に、これからも注目してみてください!

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作者

DEKO3

DEKO3

不動産会社から出版社へ転職。某出版社で営業と編集に携わり、その後35歳という微妙なお年頃で退職。某専門雑誌で培ったノウハウを今後に生かすべく、フリーのライターや何でも屋としての活動を模索中。生粋のミーハー気質なので何にでも手を出す傾向があり、ハマりやすい。今ハマっているものは、スタダアイドルと横ノリ、そしてカメラにも手を出し始めています。

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