棚橋弘至インタビュー(後編):試合後の名言は漫画から拝借!?“心に残る言葉”を生み出す漫画の影響力を語る
更新日:2019/03/13 10:00
IWGPヘビー級で、過去8回王者に輝いたプロレスラー・棚橋弘至さん。“100年に一人の逸材”をはじめ、数々の決め台詞や決めポーズでおなじみですが、その引き出しの多さの秘密は漫画にあるようです。好きな漫画やプロレスへの思いを聞いてみました!
棚橋弘至
漫画から情報を得る時間が大切
――“刃牙”についてたっぷり語っていただきましたが、漫画は普段から読みますか?
今でもちょくちょく読んでますよ。夜、家族が寝静まってから読むこともあるし、漫画の世界に没頭したいときは、漫画が置いてある昔ながらの喫茶店に行ったりもします。仕事柄、緊張と緩和の差が激しいので、何も考えず違う世界に没頭することをすごく大事にしています。
棚橋弘至
――漫画を読むことで頭をリセットしているんでしょうか?
それもありますし、漫画を読むことはインプットするという意味でも僕にとって重要なことなんです。同じ漫画を繰り返し読むことも、面白そうな漫画を新しく読み始めることもありますが、読むときに作品の中で良いシーンや印象的なセリフを頭に残しておくようにしています。それが無意識にでも残っていることで、試合の中で、シチュエーションや言葉がガーンと合わさって、瞬間的に出てくることがあります。
この世の中、漫画だけじゃなくて、テレビやラジオ等色んな情報源があるんですけど、漫画は作者が言葉にこだわって漫画の中に落とし込んでいるので、どのセリフでもキャッチコピーや名言になりやすいんだと思います。
特に長い巡業が続くと、試合後のコメントやインタビューで自分から言葉を発信することが増えるので、頭の中に取り込んだ情報のストックがゼロに近づいてきてしまうことも…。どこかで何かを入れないとアウトプットに追いつかなくなるので、漫画は定期的に読むようにしていますね。
ストックが無くなったら、多分嘘を言い出しますよ。出まかせしか言えなくなるので(笑)。
仲の良い息子と娘に薦めた漫画とは?
――小さい頃から漫画を読んでいましたか?
「週刊少年ジャンプ」(集英社)の全盛期の時代だったので、小学校や中学校の頃は大体みんな買って読んでました。「SLAM DUNK」(井上雄彦/集英社)、「ろくでなしBLUES」 (森田まさのり・スタジオヒットマン/集英社) が人気だったんですけど、僕は「ジャングルの王者ターちゃん」(徳弘正也/集英社)が好きでした。
作者の徳弘正也先生が、筋肉を描くときに、ボディビルの雑誌からお手本にして描いていたそうで、ターちゃんに出てくる筋肉ってものすごいリアルなんですよ。“筋肉のディティールへのこだわり×ギャグ”っていう謎のコラボレーション。今読んでもすごく面白いです。
棚橋弘至
――お子さんと漫画の話をすることもありますか?
息子とは漫画喫茶に行くこともあります。一緒に「キングダム」 (原泰久/集英社) を読んだりしてます。僕が元々三国志好きなので、「蒼天航路」 (王欣太・李學仁/講談社) や「天地を喰らう」 (本宮ひろ志/サード・ライン) も薦めてます。
- 青年漫画 キングダム
- 4.5 (7182件)
棚橋弘至
3歳から高校生の今までずっとバレエをやっている娘には、バレリーナの漫画である「昴 スバル」 (曽田正人/小学館) を薦めたことがあります。
この作品で主人公は、バレエのために親も何もかも捨てていくんですよ。この主人公はあまりに極端だけど、何か一つのことを極めたいなら、捨てなければいけないことだってあります。やりたいことを好きにやっていても楽しいことばっかりじゃないっていうのは、どんな世界でも共通。辛いことも苦しいことも乗り越えた人が、“一流”と呼ばれる人になれるんだと思います。
うちの娘も「どうせやるなら本気でバレリーナを目指したい」と言っていたので、この漫画を読んでもらいたかったんです。
- 青年漫画 昴 スバル
- 4.1 (222件)
踊りの面白さに目覚めたすばるは、バレエ教室を開く真奈の母親に勧められたこともあって、バレエを本...
――娘さんと深い話もされているんですね。
結構仲良しなんですよ。今は受験生なのでタイミングが合わなくなっちゃったけど、送り迎えをしたり、お風呂上りに髪を乾かしてあげたりしていました。さすがに一緒にお風呂は小学生までで終わらせましたけど(笑)。
我が家は母親の方が厳しくして、父親は甘やかすスタンスなんですよ。アメとムチの役割分担で、僕は楽な役をやらせてもらっています。
棚橋弘至
――棚橋さんがお父さんなら最強のボディーガードですね!
もし娘が彼氏を連れてくるような日があったら、まずはプロレス式入門テストから始めます(笑)。「とりあえずスクワット1000回!」から始まって、最終試験は「俺に勝て!」と。
別に本当に戦って僕に勝てないといけないわけではなくて、最初から「勝てないだろう」と諦めるんじゃなくて、可愛い娘のために、僕という強敵に向かってくる姿勢を見たいんです。
棚橋弘至
もっとプロレスを文化として根付かせる漫画を!
――最後になりますが、棚橋さんが今後読みたい漫画はありますか?
僕の子どもの頃、「プロレススーパースター列伝」(梶原一騎・原田久仁信/グループ・ゼロ)という漫画が流行っていたんです。あれは日本国民がプロレスというものを知っていた時代だったからこそ盛り上がったんだと思います。格闘技漫画は多いんですけど、プロレスに特化した漫画の連載が何か始まってくれたら嬉しいですね。それがまた「プロレススーパースター列伝」(梶原一騎・原田久仁信/グループ・ゼロ)のように広まれば、よりプロレスが文化として根付いていくと思うので、そういった連鎖を期待しています。
棚橋弘至
――もしプロレス漫画の連載が始まるとしたら、主人公はやっぱり…?
棚橋ですね!…とりあえず僕に似た誰かであれば嬉しいです。ちょっと字を似せて、“柵橋弘至”とかよくないですか?
プロレスとラブコメのコラボレーションもいいですね。週ごとに格闘編・恋愛編を連載するのはどうでしょう。毎週買わないといけないし、飽きなくていいかもしれない(笑)。
棚橋弘至
- 青年漫画 昴 スバル
- 4.1 (222件)
踊りの面白さに目覚めたすばるは、バレエ教室を開く真奈の母親に勧められたこともあって、バレエを本...
自分が“主人公”になることで、普通の人にエールを送りたいと言う棚橋さん。プロレスと漫画への愛に溢れる棚橋さんに似た新たなプロレス漫画のヒーロー・柵橋が誕生する日も近いかもしれません!
写真:原恵美子
プロフィール
棚橋弘至(たなはし ひろし)
岐阜県出身。1976年11月13日生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学在学中に、3度の入門テストを経て新日本プロレスへ入門。同団体の最高峰のベルト、IWGPヘビー級王者では過去8回王座に君臨する。数々のテレビドラマや映画への出演、書籍や連載記事の執筆など、多彩な方面で活躍。2019年3月6日にDVD/Blu-rayが発売する「パパはわるものチャンピオン」では、映画初主演を飾った。
◆棚橋弘至 新日本プロレス 公式プロフィール
https://www.njpw.co.jp/profile/693
◆棚橋弘至 公式Twitter
https://twitter.com/tanahashi1_100
◆棚橋弘至 公式Instgram
https://www.instagram.com/hiroshi_tanahashi/
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作者
都築みやこ
少女漫画から青年漫画まで、多ジャンルを好む雑食系。休日は家に引きこもり、誰かのオススメ漫画を読み漁っています。好きな作品は「女王の花」「この音とまれ!」「賭ケグルイ」など。
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