独占有名人インタビュー:賀来賢人「“熱くも笑える”漫画がつなぐ今」
更新日:2017/10/27 10:00
明るい役からクールな役、そして一風変わった役まで、多才なキャラクターを演じてみせる俳優・賀来賢人さん。普段からよく漫画を読むという賀来さんですが、意外なジャンルが好きみたい…!?お仕事への意識ともつながっている、賀来さんの好きな漫画とは一体何でしょうか?
窪谷須亜蓮(くぼやす あれん)というふり幅の広いキャラ
――普段、漫画は読みますか?
すごく読む方だと思います。漫画喫茶に行くことも好きだし、電子書籍で買うことも多いです。最近だと「いぬやしき」 (奥浩哉/講談社) や「キングダム」 (原泰久/集英社) が面白かったかな。痛快なストーリーが好きで、どちらかというと少年系や青年系の漫画を読みますね。
賀来賢人
――映画『斉木楠雄のΨ難』(2017年10月21日公開)では窪谷須亜蓮(くぼやす あれん)役として出演されていますが、原作は読みましたか?
「斉木楠雄のΨ難」 (麻生周一/集英社) は、出演が決まってから読みました。正統派コメディで、読んでいてすごく面白かったです。僕が演じる窪谷須は、元ヤンだけど、転校先ではそれを隠して普通に振る舞おうとしている男の子。普段とヤンキーの部分が出てくるときの差が激しくて、なかなか振り幅があるキャラクターだったので、どう表現していこうか悩みました。
でもやっぱり、ヤンキーに豹変する瞬間が彼の一番面白いところだと思うので、そこを一つポイントにしたかったんです。
撮影初日に、消火器を振りかざすシーンを撮ったんですけど、そこで思いっきりメンチを切ったら、福田雄一監督に「そう来るとは思わなかった」と言われて。でもそのままいこう、という話になって、“顔”をフル活用した窪谷須になりました。
- 少年漫画 斉木楠雄のΨ難
- 4.4 (1131件)
漫画原作を演じるときは“声”を意識する
――ドラマ「わにとかげぎす」(2017年)では、花林雄大(はなばやし ゆうだい)役を演じていました。登場人物たちのビジュアルを中心に、原作とはがらりと雰囲気を変えたドラマでしたね。
「わにとかげぎす」 (古谷実/講談社) は、ドラマではどのキャラも原作の容姿と全然ちがったので、それが一つ話題になった作品でしたね。もちろん、原作ファンの人にとって、許せるところと許せないところはあると思います。でも、僕たちは実写化を演じるとなったら、自分たちなりに作っていかなくちゃいけない。「実写化するならこういうことがあっても面白いよね」と、いい意味で別のものを作ろうと思ってやっています。
――漫画原作を演じる上で、具体的に何か気をつけていることはありますか?
演じるときの声かな。漫画を読んでいるとき、なんとなく自分の脳内ではこういう声だな、というのがあるじゃないですか。漫画原作の作品では、それをヒントに探るようにしています。その声が、実際に演じてるときに自分の中でぴったりハマると“今回はいけるな!”と感じます。
賀来賢人
ド直球なヒーローを演じてみたい
――「グラップラー刃牙」 (板垣恵介/秋田書店) が好きだということですが、どんなところが魅力ですか。
《バキ》シリーズは全部大好き! ともすればすごくくだらないと感じるようなことを、大真面目にやっているところがたまらないんです(笑)。それに、戦いや強さっていう男のロマンも詰まっているので、ついのめり込んで読んじゃうんですよね。主人公・範馬刃牙(はんま ばき)の父親・範馬勇次郎(はんま ゆうじろう)がマンモスを真っ二つにしたり、刃牙と勇次郎が戦いの中で一緒に味噌汁を飲んだりするんです。でも、その行動の理由が作品内でちゃんと描かれている。《バキ》シリーズは、作者さんがどういった気持ちで描かれているのか、そういうところまで気になっちゃいます。
――もし実写化したら、演じてみたいキャラクターはいますか。
烈海王(れつ かいおう)という中国拳法の名手が強くてかっこいいんですよ。ぜひ福田監督で実写化してほしい。でも、そしたら完全にコメディになりそうですね(笑)。《バキ》シリーズは読み手の受け取り方によって作品のイメージが変わる漫画だと思うので、難しいなあと思います。
- 少年漫画 グラップラー刃牙
- 4.1 (287件)
強き者の高見をめざし、その少年は閃光となって駆け抜ける!! 今はじまる真格闘伝説!!
――他には「HUNTER×HUNTER」 (POT/集英社) もお好きだとか。バキとはまた趣向が違いますね。
「HUNTER×HUNTER」 (POT/集英社) は、とにかく作者の冨樫さんの頭の中が見てみたい! と思うくらいストーリーが緻密。いつも「よう考えるなー」と感心しながら読んでます。どこまで深く考えたらこんな作品になるんだろう、って。読んでいるときは文字を追うのが精一杯で、伏線とか考える余裕もないんですけど、読み終わった後は「すごいなー…」って放心しちゃいます。そうした中でも、男の壮大なロマンも描かれているんですよね。《バキ》シリーズもそうだけど、理屈っぽくもロマンがある、そういう作品が好きなのかもしれないです。
――「HUNTER×HUNTER」の中で、特に好きなキャラクターはいますか。
幻影旅団が好きでした。特にフェイタンっていうキャラが一番好きだったんですけど、ずっとどんな能力を持っているか隠されてきたんです。物語の後の方でようやく能力が登場したんですけど、それがあまりに拍子抜けする能力で…。それまでずっと好きだったからこそ、少し残念だったのはよく覚えてます。
- 少年漫画 HUNTER×HUNTER
- 4.4 (2858件)
父と同じハンターになるため、そして父に会うため、ゴンの旅が始まった。同じようにハンターになるた...
――今後、演じてみたいキャラクターはいますか?
一番やってみたかったのは、「幽★遊★白書」(冨樫義博/集英社)の主人公・浦飯幽助(うらめし ゆうすけ)。まさにその世代だったというのもあるし、やっぱりヒーローとしてかっこいい。でも年齢的に無理かなあ、と少し諦めてます(笑)。
まだあんまりやったことがないので、ヒーローを演じてみたいですね。誰もから「最後は勝つ!」と思われている信頼感に憧れる。以前、「クローバー」(平川哲弘/秋田書店)というドラマをやらせていただいたんですけど、そのときは絶対負けなさそうな強い役だったので、演じていて楽しかったです。
賀来賢人
30歳を一つの区切りと考えていた
――賀来さんは、今年でちょうど芸能生活が10周年なんですね。
やっと10年選手になりました。でも実は30歳までに仕事がうまくいってなかったら、やめようかなとも思ってたんです。10代でこの世界に飛び込んだからには、何か区切りをつけるのが必要かなと。
でも、この数年間仕事をしていく中で、一つずつ不安要素が潰れていって、攻略していくような感じがしてすごく楽しいんです。これから先も、こうやって少しずつ得意分野が増えていくんじゃないかな、と思うと楽しみですね。
賀来賢人
僕はコメディの舞台にもよく出演させてもらっているんですけど、芝居という方法で目の前にいる観客を笑わせるのが、すごく好きなんです。もちろん、まったく笑わない方もいらっしゃいますけど、それが今の自分の実力なんだな、って改めて思い知らされる。逆に、面白いと感じてくれたら、その反応がダイレクトに伝わるから、なんて楽しくて幸せなことなんだろう、と舞台に立つ度に思います。舞台での活動は、これからもやり続けていきたいし、自分の軸にしていきたいですね。
賀来賢人
映画やドラマだけではなく、舞台での活躍も多い賀来さん。賀来さんの好きな“熱くも笑える”漫画から、ご自身のお芝居への深い思いを垣間見ることができました。「芝居じゃないオモロイことをやってみたい」と今後の抱負を語る賀来さんが、10年後や20年後、どんな“オモロイこと”を披露してくれるのか楽しみです!
写真:下山展弘
ヘアメイク:SHUTARO(Vitamins)
スタイリスト:久修一郎
プロフィール
賀来賢人(かくけんと)
アミューズ所属の俳優。1989年、東京都出身。2007年の映画「神童」に出演し、俳優デビューする。その後、テレビドラマや映画、CM、舞台など幅広く活動中。2017年10月21日に公開の映画「斉木楠雄のΨ難(さいきくすおのサイなん)」では、窪谷須亜蓮という不良高校生を演じる。
◆映画「斉木楠雄のΨ難」オフィシャルサイト
◆賀来賢人 公式Twitter
https://twitter.com/kentkaku
◆賀来賢人STAFF 公式Twitter
https://twitter.com/kakukento_staff
◆アミューズ 賀来賢人 公式プロフィール
http://artist.amuse.co.jp/artist/kaku_kento/
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