中二病系セリフ集 恥ずかしくも考えさせられる言葉の数々
更新日:2016/06/27 10:00
言葉の誕生から十数年。今ではマンガやラノベで欠かせない中二病という概念。
筆者が中二病的な雰囲気を感じた、時に熱く、時に恥ずかしく、時に心に刺さる名ゼリフの数々をご紹介していきます。あなたの魂に届くセリフと出会えたら、次なる言葉を探しに作品世界を旅してくださいね!
厨二病(中二病)とは
ご存じの方も多い「中二病」という言葉は伊集院光さんの造語であり、同氏のラジオ番組内のコーナーで初期のイメージが作られたのですが、それから十数年の時が流れました。
発案当初はどちらかというと、斜に構えたがる、またそれを格好いいと思いたがる子供心を指す言葉だったように思えますが、その後使用範囲は広がっていきます。
不良を格好いいと思うのも、誰も知らないような趣味をたしなむ(マイナー趣味の自分は格好いいと思う)のも、あるいは超自然に憧れ、自分には特別な力があると思い込もうとするのも、全部まとめて中二病という言葉が引き受けている感があります。
なかでもコミックやラノベ作品では、最後にあげた邪気眼系に重点が置かれることも多いですが、今回はそのくくりにはこだわらず、こじらせているキャラクターや自意識があふれ出ているセリフを取り上げてみたいと思います。
「誰かが言っていた……人間は生きながらにして腐るという……」/関口(グリーンヒル)
「行け!稲中卓球部」 (古谷実/講談社) の古谷実先生によるギャグマンガ、「グリーンヒル」 (古谷実/講談社) より。
冒頭、主人公の関口が独白するのがこの言葉。「生きながら神格化されるには値しない」はサルトルだけど、とにかく本作は思春期をこじらせた感じのキャラクターたちが吐く哲学的セリフが魅力です。もちろんギャグマンガですから、深い話をしているようでちゃんとオチがある。
さらに、全三巻と短いのですが、この冒頭の関口の悩みは最後のコマで回収されている作りも、この作品の魅力です。
「・・・・現在ってのはようこの長~~い歴史のほんの一瞬よ」/岡ミドリ(グリーンヒル)
「行け!稲中卓球部」 (古谷実/講談社) で関口と双璧をなす、(中年だけど)思春期こじらせキャラクターのリーダーこと岡ミドリのセリフです。親が裕福なので、衣食住には不自由ない。でも本人には仕事もなにもないという、ニート状態のリーダー。
低い自己評価や、高いプライドから、哲学的ともいえる悩みを抱えています。そんな彼のセリフが、関口とは別の角度からですが、同じようなモラトリアムにありがちな悩みへと斬り込んでいくところはなかなかに痛快です。
「よし、俺だけは認めてやろう!!」/焔燃(ホノオモユル)(アオイホノオ)
実写ドラマ化もされた、島本和彦先生の自伝的マンガ「アオイホノオ」 (島本和彦/小学館) のセリフです。
物語冒頭では、漫画家を志すと言ってはいるものの一向に制作はせず、若き日のあだち充先生や高橋留美子先生を上から目線で評論するだけ。
そんなクリエーター志望のあるあるを体現している主人公の焔燃がときどき、具体的な作家名を絡めて放言するのがこのセリフ。
のちにプレゼントグッズに印刷されるまでになる、作品を特徴づけるセリフと言えますし、この激しい自意識は中二病の「俺はすごいはず」と通じるものがあります。
「漫画家になれなかったら、すべてが終わりなんだよ!」/矢野健太郎(アオイホノオ)
「アオイホノオ」 (島本和彦/小学館) に実名で登場するキャラクターのひとり、大学時代の矢野健太郎先生が漫研を訪ねてきた焔に向かって言ったセリフです。
このセリフまでのやりとりで、当時の矢野先生は四回生にして一年生。つまり、学校には四年間在籍しているものの、留年をしてしまい学年はまだ一年生であることがわかっています。
そして焔に「漫画家になれなかったら?」と質問を投げておいてからの、この覚悟完了という言葉がピッタリのセリフへと続くのです。漫画家への熱い思いが伝わってきますね。
矢野先生は目標を達成し漫画家になるわけですが、誰もが希望通りの進路につけるわけではないなか、「~でなければ」「~であるべき」と思い込むのも、中二病の心に通ずる要素だと思えるのです。
1999年に発生した中二病という言葉を巡って
今回、中二病という言葉をキーに2つの作品をご紹介しました。
ただ、はじめにも書きましたように、真似すると中二だけど、作中では実際に機能している能力を持つ場合などを中二病と呼ぶことには慎重な立場です。
「中二病」という言葉が生まれたのが1999年だということ。今回取り上げた「グリーンヒル」が同じく1999年に生まれた作品だということは偶然ではないような気もしています。
ちなみに1999年はニートという言葉がイギリスの調査報告書に記された年でもあります(日本にこの用語が入るのは2004年)。鋭いセンサーを持っている作家などは、若者の中二病という言葉にまとめられていく心の変化を感じ取っていたのかもしれないなと思いませんか?
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作者
松浦迅徹
小学校のクラブ活動になぜか漫研があり、小学四年生にして漫研デビューをしたライターです。また中学から高校までは、これまたなぜか学校のクラブにアニ研があった関係で――、という具合にこれまでマンガ・アニメ・ゲームを堪能して参りました。現在はゲームのシナリオライターなどもしております。どうぞよろしくお付き合いください。記事タグ
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