ありきたり?そこがいいんです!BL界の「あるある」設定
更新日:2016/09/16 10:00
漫画を読んでいると、よく気付くシチュエーションにぶち当たることがある。これはどこかでよく見かけるパターンだ! と叫んでしまいそうになる「王道」の世界。
あるある過ぎて飽きた? いえいえとんでもない。あるあるだからこそハマってしまうこと間違いない。
思わず虜になってしまう「王道」漫画を今回はご紹介。さて、あなたならどの王道がピンときちゃいますか?
「弱点という鎖でつなぐ系」
●王道レベル ■■■■■■■□□□ (70/100)
●特徴:相手の弱点(お金がない・自分のことを好きなど)の弱みを握って接触して、相手をモノにする。
人の弱みに付け込んでモノにする。それが相手への愛情からくるものだとしたら…めちゃくちゃ歪んでますね!だがそこがいい(笑)
今回はその中でも歪み方向MAXな例をご紹介。ノリに振り落とされないでね!(笑)
短編集を収録した「やじるし」 (はらだ/リブレ) の中から「ひきずる音」。
シュンとユウマは幼馴染。小学生のころの事故で負傷したシュンは、いまだに片足を引きずるように歩く。その事故に居合わせたユウマは、自分だけ無傷でシュンを置いて行ったことに罪悪感を感じ続けている。
高校生になってもユウマはシュンに過保護に接する。シュンはそんなユウマの自分に対する過保護っぷりが内心嬉しくてたまらない。罪悪感から何でも言うことを聞くユウマが好きだ。
「あの事故はユウマのせいじゃない」その一言でユウマは自由になれることは、とっくに知っている。でも絶対に言ってやらない、その理由とは。
絶対言ってやるものか。ユウマを繋ぎ止めるために。
周りから見たら、ユウマがシュンに依存しているように見える関係だが、本当は誰よりも依存しているのはシュンのほうなのだ。
ユウマはシュンのためなら何でもする。たとえ自分の体を求められても。
恋人というよりはどちらも囚われの身ですよね。ユウマはシュンにとらわれ、シュンは自分の気持ちにとらわれている。
繋ぎ止めるシュンの心の内がインパクト高くて、病的すぎてそこがいい! 萌え度マックスですね!
まさに繋ぎ止め系のお手本! というレベルの作品。甘々系から粘着系など、繋ぎ止め系のお話は幅広くありますので、ぜひお好きなものを探してみてください。
幼馴染が好き!系(SP並みのストーキングホモ)
●王道レベル ■■■■■■■■□□ (80/100)
●特徴:幼馴染を好きになってしまった。この片思いは届くのか!
彼らの特徴といえば、要人を警備するレベルに相手の周りをうろうろとして、相手から目を離さない程の監視っぷりのすごさです。ご近所さんだし、もうこりゃ告白して両思いになるしかない! という状況ですね。
例えば、「明日はどっちだ!」 (山本小鉄子/大洋図書) の星(きらら)。星の片思い相手は隣の幼馴染、顕。
星は幼いころ母親に美少女コンテストに出されて優勝するほどの美形少年。そんな星が、自分が男であることに目覚めたのは、隣の兄弟土佐山田兄弟と仲良くし始めてから。この頃は純粋にこの兄弟にあこがれるだけで、自分もこんな風に男らしくなりたい! と思っているだけだった。
中学に入学したてのころ、喧嘩を売られたところを顕に助けられた星。星は助けてくれた顕のことを意識してしまうようになる。いつでも顕のことを考えてしまう星は、モテる彼に嫉妬してしまうが……。
星が好きなはずなのに、なぜか顕の方からキスされてしまう!!!! 意味が分からない星。そりゃびっくりしてしまいますよねー。いたずらか何かかと思ってしまいます。
そんな星は「純情をもてあそばれてる!」と認識して、顕の気持ちに気付いていない模様。
実は顕も、星に並々ならぬ感情を抱いていたんです。しかもとても幼いころから。
兄や兄に構われる星の笑顔と対照的に、星たちを無表情な顔で見つめる顕。気持ちを表に出さない顕が、心の底では二人のじゃれあいに何かを考えていそうな意味深なシーン。もうこの頃から、星のことが気になって仕方なかったんでしょうね。
本当は両想いの顕と星。けれど二人の気持ちはすれ違い続ける。そんなストーリーに思わずドキドキ!
好き同士なら、思いが重なる日もそう遠くない?! 少なくとも私はそう願っている!は、はやく次の巻を出してくだされ!!!!! 続きが待ちきれなくて仕方ない作品です!
やくざ&一般人 や優等生×不良 格差のあるカップリング(愛があれば身分なんて…系ロマンチックホモ)
●王道レベル ■■■■■■□□□□ (60/100)
●特徴:普段何の接点もない、ギャップのあるカップリング。それでもラブラブなのだ!
その中でも少し嗜好の変わった俺様受けを選んでみました。
「四代目・大和辰之」 (スカーレット・ベリ子/新書館POP) より
保父・望×ヤクザ・辰之
「みのりの手その手でいかせて。スーパーラブマッサージ」
(スカーレット・ベリ子/新書館POP)
のスピンオフ作品からチョイスです。
前作の舞台は整体院「オアシス」。施術師・重藤稔による施術で快楽を味わうために、いつも様々な人々が訪れる。その中の一人、みのりに思いを寄せるも失恋してしまったやくざの四代目・辰之が本作の主人公です。
みのりとの失恋から立ち直れない辰之は、ある日泥酔状態で公園のベンチの上でぐったりしてるところを、見ず知らずの男にお持ち帰りされてしまう。
朝目覚めると、そこは情事のあと。まさか見ず知らずのやつと!? と思ったが、相手はなんとこちらをよく知っている人物・望だった。
美形で保父として働く望は、辰之をずっと思い続けており、今の土地に引っ越すまでは辰之を(半分)ストーカーしていたというから驚きです。
さすがは四代目。周りも一斉にお辞儀するレベルのお人!
保父さんやってるイケメン青年・望ですが…。
こうなっちゃうわけですー。辰之にぞっこん。なんかまるでテディベア抱いてるようなポーズじゃないですか! かわいすぎるぜ!
そんな二人の関係ですが、これがまたヤクザと一般というすさまじいギャップのCPなのに、深くてあったかい。
辰之は、表向きはヤクザで凶暴に見えるが、実はとても心優しい人間。望の辛そうな姿や傷ついた姿を見るたび、温かく接してあげる…めっちゃ性格イケメンなのです!
過去のトラウマを思い出すたび、つらくなる望。時にはこの世から居なくなりたくて、入水してみたりします。そして、溺れないで戻ってこられると、また生きていける…そんな脆い心を持つ望。
辛さの底を理解することはできないが、望の影の部分に気づくことができる辰之。影に沈みそうになると、さっと辰之が手を差し伸べてくれます。望にとって辰之は、暗闇の世界でいつでも道を示してくれる、希望の光なのです。望が過去を振り返るたび、こうして現実に戻してくれる姿は、やくざのくせにあったけぇ!!!と思っちゃいます。
かなりイレギュラーな王道系漫画ですが、そこがまたいい! 愛を感じるねー。ぜひぜひ見ていただきたい作品です!
さて、以上で王道のご紹介は終わりです。ほんとはもっといっぱいあります! けれど残念ながらここでお別れ。
また次の機会がありましたら、ぜひぜひお話しさせていただけたらと思います。
この中からも素敵な漫画との出会いがあればと思います。ピンときたら、ぜひぜひ読んでみてください!
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作者
まいか とぽち
フリーライター。ジャンル問わず、気に入ると力尽きるまで暴走する。特に怪談とアメコミとBL漫画の話題になると暴走機関車と化す。最近は、アルパカを飼いたいと思っている。記事タグ
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