4.0
売り方が悪いんだと思う。
女性向けコミックとしてエロをクローズアップした売り方のせいで、違う方向に期待した人からすれば確かに肩透かしですね。低レビューが割と目立つのはそのせいだと思います。
私にはとても響く作品でした。
日々に些細な生き辛さを感じながら、障害としてはボーダーの上にあり、クリニックにかかっても診断名がつかないような人には、この作者さんの発信する心のギリギリのメッセージはとても心に響くと思う。
こういうメンタル的なことは言葉にするのは難しくて、モヤモヤと劣等感を抱える人は本当は多いはずだけど、大人になったら心は擦れて慣れて、それが普通になってしまうんですよね。よくも悪くも鈍化していって、それはもうそういうものなんだと、ほとんどの人は諦めてしまう。
この作品は、正確には、精神的葛藤のその先に踏み入った経験のレポだと思う。単に、その方法がレズ風俗だっただけ。
レビューには、作者さんは自分に甘いだとか弱いだとか書かれていましたが、私は首を傾げてしまいました。
確かにそう見ることも出来るし、そう感じる人の方が感性が平均に近い訳だから、実際イライラする人のほうが多いとは思う。
だけど、努力って数値化出来ないもので、同じ100m走るのを頑張ったとしても、スタート地点がそもそも通常の人よりも遠い位置にあるこの作者さんは、その分頑張らないと普通の人には追いつきません。
だからといって、普通の人と同じ時間ではゴールにたどり着けなかったこの作者さんが、頑張ってなかった、甘え、努力が足りない、と言われるのは、少し違うんじゃないかと思う。
考えて考えて、悩んで、見出す答えは人それぞれで。
そこでレズ風俗との出会いとそこでの体験に最終解答を託したユニークな作者さんの人間臭さに、エールを送りたい。
私にとっては、傷付いても足掻いて何とか先に進もうと頑張る人たちに希望を与えるような良作でした。
作者さん、頑張って下さい。
- 9