まんがグリム童話 くずれる牡丹~闇の淫花抄~
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あらすじ
◆散る桜…時は戦後。とある田舎町にやってきた薬屋の息子・史郎はひとりのみすぼらしい娘・さくらに出会う。彼女に近づくなと周囲に助言されるも、史郎はさくらが気になり…。◆しぼむ朝顔…戦後、米兵専門の売春婦(パンパン)として生きる娘・みどり。ある日、みどりの前にひとりの復員兵青年が現れる。彼は戦争で家族を失ったことから、生への執着を失っていた。◆くずれる牡丹…会員制の“牡丹倶楽部”へ入会することになった実業家・関。拠点となる屋敷を訪れるが、なんと、そこは元華族令嬢の牡丹が会員に肉体で奉仕する淫らな社交場だった!
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ユーザーレビュー
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しぼむ朝顔 泣きました。
魔木子さんの漫画は「うらめしや」が1番好きですが、それは長編の話で、短編は「しぼむ朝顔」が1番好きです。
戦後の日本を体を売ってでも生き抜く女性を描いた魔木子作品は多いですが、しぼむ朝顔では、戦争で同じく傷付いた青年も描かれています。生き残って復員した特攻隊員の若者は、みんなが「生き残った!良かった!生きよう!」ではなく、「生き残ってしまった。仲間に申し訳ない。無様だ。死にたい。」と思う者もいた。戦時中の洗脳。
恋愛だけでなく、生きるというテーマが盛り込まれた良い短編です。by みゃい- 3
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5.0
タイトルの言葉選びの秀逸さに
しびれました。
それぞれの花の枯れる様を表す美しい日本語です。
それでも、そんなキャラクターに悲劇や悲恋を感じても、不幸にはならなかったと思わせられるストーリーこそ、魔木子ワールドの真骨頂だと、納得しました。
「散る桜」のさくらと義父は一番根っこにどんな人間より純粋な思いで繋がっていたように思います。それこそ、「愛」とか「絆」なんて言葉が薄っぺらく感じられるくらいに。しかし、お互いに対して歪んだ形でしか表現できなかった分、どうあがいても、幸せに成就させることはできなかったと思います。
史郎のような常識ある価値観を持つ普通の人間には、さくらの愛情は受け止められなかったんでしょう。
去っていくさくらを何もいわずに見送ったところに、史郎の精一杯の恋情があったのだと思いました。
「しぼむ朝顔」清涼剤の役割を果たした作品でした。
みどりの掴んだ幸せにほっとしました。
そしてなにより、特攻隊で生き残った復員兵のリアルを感じました。
特攻隊は「靖国で会おう」を表向きの合い言葉に爆弾抱えて散っていくことしかできなかった軍隊です。特攻兵に限らず、生き残った自分を後悔して戦後を生きた復員兵は、戦争のない現代日本では考えられないくらい多かったらしいと聞いたことがあります。
みどりのどんなことをしても、未来にある幸せを信じて生き抜く姿は、戦後の復興を支えた原動力のように思えてなりません。
「崩れる牡丹」は、本物の悲劇だと思いました。
身分がものをいう大正時代に、裏社会の汚れ仕事を引き受けることによってなりあがった関と、混血で八方塞がりの元華族の娘牡丹が出会った、ありとあらゆる人間の業を集めたような牡丹倶楽部。どこから切り取っても生きて育むことはできなかった恋だと思います。それでも、牡丹の望みを叶えるための道行きは、二人このうえもなく幸せだったと思います。
誰もがおもう幸せに背を向ける形になりますし、現代の価値観と照らし合わせても、さくらと牡丹の幸せを支持できる人は少ないと思います。それでも、このラストが幸せだと力強く感じられる、良作だと心から思います。by 美真路- 2
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5.0
美しい物語。破滅に向かう世界観も良い。この手の物語が若い頃は好きだったなと思いつつ毎日楽しみに読んだ。1話めが最後まで無料で読めるのでストレスも無くて良い。
ありがちな物語とまでは言わないけれども話の先が読めてしまうのが残念。
2話以降はどうしようか思案中。by 未公表希望- 0
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4.0
絵が好きです
特に、魔木子先生の描く眼は繊細で線が美しく、ヒロインの瞳を印象的にしながら、その眼にまず惹きつけられてしまい、先を急いで読みたくなってしまいます。さくらが、義父から逃げられるのか。いや、本当に逃げたいのか。男女の性、業がよく描かれていて先が楽しみです☆
by saya*- 0
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4.0
刹那的な愛
魔木子先生大好きです。
さくらとお義父さんとの関係は、血の繋がりがなくても許されない関係だとは思う。でも、誰よりもお互いを必要としていたんだな、と。許されなくても、異常でも、やめられないのが、男女の愛。刹那的な愛を描いたらナンバーワンの先生らしい作品。by ぐみにゃんさん- 0
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5.0