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其々の『彼氏彼女の事情』の奥深さ
293話も、コミックなら全21巻。表面的な日常から内面の深淵まで。立場に合わせ、場面を何度か戻し、この時、雪乃はどう感じていたか、総一郎はどう思っていたか、と 深掘りして行く。
無料配信の1〜2話→偽善者:宮澤雪乃のコミカル要素から、学園ラブコメを予想していた身としては、想定外の展開でした。
絵柄は、キャラの書き分けが紛らわしく、ちょっと古く感じますが、メッセージ性の強い作品。「英語やドイツ語にも翻訳された」と スタッフレビューに有ったように、なるほど クールジャパン! 日本の漫画ならでは、かな?
骨太作品の要素として、主役キャラは勿論の事、その仲間達にも、そして大人達にまで、スポットを当て、過去を蘇らせ、単純では無い事情を浮き彫りにし、簡単には解決できない問題にも 癒しを与える。成長と再生と愛の物語。
津田雅美さんの作品は これが初めてでしたが、重いテーマに、愛することの悦び、親から子供、その子供へ、倖せになってと願う想いが、力いっぱい入った内容でした。きっと人間が好きなんだろうなあ〜。
16年後の最終話のセリフ。まさに その通り! 人生100年時代とは言え、自分に いったい何年の時間が与えられているのかも知らず、手探りで、足掻きながら、どんな選択をして、どう進んで行くのか。味わい尽くして、生きていこう。
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