5.0
うわぁっ!なんて心揺さぶる話書くんだろ
レビュアーさんの中で、読めば読むほど味があるスルメのようと書かれている方がいましたが、本当にそうだと、読み終わって納得しました。
読了後の余韻も凄い。ラストの着地の良さに何か溢れる満足感がありました。
柔らかな絵ながら衝撃の連続。まず最初の設定がありがちな、人違いを装う、再婚による義理姉弟の拗らせた関係のスタートでそこまで掴みが良かったわけではありません。でも一つの嘘から、嘘を装い続けていくうち、義弟の本当の姿を見て本音を知り、重なるモテ期に苛まれ、展開の忙しさに飽きることなくどんどん読めました。
クズなことしてる主人公だけども、憎めないキャラクターだったし、周りの登場人物もいい味出してるし、言葉やセリフのセンスも好きでした。
人物描写も行動から丁寧に読者に伝えてくれるところが良かったです。
前半は主人公の嘘から次々と自分の首を締めてドタバタしているのですが、中盤は弟と自分に想いを寄せてくれる彼と自分の気持ちに苦しみます。苦しんでいることも伝わるけど、重々しくなく、それぞれの気持ちある行動にキュンとします。
やはり避けて通れなかったカミングアウトの時はどうなることやらと思いましが、最後2冊くらいの幸せタイムからはもう雲の上を歩いているかのようで、読んでいて幸せな気持ちになりました。
最初の関係性を振り返ると、人として凄く成長しているしそこをとても丁寧に描かれているなぁと、読めてほんとに良かったなぁと思いました。
とにかく今は胸いっぱい…。
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