【ネタバレあり】アリス イン デッドリースクールのレビューと感想
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感情が死んだ
ギャグ漫画からゾンビ漫画にシフトチェンジする話。
私はこういう漫画や映画を「ジャンル崩壊系」と呼んでいる。
例えば、という例を挙げること自体がネタバレになってしまうので、漫画の具体例を出すのは避けて映画にするが、「フロム・ダスク・ティル・ドーン」なんかがそうである。
ちなみにあれも、この漫画と同じで、途中からいきなりゾンビ映画にジャンルが変わる。
この手法はサプライズを得やすい代わりに、一定のリスクがある。
上手く決まれば、いい意味で「騙された!」という爽快感をもたらすのだけれど、基本的に人は「そのジャンル」を望んで足を踏み入れているわけだ。
例えば、「ラブストーリーかと思ったらホラーじゃん!」という作品があったとするが、そもそも、ラブストーリーを手に取る読者はラブストーリーが読みたいと思っているわけである。
その先行した願望を超えて、「でも、面白かった」と思わせられれば成功だけれど、「いや、ラブストーリーが読みたかったんですけど」と白けられてしまうリスクは常にあるよ、ということだ。
だから、先の例で言えば、本来ホラーを読みたい人に読んでもらえるのがいいわけだけれど、ホラーを望む読者は一見ラブストーリーに見える作品を手に取らない、というジレンマが生じる。
「いや、これ実はホラーで」というのはネタバレになるからもうアウトなのだ。
そういうわけで、色々と難しい手法だと思う。
それだけに、ジャンル崩壊系の作品を楽しめたときには、他では得られない種類の感慨があったりするのだけれど。
まあ、色々書いたけど、本作はそういうことを論じられる次元にない。
私は書くことがなかったから、書いただけだ。
本当に酷い。
序盤は一応ギャグ漫画の体裁なのだが、申し訳ないけれど、これがもう、形容の仕様がないくらいつまらない。
それがただ、ギャグに片足を突っ込んだ状態のまま、これまた絶望的につまらないゾンビ漫画に移行する。
私は読んでいるうちに自分のあらゆる感情が死んでゆくのを感じたし、だから、ジャンルが崩壊しようが何しようが、サプライズもクソもなかった。
サプライズというのも感情であるから、感情の死んだ読者となった私には、もはや何も感じられなかった。by roka- 6
1.0