泥濘の食卓

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あらすじ
田舎町のスーパーで働く「深愛(みあ)」は、パート先の店長と不倫関係にあった。何のとりえもない自分に優しくしてくれる店長が大好きな深愛。しかし突然、別れを告げられる。理由は妻の鬱。家族の為に使う時間が必要で関係を続けられないという店長の言葉は耳に入らず、深愛が導き出した答えは、「私はやっぱり、店長と幸せになりたい」。その想いが一つの家庭を泥濘へと引きずり込む――。
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みんなのレビュー
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4.0
純粋ってなあに
バイト先の店長と不倫中の主人公。
主人公に恋心を抱く不登校の少年。
その少年は店長の息子。
店長の妻はうつ病。
息子の不登校の原因は幼馴染のストーカー。
という有様で、もうこれどうすんだよ、と気が重くなるが、なかなか読ませる。
幼馴染の独善的な暴走は狂気じみているが、実のところ、一番タチが悪いのは主人公だと思う。
いわゆる「純粋」タイプに分類される主人公というのは漫画にはよく出てくるし、基本的に作品はそれを肯定的に描く(だからこそ主人公になり得る)わけだけれど、本作は、違う。
明らかに本作は、そこに悪意を持って描いている。
主人公の「純粋」の正体は、病的な八方美人、嫌われることに対する異常な恐怖心である。
だから、不倫相手の家に上がり込んで妻をカウンセリングする、などということが平然と出来る。
信条とか尊厳とかいう観念自体がないから、自分の行為が相手に対して持つ意味が理解できない。
店長みたいな馬鹿な男がそれを「純粋」と感じるのは好きにしたらいいが、こんなもの、本質的には純粋と何の関係もない。
一見すると「純粋で可愛い漫画の女の子」のようにヒロインを描きながら、実のところ、変則的な形の自己愛にまみれた人間の薄気味悪さを、確信的に描いている。
そこが、凄い。
自己愛でもってわかりやすく他人を踏みにじっているのが、幼馴染のストーカー。
自己愛でもって自らの欲望の醜さを欺き、自己正当化に終始しているのが、店長。
無自覚で悪意なき自己愛によって、周囲を巻き込みつつ泥沼(泥濘どころの話じゃない)に落ちていきながら、落ちてゆく自覚すらない主人公。
おいおい、どうすんだこれ。
というわけで、今後も目が離せない。by roka-
44
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4.0
NEWこれは純粋なのか?
テレビで『警視庁密着24時』系の番組を見ている時に、例えばストーカーの人が言う「相手も自分のことが好きだと思っていた」とか、痴かんで捕まった人が言う「相手も喜んでいると思っていた」というのを聞いたときに感じる、タチの悪い純粋さ、認知の歪みをこの物語の主人公、店長の息子の幼馴染みから強く感じる。
心の飢えから来る思い込みが強すぎて視野が狭くなり、全ての情報を自分の都合の良い方向に解釈して行動するから現実世界の人たちの心からどんどん離れて沈んでいく気持ち悪さとか。
そしてその泥濘にハマっていることに本人たちはまったく気付かない恐さとか。
一人ひとり、同じ時間を共有しても同じモノを見ているとは限らないし、その人が見えてる世界の中でしか人間は生きられないんだなあと思った。by ぷるぷるみきぷるーん-
0
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4.0
純粋ゆえの暴走
絵は決して上手くはない、ハナシで読ませるストーリーです。
主人公は、店長と不倫中。
人には優しく親切にすることをモットーに生きる主人公。
不登校気味の男の子に声をかけたりお婆さんにも周囲の人にも親切を尽くす。
優しくされた男の子は主人公のことが気になっている様子。
不登校の男の子は、自分に好意を寄せる幼馴染の女の子から苦しめられていた。
そんな中、奥さんが鬱で家庭が大変だからと店長に別れを告げられる。
一生懸命に、自分と店長との明るい未来のために店長の奥さんと接触して、鬱の奥さんを元気づけようとする。
実は不登校の子は店長の息子ということが分かり、男の子自身も気になっている女の子が父親の不倫相手だということを知る…
という、ドロドロ展開。
主人公の純粋さゆえの暴走がこわい。
途中はもうストーカーだし、男の子の気持ちや奥さんの気持ちを考えたらいたたまれない…。
終始ほんわかした絵柄でドロドロ!!って感じではないのですんなり読めますが、なかなかの展開です。
なんだかんだで「自分のことしか考えてないよねー」「なんでそうなるんだー」とかツッコミ入れたくもなりますが、とにかく主人公が一生懸命だから仕方がない…。
ある意味、みんな自分の欲望に忠実なのかな…。
ありきたりな漫画に飽きてしまっている方にはおすすめです!!by シー・ズー-
7
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5.0
心理的な怖さのあるお話
バイト先の店長と不倫している主人公、純粋に店長を想っているけれどその無垢な想いが暴走してて怖いです。そんな主人公を想う店長の息子さん、その息子さんのストーカーをする幼馴染。この幼馴染の女の子が私的に1番苦手です。家庭環境が影響しているのか、自分勝手な行動に怖さと苛立ちを覚えました。絵は綺麗というわけではありませんが、そんな事が気にならないくらいお話が深くてとても面白いです。
by ガッキー花子-
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5.0
日常に潜む違和感と恐怖
主人公が一般的な(普通より可愛いかも)
20代前半の女の子でその子の視点から職場を中心とした日常が描かれていて、日常系ラブコメかと思って読み始めましたが実際の世界観とのギャップに驚きました。
主人公は幼少期からの父による虐待。(現在では死去)、母親は毒親。それゆえに愛情不足と思われる。
職場であるスーパーの店長(妻子持ち)と関係をもっているのだが、店長の妻が鬱病で家庭内が荒れている為主人公に別れを告げるものの、主人公は店長を苦しめている原因を取り除けばまた元の関係に戻れると考え、店長家の分析をする為家や、妻の病院の前に張り込むなどストーカー行為を行う。
幼い頃父親に周りの人に親切にするよう教え込まれていた為、自分のしている事が悪いことという認識が一切なく、大好きな店長の困っていることを解決してあげたいという善意(利己的な意味合いもある)からきているもので、性格もよくある少女漫画のピュアな女の子のソレを醸し出していることから、読書側からすると頭が混乱する。
そのピュアさが恐怖心をより強くしている一因であり、続きが気になる作品だと思います。by きゃんbba-
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