5.0
皆が見て見ぬふりしているもの
結婚制度や家族のあり方に疑問を持たずに来た人には理解できないお話かもしれない。
元夫からのモラハラに傷付き、母親の存在に怯えるヒロイン。子供を可愛いと思えず、そんな自分を嫌悪する彼。2人を苦しめているのは「こうでなくてはならない」という固定観念。そして親切で善良な人々の言葉。一般的に、とか、普通は、とか、まるで免罪符のように誰もが口にするけど、そんなの時代や国(場所)で簡単に変わってしまう。
確固とした自分を持って生きている人なんてそうはいない。分かっていても頭の中の自分は自分を苛む。
ただ温かな何かに包まれて安心して眠りたい夜がある。窮屈を我慢して頑張った2人に、そんな夜がたくさん訪れますようにと祈らずにいられない。
上手く生きられない、と悩む皆さんにぜひ読んで頂きたい上作。
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