3.0
ギャップの発明
昔は結構、真剣に読んでいた。
前半の、のどかで平和な村での生活のラブコメ的な描写と、猟奇的で残酷なホラー展開のギャップというのは、今にして思えば、ひとつの発明だったのだろうと思う。
それも、恐怖の対象である第三者の登場によってヒロインとの生活が脅かされる、というギャップではなく、ヒロインそのものが恐怖の対象に変わる、というギャップである。
これが、新しかった。
ふんだんに盛り込まれた「問題編」の謎は、なかなか吸引力があり、「解答編」が読みたくてしょうがなくなった。
その形式、および、原作ゲームのエピソードをばら売りにして次々と作品を「増殖」させていったようなメディアミックスの展開も含め、なかなか商売上手な作品であった。
しかし、期待しまくったわりには「解答編」がズバッと決まっておらず、一種のSF的な文脈も受け入れがたくて、若い私の熱がいっきに冷めたことは、今でもよく覚えている。
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