4.0
絵柄やタイトルとは裏腹に
日本最古の説話集「日本霊異記」を漫画にしたもの。
ゆるい絵柄やありがちなタイトルとは裏腹に、かなり硬派に仏教説話の内容を綴った漫画。
古典を題材にした漫画には、原典をろくすっぽ読み込まずに、漫画としてネタにしやすい部分を都合よくピックアップしたような雑な作品が多いけれど、本作はそうではなく、誠実に原典と向き合っている姿勢が感じられ、好感を持った。
そういう意味では、(ポップではあるけれど)タイトルが悪い、とも思う。
エピソードに加えて、その説話が何を伝えているのかについて、作者による解説もある。
これは、作品としては無粋という見方もあるだろうが、私はこのくらいわかりやすくてもいいのではないかと思った。
また、そのうえで、一種の不可解さというか、現代の一般ピーポーの文脈からは理解しかねるような原典の空気も伝えており、それはそれで面白かった。
まあ、平安時代の読者にどのくらい作品の真意が伝わっていたのかも、怪しいものだと思うし、そんなことを考えてみるのも、興味深いかもしれない。
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