4.0
傷つけたのも救ったのもきっと兄の優しさ
ジャケ買いで一気読みしました。
まるで美しい文学作品を読んでいるようで、性描写でさえ「エロい」ではなく「美しい」と感じさせる作品です。
特に兄の最新作の文章を引用して、初めて水上が兄の気持ちを知るシーンは、エンディングとして最高でした!
読み始めは、デフォルメされた2人(特に加久田の顔がイカつい…)が、美しくシリアスな作品の雰囲気にアンマッチだなと思っていましたが、盗作作家とファンという関係ではなく、同期として素の2人が築いてきた確かな関係性を表現するには必要不可欠なのかもなーと、読み終わってから感じました。
ちょっと引っかかっていたのが、恐らく学生時代にいじめに遭っていただろう加久田が、全く擦れることなく、強くまっすぐな青年に育ったのはなぜかということ。
きっといじめ時代に彼を救ったあの本には、水上の兄の優しさが詰まっていて、それを心に刻んだ加久田が今度は水上を救う。つまり、間接的にではあるが、巡り巡って兄の優しさが水上を救っていたのでは…
そうだとしたら、素敵だなーと思いました。
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