中将姫の方が良かった
かなーり作り込まれていますねえ、第1話。
この話の典拠は、鎌倉時代になって作られた『水鏡』でしょう〜?
まことしやかに描く方が無理というものですよ。(笑)
水鏡というのは、根拠のないことを、後世になってから
当時の権力者にとって都合の良いよいように書き作られた物語と言って良いほど
フィクションだらけの
表向きだけの歴史書。
主人公も恵美押勝こと藤原仲麻呂の娘であって、東子かどうかも分からない。
もう一人の娘・「額(ひたい)」の可能性も高いでしょう。
ぞれに鑑真和上は、千人の男に会うと予言しただけで
性的交渉を持つとは発言していません。
藤原仲麻呂は紫微中台の太師になってから、橘奈良麻呂の変等にあたって、
かなりエゲツないことをしています。
全くの無実の人々さえも罪に問うて虐○殺していますし、およそ尊敬できる人物とは言えません。
水鏡の描きたかったところは、
要するに、
親のした悪事は、必ず我が子にはね返ってくるものだという
因果応報の理を端的に表したものでしょう。
ストーリーとしても説得力が無いし、
「ただエログロな作品」に読者が好奇心に色めき立つかを目標としたものでしょう。
水鏡の内容を漫画化するなら、
光仁天皇の皇后・井上内親王と義理の息子の山部親王(後の桓武天皇)との
囲碁の勝ち負けを原因とした、
不適切な関係を生々しく描くのも面白いと思われます。
所詮、水鏡に書かれた内容は、信用性がほとんどありません。
個人的には、東子の従姉である、
仲麻呂の兄・藤原豊成の大姫こと中将姫(藤原南家の郎女)の伝説を
見たかったです
美しく聡明な南家の郎女は、東子など、かの姫の足元にも及ばず
信心深く温厚な豊成の娘。
淳仁天皇の皇后になるには身分の点から言っても中将姫でしょう。
仲麻呂は、その兄・豊成にすら太宰府に左遷の命令をくだすような人物ですから
どういう人間かは大体分かると思いますが。
折口信夫の傑作『死者の書』の一部分、
はるか昔に処刑された大津皇子の亡霊に求婚される
藤原南家の郎女の神聖で信心深い人生の方を描いて欲しかったですね。
絵は丁寧で良かったですが。
- 7
3.0